築11年目のマンションと、築25年目のマンションでは、実際の成約価格はどれくらい違うのか。「築20年で価格は半分になる」という言い方を見かけることがありますが、これは特定の物件を追いかけた数字ではなく、印象で語られていることが多いものです。

このサイトが持っているのは、全国の市区町村ごとに集計した中古マンションの実際の成約価格(国土交通省 不動産情報ライブラリ XIT001、2017年〜2024年の成約データ)です。築年数の帯ごとに区分けした集計から、市区町村ごとの中央値を出し、さらにその中央値を全国で束ねて「築年帯ごとの中央値の中央値」を見ていきます。

対象は、1つの市区町村・1つの築年帯で成約件数が30件以上あるマスに限定しました。件数が少ないマスは、たまたま高額(または低額)な物件が混ざるだけで数字が大きく動いてしまうため、母集団から外しています。件数(n)が示せないマスは扱いません

築年帯が上がるごとに中央値はどう変わるか

築年帯対象市区町村数中央値(万円)築10年以内比集計対象の成約件数
〜築10年2953,850万円1.0081,410件
築11-20年4062,800万円0.73151,853件
築21-30年4442,100万円0.55158,268件
築31年〜4841,000万円0.26246,732件

「対象市区町村数」は、その築年帯で成約が30件以上あった市区町村の数です。同じ市区町村が複数の帯にまたがって数えられているため、単純に足し合わせても全国の市区町村数にはなりません。「築10年以内比」は、〜築10年の中央値を1.00としたときの比率です。

帯ごとの下落幅を並べると、下落率が一定でないことが分かります。

比較中央値の変化変化率
〜築10年 → 築11-20年3,850万円 → 2,800万円-27.3%
築11-20年 → 築21-30年2,800万円 → 2,100万円-25.0%
築21-30年 → 築31年〜2,100万円 → 1,000万円-52.4%

築10年以内から築30年までの下落率は-27.3%、-25.0%とほぼ同じペースですが、築31年以降だけ-52.4%とほぼ倍になっています。「築20年で半額」という通説は、今回のデータでは当てはまりません。半額に近い下落が起きているのは、築30年を超えたあとです。

なぜ築31年以降で下落が大きくなるのか

これだけ多くの市区町村を束ねても同じ傾向が出るということは、特定の物件や特定の街の事情ではなく、築30年前後に共通して起きる変化があることを示していると考えられます。可能性として、1981年6月以降の新耐震基準より前に建てられた物件が築31年以降の区分に多く含まれてくることや、建物の設備・仕様が年々更新されていく中で古い物件との差が開いていくこと、大規模修繕や建て替えの検討時期に差しかかることなどが挙げられます。

ただし、このデータは市区町村・築年帯ごとの中央値を集計したものであり、下落の要因を1つずつ切り分けて測定したものではありません。どの要因がどれだけ効いているかは、このデータからは分かりません。要因を断定せず、事実として観測された下落率だけをここでは示しています。

地域差について

ここまでの数字は、全国の市区町村の中央値をさらに束ねた「中央値の中央値」です。同じ築31年でも、もともとの価格水準が高い街と低い街とでは、下落する金額(万円ベース)は大きく異なります。たとえば新築時点の相場が高い街ほど、同じ下落率でも下落する金額そのものは大きくなりやすい一方、もともとの価格帯が低い街では下落率が同程度でも金額の下げ幅は小さく収まります。

この記事の数字は全国の傾向をつかむためのものであり、自分の街に当てはめられる数字ではありません。自分の街の実際の中央値・築年帯別の相場は、下記の市区町村ごとの記事で確認してください。

自分の街の相場を確認する

  1. 1都道府県のページから自分の市区町村を探す
  2. 2中古マンションの記事で、実際の中央値と築年帯別の相場を確認する
  3. 3気になる築年帯があれば、価格診断で実際の成約価格を絞り込んで見る

市区町村ごとの記事では、その街の築年帯別の相場や、成約件数の推移を掲載しています。たとえば札幌市中央区の中古マンション相場朝霞市の中古マンション相場守谷市の中古マンション相場のように、市区町村ごとに実際の数字が異なります。

自分の家の築年数・広さに近い条件で実際の成約価格を確認したい場合は、価格診断から地域と築年数を選ぶと、条件に合う成約実績を見ることができます。

この記事のデータについて

項目内容
対象期間2017年〜2024年の成約データ
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ XIT001(不動産取引価格情報)
対象物件種別中古マンション等
集計単位市区町村 × 築年帯(面積は問わず「すべて」区分で集計)
母集団の下限1つの市区町村・1つの築年帯で成約件数30件以上のマスのみを対象
集計方法市区町村ごとの中央値を算出し、その中央値をさらに全国で束ねて中央値をとる