中古住宅を売ろうか検討するとき、多くの人が気にするのが「築年数が古いとどのくらい価格が下がるのか」という点です。特に戸建ては、マンションと違って土地の持分がまるごと自分のものになるため、「建物は古くなっても土地の分だけ価格が残るのでは」と考える人が少なくありません。

このページでは、国土交通省・不動産情報ライブラリに登録された全国の実際の成約価格をもとに、中古戸建てが築年帯ごとにいくらで取引されているかを集計しました。同じ集計方法で中古マンションも並べ、値下がりの仕方がどう違うのかをデータだけで比べます。

集計は市区町村単位の中央値をさらに全国で束ねたもので、個々の家の価格を予測するものではありません。取引件数が少ない市区町村は対象から外し、件数(n)を必ず併記しています。今後の価格を予測したり、今が売り時かどうかを判断したりする記事ではありません。あくまで、過去に実際に成約した価格の記録です。

戸建ての築年数と価格の関係を扱った記事はほかにもありますが、多くは「築0〜10年」「築11〜20年」といった帯ごとの目安を文章で示すにとどまり、その帯に何件の成約が含まれているのか、何市区町村分のデータなのかまでは示していないことがほとんどです。件数の裏付けがないと、たまたま高額な物件が数件混ざっているだけの数字なのか、多くの成約に共通する傾向なのかを読み手が判断できません。この記事では、帯ごとの中央値だけでなく、対象になった市区町村の数と成約件数の合計を必ず併記します。

中古戸建ての価格は築年でどう下がるか

全国の中古戸建てを築年帯ごとに区切り、各市区町村の中央値をさらに全国で束ねた中央値を出すと、次のようになります。対象は面積帯を問わず(「すべて」区分)、成約件数30件以上の市区町村だけに絞っています。

築年帯ごとの中古戸建て中央値(全国)
築年帯ごとの中古戸建て中央値(全国)
築年帯中央値前の帯との差〜築10年を1とした比率対象市区町村数集計件数の合計
〜築10年3,000万円-1.00879291,250件
築11-20年2,500万円-16.7%0.8344131,644件
築21-30年1,700万円-32.0%0.5764957,993件
築31年〜645万円-62.1%0.211,239257,755件

築10年以内から築31年以上までの間に、中央値は3,000万円から645万円まで下がっています。比率にすると、築31年を超えた戸建ての中央値は、築10年以内の家のおよそ21%です。

築10年以内の集計対象は879市区町村、築31年以上は1,239市区町村です。戸建ての取引は全国の幅広い市区町村で発生しているため、築年帯によって対象市区町村数が変わる点には注意してください。この879や1,239という数字は「その帯で成約件数30件以上あった市区町村の数」であり、同じ市区町村が全ての帯にそろって登場しているわけではありません

今回の戸建ての集計に含まれる成約件数は、4つの築年帯を合計すると63万8,642件になります。一般的な「築年数別の売却相場」を紹介するページの多くは、目安となる金額だけを示し、その裏付けになった件数までは公開していません。件数を示さない相場は、少数の高額な事例に引っ張られている可能性を読み手が確認できません。このページでは帯ごとの件数を必ず併記し、成約件数30件未満の市区町村は最初から集計に含めていません。

中古マンションと並べて比べる

同じ集計方法で中古マンションも出し、戸建てと並べます。

築年帯ごとの中古マンション中央値(全国)
築年帯ごとの中古マンション中央値(全国)
築年帯戸建て 中央値戸建て 比率マンション 中央値マンション 比率
〜築10年3,000万円1.003,850万円1.00
築11-20年2,500万円0.832,800万円0.73
築21-30年1,700万円0.572,100万円0.55
築31年〜645万円0.211,000万円0.26

「戸建ては土地の分だけ値下がりしにくい」というイメージは、築11〜30年のレンジまでは今回のデータでも当てはまる方向にあります。一方で築31年を超えると、この関係は逆転しました。この記事の集計だけでは逆転の理由までは特定できませんが、少なくとも「戸建てだから常にマンションより値下がりしにくい」と単純化できるものではない、という点はデータから言えます。

