「中古マンションの都道府県ランキング」を集計したとき、2位に沖縄県が入って驚いた、という声がありました。今度は同じ方法で中古戸建てを集計してみると、上位・下位の顔ぶりがかなり変わります。マンションでは上位だった県が戸建てでは中位まで下がり、逆にマンションでは目立たなかった県が戸建てでは上位に来る、という入れ替わりが起きています。

このレポートでは、国土交通省の不動産情報ライブラリ(reinfolib)が公開する実際の成約価格(XIT001)を市区町村単位で集計したデータをもとに、47都道府県すべての中古戸建て相場を並べます。集計の方法は中古マンション版のランキングとそろえてあります。ある県の代表値は、その県の中で取引件数が30件以上ある市区町村それぞれの中央値を求めたうえで、それらの中央値をさらに県内で並べたときの中央値(いわば中央値の中央値)です。県内の全取引をそのまま1つの集団として中央値を取るわけではありません。

この方法を選ぶ理由は、県内の全取引をそのまま集計すると、取引件数がもともと多い中心都市の物件に結果が引っ張られるためです。市区町村ごとにいったん代表値を作ってから県内で並べることで、取引の多い都市も、取引の少ない郊外の市区町村も、同じ1票として扱えます。中古戸建ては中古マンションより対象条件を満たす市区町村の数が全体的に多く、後半で見るように、この違いが順位の入れ替わりと関係しています。

推計や将来予測はしていません。ここに並ぶのは、すべて過去の実際の成約価格です。「この県は今後上がる」「下がる」といった判断はこの記事の範囲外で、現時点までのデータで県ごとの水準を比べることが目的です。

都道府県別・中古戸建て中央値ランキング(全47都道府県)

まず全体を見てください。件数(取引件数)を必ず併記し、条件を満たさない市区町村は最初から集計に含めていません。

都道府県別・中古戸建て中央値 上位10県(県内市区町村の中央値の中央値)
都道府県別・中古戸建て中央値 上位10県(県内市区町村の中央値の中央値)
順位都道府県対象市区町村数中央値(万円)㎡単価(円)取引件数(合計)
1東京都534,700526,31562,886
2神奈川県573,600360,00056,370
3愛知県653,100286,95638,619
4沖縄県233,000305,2633,596
5埼玉県692,400236,36350,032
6大阪府712,300218,61453,264
7京都府322,000195,45416,698
8広島県271,900180,95213,678
9宮城県321,775157,28213,406
10福岡県641,700151,19024,272
11栃木県221,600143,07611,838
12静岡県381,600130,18519,156
13滋賀県161,500126,6667,532
14奈良県241,400114,8358,860
15佐賀県171,400110,7273,509
16兵庫県481,350112,01131,460
17茨城県411,300104,00015,743
18福島県301,20090,0308,542
19群馬県261,200100,52610,873
20長野県441,10088,0349,767
21福井県111,10080,8082,666
22熊本県311,10093,8646,538
23千葉県581,050101,66643,771
24山梨県191,05098,3874,533
25山口県161,05092,5006,698
26岩手県191,00085,6814,370
27岡山県2698278,9458,081
28三重県2693075,50410,140
29山形県1890860,9393,907
30岐阜県3590075,0009,272
31香川県1588063,8094,195
32愛媛県1585070,0005,358
33富山県1483859,3174,089
34新潟県2883556,4799,709
35宮崎県1780070,5885,081
36石川県1778543,1676,052
37鳥取県1178060,7142,003
38高知県1377570,3702,378
39徳島県1476066,0762,288
40青森県2272855,0515,967
41和歌山県2167561,5385,000
42長崎県1863555,6544,208
43大分県1760052,5575,153
44鹿児島県2455047,3687,413
45島根県950043,6742,150
46秋田県1646232,5334,698
47北海道9745037,69231,534

1位は東京都(4,700万円)で、中古マンション版と同じく全国最高です。ただし2位以下の顔ぶれは違います。マンション版で2位だった沖縄県は戸建てでも4位(3,000万円)と上位を保っていますが、マンション版で3位だった神奈川県は戸建てでも2位(3,600万円)とほぼ同じ位置にとどまる一方、マンション版で4位だった長野県は戸建てでは20位(1,100万円)まで下がっています。この違いを次の見出しでまとめて見ます。

対象市区町村数の合計は1,426で、中古マンション版の570よりかなり多くなっています。中古戸建ては全国的に取引の広がりが大きく、対象条件(30件以上)を満たす市区町村がもっとも少ない島根県でも9市区町村あり、マンション版のように「対象が1市区町村だけ」という県はありません。