マンション側の集計に含まれる成約件数も合計すると63万8,263件で、戸建て(63万8,642件)とほぼ同じ規模です。2つの物件種別を同じ条件(面積帯を問わず、成約件数30件以上の市区町村のみ)で集計しているため、件数の規模をそろえたうえで形だけを比べられている点も確認しておきます。

なぜ違いが生まれるのか、データから言えること

前の帯から次の帯にかけて、それぞれどのくらいの割合で下がっているかを並べると、戸建てとマンションの違いがより分かりやすくなります。

変化の区間戸建ての下落率マンションの下落率
〜築10年 → 築11-20年-16.7%-27.3%
築11-20年 → 築21-30年-32.0%-25.0%
築21-30年 → 築31年〜-62.1%-52.4%

戸建ては築10年以内から築11-20年にかけての下落率がマンションよりかなり小さい一方、築31年を超える段階での下落率はマンションより大きくなっています。「新しいうちは戸建てのほうが値下がりしにくく、古くなるとマンションのほうが値下がりしにくい」という、単純な優劣では言えない結果になっています。

不動産の価格を「建物」と「土地」に分けて考えると、建物は年数が経つほど老朽化していくのに対し、土地そのものの価値は経年で自動的に減るものではありません。戸建てはこの土地の持分をまるごと保有するため、築年数が浅いうちは建物の劣化分だけが価格に反映され、下落の割合が緩やかになりやすいと考えられます。マンションも敷地の持分はありますが、建物一棟あたりの戸数で細分化されているため、一戸あたりの土地の持分は戸建てよりずっと小さくなります。

不動産の査定実務でも、建物と土地を分けて評価し、建物側は築年数に応じて評価額を下げていく考え方が一般的に使われています。土地の評価は近隣の取引事例や路線価をもとに決まり、建物の老朽化とは切り離して考えられます。今回のデータで築11〜30年の戸建てがマンションより値下がりの割合が小さかったことは、この一般的な考え方と方向性が合っています。一方で、査定実務の考え方だけでは、築31年を超えた段階で戸建ての下落率がマンションを上回った理由までは説明できません。今回のデータはあくまで実際に成約した価格の集計であり、査定の考え方をそのまま裏付けるものでも、反証するものでもありません

ただし、築31年以降で戸建てのほうが下落の割合が大きくなった理由は、今回の集計だけでは分かりません。考えられる要因はいくつかありますが、どれも今回のデータで検証できていないため、断定はしません。たとえば、築31年以降の対象は1,239市区町村と最も多く、人口減少が進む地方の市区町村が新たに集計対象に加わりやすいこと、木造建築は老朽化が進むと建物の価値がゼロに近づきやすいこと、老朽化した建物の解体費用が売却価格の交渉材料になりやすいことなどが一般的にはよく言われますが、いずれも今回の集計単独では裏付けられていません。

比率をそのまま目安として使う場合も、この点を踏まえておく必要があります。たとえば、全国の中央値で新築に近い戸建てが3,000万円だったとして、比率0.21をそのまま掛け合わせると645万円になり、これは実際の築31年〜の中央値と一致します。ただしこれは同じ家が31年後にいくらになるかを示す計算ではありません。比率は、ある時点の全国の市区町村の集まりと、別の時点の全国の市区町村の集まりを比べているだけで、同じ家・同じ市区町村を追いかけた変化ではない点に注意してください。

「戸建て」と「マンション」に何を含めているか

比較する2つの区分の定義がはっきりしていないと、比較そのものが意味を持ちません。この記事での「中古戸建て」は、成約データのうち種別が宅地(土地と建物)で、用途が住宅を含み、かつ共同住宅(アパートなど)を含まない取引に限定しています。賃貸アパートや店舗併用住宅、住宅以外の用途を含む取引は「中古戸建て」の集計から除いています。「中古マンション」は、成約データの種別が中古マンション等に区分されている取引です。農地・林地の取引はどちらにも含めていません。

このように種別をそろえてから築年帯・面積帯で区切り、市区町村ごとに中央値を出したうえで、成約件数30件以上の市区町村だけを全国で束ねています。用途の異なる物件が混ざったまま「戸建て」と呼んでしまうと、店舗併用住宅のような性格の異なる取引が中央値を歪めるため、この線引きを最初に固定しています。

農地や林地の取引は、種別が住宅としての利用を前提にしていないため、戸建て・マンションのどちらの集計からも除外しています。土地だけの取引(宅地(土地))についても、建物の価格を含まないため今回の比較には含めていません。比べる2つの区分の性質をそろえることは、面積や地域をそろえること以上に、比較の前提として欠かせない作業です。定義があいまいなまま「戸建て」と「マンション」を比べても、下落の割合の違いが本当に築年数によるものか分からなくなります

このデータで分からないこと

今回の中央値は、市区町村・物件種別・築年帯という3つの軸だけで束ねたものです。面積・立地・階数・向き・接道状況・リフォームの有無は集計に含まれていません。同じ築21-30年でも、延床面積の広い家と狭い家が混ざったまま中央値を出しているため、面積の違いによる価格差が築年の違いに見えている可能性があります。

また、今回使っているのは「その帯で成約件数30件以上あった市区町村」の中央値を、全国でさらに束ねた数字です。個々の家がこの通りの価格で売れることを示すものではありません。立地条件がよい家、リフォーム済みの家、逆に傾きや雨漏りがある家など、公的データには表れない要素で実際の成約価格は大きく変わります。

駅からの距離、間取り、リフォーム履歴、境界確定の有無といった情報も、今回の集計には一切含まれていません。これらは査定を依頼したときに初めて反映される要素です。

築年数そのものについても、今回の区分は「〜築10年」「築11-20年」「築21-30年」「築31年〜」という4段階の帯でまとめています。同じ帯の中でも築11年の家と築20年の家では条件が異なりますが、帯を細かくするほど1つの帯に含まれる成約件数が減り、成約件数30件以上という下限を満たせない市区町村が増えてしまいます。細かく区切るほど正確になるとは限らず、件数が不足して「答えが出ない」市区町村が増えるという別の問題が起きます。このページでは、まず全国の傾向をつかむために4段階の帯を使っています。

同じ理由で、この記事の集計は面積帯も「すべて」に固定しています。築年帯と面積帯を両方細かく区切ると、件数が足りずに数字が出せない市区町村がさらに増えるため、まず築年数だけに絞って全国の傾向を示すことを優先しました。面積による価格の違いは、この記事とは別の切り口で扱っています。

全国の傾向と自分の街の傾向は一致するとは限らない

ここまで示してきたのは、全国の市区町村を束ねた中央値です。都道府県や市区町村によって、築年数による下落の割合は今回示した全国の数字と大きくずれることがあります。地価の水準そのものが高いエリアでは土地の価値の残り方が大きくなりやすく、逆に地価が低いエリアでは建物の劣化分がそのまま価格の下落に直結しやすくなります。人口が増えている市区町村と減っている市区町村でも、同じ築年数の家の値下がり方は変わってくる可能性があります。

このページの数字は「全国で見るとこういう傾向がある」という出発点であり、自分の家がある市区町村がこの通りに動くとは限りません。次の章で紹介する診断を使うと、市区町村単位の実際の成約データを確認できます。

都道府県単位・市区町村単位で見ると、戸建ての中央値の水準そのものが大きく異なることは、このサイトの他の記事でも繰り返し確認しています。全国の中央値だけを見て「自分の街も同じように下がっていくはずだ」と考えるのではなく、まずは自分の市区町村の実際の成約データを確認したほうが実態に近づけます。

自分の街の実際の相場を確認する

ここまでは全国の平均的な傾向です。自分の家がある市区町村では実際にどのくらいで取引されているかを確認したい場合は、このサイトの成約価格の診断を使うと、条件に近い実際の成約データを確認できます。