マンションと戸建てで順位が入れ替わる県がある

同じ方法・同じ市区町村区分で集計しているので、マンション順位と戸建て順位をそのまま並べて比べられます。以下は、マンション順位から戸建て順位への変化が大きかった県を、順位が上がった10県・下がった10県に分けて並べたものです(対象市区町村数もあわせて示します)。

戸建てで順位が大きく上がった10県

都道府県マンション順位マンション対象市区町村数戸建て順位戸建て対象市区町村数順位差
栃木県4541122+34
奈良県42131424+28
群馬県4761926+28
山梨県4422419+20
愛知県2157365+18
福岡県26311064+16
静岡県27161238+15
佐賀県3031517+15
福島県3241830+14
埼玉県1748569+12

戸建てで順位が大きく下がった10県

都道府県マンション順位マンション対象市区町村数戸建て順位戸建て対象市区町村数順位差
大分県3124317-12
長野県452044-16
三重県1262826-16
岩手県822619-18
岡山県942726-18
鳥取県1923711-18
長崎県2034218-22
高知県1413813-24
鹿児島県734424-37
島根県52459-40

もっとも動きが大きいのは島根県で、マンション順位5位から戸建て順位45位まで、40も下がっています。逆にもっとも動きが大きい上昇は栃木県で、マンション順位45位から戸建て順位11位まで、34上がっています。

なぜ入れ替わるのか、対象市区町村数の違いから見る

下降組の10県を見ると、共通点があります。マンションの対象市区町村数が1〜6と、いずれも少数です。高知県はマンションの対象がそもそも高知市1つだけで、島根県・岩手県・鳥取県も2市区町村にとどまります。これらの県のマンション順位は、県内のごく一部(多くの場合は県庁所在地)の物件の水準がそのまま県の代表値になっていました。

一方、同じ県の戸建ては対象市区町村数が9〜44まで広がります。島根県は2市区町村から9市区町村に、長野県は5市区町村から44市区町村に増えています。対象になる市区町村が増えるほど、県内のより広い範囲の実態を反映した代表値になっていると考えられます。マンション需要が県庁所在地や一部の地域に集中しやすいのに対して、戸建ては郊外や中小規模の市町村でも一定数の取引があるため、対象条件(30件以上)を満たしやすいという違いが背景にありそうです。

上昇組のうち栃木県・奈良県・群馬県・山梨県・佐賀県・福島県も、マンションの対象市区町村数が2〜13と少数派です。これらの県は、対象になった少数の市区町村のマンション水準がたまたま低めで、戸建てで対象範囲が広がったことで県全体としての順位が上がった、という見方ができます。

これに対して、愛知県・福岡県・静岡県・埼玉県は事情が異なります。マンションの対象市区町村数もそれぞれ57・31・16・48とすでに多く、少数の市区町村に順位が引っ張られているわけではありません。それでも戸建ての順位のほうが大きく上がっています(愛知県は21位→3位、福岡県は26位→10位)。戸建てと分譲マンションでは、供給されるエリアや購入する層が異なるため、同じ県でも物件種別によって順位の付き方が変わることがある、という程度にとどめておくのが妥当です。データからそれ以上の理由(地価の動向や産業構造など)を断定することはできません。

沖縄県はマンションでも戸建てでも上位が変わらない

下降組の県と対照的なのが沖縄県です。マンション版では対象市区町村6・中央値2,900万円で全国2位でしたが、戸建て版でも対象市区町村23・中央値3,000万円で全国4位と、上位から大きく落ちていません。

沖縄県は戸建てでも対象市区町村数が23まで広がっており、マンション版の6市区町村よりだいぶ増えています。それでも中央値の水準そのものはほぼ変わらず、県全体として高い水準にあることが分かります。対象範囲が広がっても順位が落ちない点は、対象市区町村数が増えると順位が大きく下がった島根県・鹿児島県・高知県・長崎県とは対照的です。この違いから、沖縄県の住宅価格の高さは、県内の一部だけでなく、より広い範囲に共通する傾向だと考えられます。

このデータで分からないこと

都道府県単位の中央値は、大づかみに水準を比べるには役立ちますが、次のことは反映されていません。

  • 同じ県内の市区町村ごとの差: 東京都の中央値4,700万円は53市区町村の中央値をならした値で、都内でもっとも高いエリアともっとも手頃なエリアの実際の価格差は、この数字だけでは分かりません。
  • 築年数・敷地面積・延床面積: 今回の集計は築年帯・面積帯を問わず、すべての取引をまとめています。同じ県でも新築に近い物件と築の古い物件、狭小地と広い敷地が混ざっています。
  • 土地の価格と建物の価格の内訳: 中古戸建ての成約価格は土地と建物を合わせた金額で、この記事の集計では両者を分けていません。
  • 駅からの距離・道路付け・リフォームの履歴: 同じ市区町村の中でも価格を左右する要素ですが、公開されている取引データには含まれていません。
  • 対象条件を満たさなかった市区町村: 取引件数が30件に満たない市区町村は、県の代表値の計算にそもそも加わっていません。