  1. 1地域と都道府県を選ぶ — 北海道から沖縄まで、地域を選ぶと都道府県が絞り込まれます。
  2. 2市区町村と築年数を選ぶ — 選んだ市区町村・築年数に近い実際の成約価格を、中古マンションと中古戸建ての両方で表示します。
  3. 3参考値として確認する — 該当する成約件数が少ない場合は、その旨を明示したうえで参考値として表示します。数字を作って埋めることはしません。

診断では、選んだ築年数にちょうど当てはまる成約が少ない場合、条件を「築年数を問わない」まで広げたうえで、どこまで条件を広げた数字なのかを明示して表示します。該当件数が少ないことを隠して数字だけを出すことはしません。件数が少ないときは参考値である旨も併せて表示されます。

成約価格を確認する(診断ページ)で、地域・築年数を選ぶと、公的データに基づく実際の成約価格の目安が分かります。中古マンションの築年数と価格の関係をさらに詳しく見たい場合は、築年数で中古マンションはいくら下がるのかも参考にしてください。

この記事のデータについて

  • 出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ 不動産取引価格情報(成約価格)
  • 対象期間: 国土交通省が公開している直近年分の成約データ(データ更新のたびに対象期間も延びます)
  • 対象: 中古戸建て(宅地(土地と建物)のうち用途が住宅を含み共同住宅を除くもの)と中古マンション(中古マンション等)
  • 集計単位: 市区町村×物件種別×築年帯(面積帯は問わず「すべて」区分)の中央値。これをさらに全国で束ねて中央値を出しています
  • 集計対象の下限: 該当する帯で成約件数が30件以上ある市区町村のみ。件数が少ない市区町村は対象から除外しています(件数を水増しして推計することはしません)
  • 母集団の目安: 中古戸建ては築年帯ごとに441〜1,239市区町村、中古マンションは295〜484市区町村が対象になっています
  • 注意点: 面積・立地・リフォーム履歴などは集計に含まれていません。この記事の数字は将来の価格を予測するものではありません
  • 更新の考え方: 新しい年の成約データが追加された際は、同じページを同じ集計方法で作り直します。年ごとに新しいページを作ることはしません
  • 比較の単位: 都道府県や政令指定都市の区をまたいで再集計することはしていません。県内・区内の比較は、集計対象になった市区町村の範囲内にとどめています

よくある質問

戸建てとマンション、値下がりの割合が大きいのはどちらですか
築11-20年では戸建てが0.83、マンションが0.73で戸建てのほうが値下がりの割合が小さく、築21-30年でも戸建て0.57・マンション0.55とほぼ同じです。ところが築31年以降になると戸建て0.21・マンション0.26と関係が入れ替わり、戸建てのほうが値下がりの割合が大きくなります。「戸建てが常にマンションより値下がりしにくい」とは言えません。
築31年を境に何が起きているのですか
築21-30年から築31年〜にかけての下落率は、戸建てが-62.1%、マンションが-52.4%で、戸建てのほうが大きく下がります。この結果、〜築10年を1とした比率は戸建てが0.21、マンションが0.26となり、築11〜30年までは戸建てのほうが値下がりしにくかった関係が逆転します。この記事の集計だけでは逆転の理由までは特定できません。
この記事はどんな条件のデータを集計していますか
面積帯を「すべて」にそろえたうえで、同じ市区町村・同じ築年帯で成約件数が30件以上ある市区町村だけを対象にしています。対象になった市区町村数は、戸建てが築年帯ごとに441〜1,239、マンションが295〜484です。件数が少ない市区町村は対象から除外しており、数字を推計で埋めることはしていません。
自分の街での実際の違いを知るにはどうすればいいですか
この記事の数字は、条件を満たした市区町村の中央値をさらに全国で束ねた代表値で、自分の街がこの通りに動くとは限りません。画面右下の相談窓口、または成約価格を確認するページ(/price-check)で地域・都道府県・市区町村・築年数を選ぶと、その条件に近い実際の成約データを中古マンション・中古戸建ての両方で確認できます。該当件数が少ない場合は、その旨を明示したうえで参考値として表示します。