これらの条件を踏まえたうえで、この記事の順位は「大づかみな水準の比較」として読んでください。

自分の街の実際の成約価格を確認する

都道府県単位の比較で自分の県のおおよその位置づけが分かったら、次は自分の市区町村・自分の物件に近い条件での実際の価格を確認することをおすすめします。県の中央値がそのまま自分の街に当てはまるとは限りません。

自分の条件に近い成約価格を確かめる
  1. 1お住まいの地域・都道府県を選ぶ
  2. 2市区町村を選ぶ
  3. 3築年数のおおよその範囲を選ぶ
  4. 4その条件に合う実際の成約価格を、件数つきで確認する

ウリドキナビでは、画面右下の相談窓口から、都道府県・市区町村・築年数を選ぶだけで、その条件に合う実際の成約価格を確認できます。物件種別(マンション・戸建て)を選ぶ必要はなく、両方の結果をまとめて確認できます。回答するのは推計モデルではなく、条件に合う実際の成約記録です。条件に合う取引が少ない場合は、その旨を明示したうえで参考値として示します。実際の成約価格を確認する のページからも、同じ内容を確認できます。

都道府県の順位はあくまで大づかみな比較です。今回取り上げた県のうち、たとえば戸建てで順位が大きく上がった春日井市(愛知県)、川口市(埼玉県)、宇都宮市(栃木県)、逆に順位が下がった松江市(島根県)、鹿児島市(鹿児島県)、高知市(高知県)では、それぞれの市区町村単位の実際の価格推移を記事として確認できます。上位を保った沖縄県ではうるま市の記事があります。

この記事のデータについて

項目内容
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ(reinfolib) 不動産取引価格情報(XIT001)
対象中古戸建ての実際の成約価格(推計・予測は含まない)
集計単位都道府県 × 市区町村(築年帯・敷地面積・延床面積は問わない)
母集団の下限同じ市区町村の取引が30件以上
対象都道府県数47(すべての都道府県で1つ以上の市区町村が条件を満たしている)
対象市区町村数の合計1,426(中古マンション版は570)
取引件数の合計667,353件
代表値の出し方県内の各市区町村の中央値を求めたうえで、その中央値をさらに県内で並べた中央値(県をまたぐ再集計はしていない)
政令指定都市の扱い行政区ごとに集計し、1つの市として束ねた再集計はしていない

このデータは実際の取引にもとづいて更新します。新しい年の成約が加わった際は、同じURLのまま数字を更新します。年ごとに新しいページを作ることはしません。ここで示した中央値や順位は、特定の1戸の戸建ての価格を保証するものではなく、あくまで条件を満たした市区町村を県単位でならした代表値です。

よくある質問

このランキングの中央値はどうやって計算していますか
県内で取引が30件以上ある市区町村それぞれの中央値をまず求め、それらの中央値をさらに県内で並べたときの中央値を使っています。中古マンション版のランキングと同じ方法です。県内の全取引をそのまま集計した中央値ではなく、県をまたいだ再集計もしていません。
中古マンションと中古戸建てで、なぜ同じ県でも順位が違うのですか
マンションは対象市区町村数が1〜数市区町村にとどまる県が多く、県庁所在地など一部の水準が代表値になりやすい傾向があります。戸建ては対象市区町村数がより広がるため、県内の実態に近い数字になり、結果として順位が変わることがあります。
島根県や鹿児島県はマンションでは上位なのに、戸建てでは下位なのはなぜですか
これらの県はマンションの対象市区町村が2〜3にとどまり、少数の市区町村の水準がそのまま県の代表値になっていました。戸建てでは対象市区町村数が9〜24に広がり、より県内の広い範囲の実態に近い、低めの中央値になっています。
沖縄県はなぜマンションでも戸建てでも上位なのですか
沖縄県は戸建てでも対象市区町村数が23まで広がっていますが、それでも中央値の水準は大きく下がりません。対象範囲が広がっても順位が落ちない点は、対象が少数の市区町村に偏って順位が下がった県とは異なり、県内の広い範囲に共通する傾向であることを示しています。