東京23区の中古マンションといっても、実際の中央値は区によって大きく違います。「23区は高い」とひとくくりに語られがちですが、区ごとの実際の成約価格を並べると、もっとも高い区ともっとも安い区の間に大きな開きがあります。この記事では、国土交通省の不動産情報ライブラリ(reinfolib)が公開する実際の成約価格(XIT001)を区単位で集計し、23区すべての中古マンション中央値・㎡単価・取引件数を並べます。

集計対象は千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・台東区・墨田区・江東区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・中野区・杉並区・豊島区・北区・荒川区・板橋区・練馬区・足立区・葛飾区・江戸川区の23区で、取引が30件以上ある区だけを対象にしています。今回はこの条件を23区すべてが満たしており、除外された区はありません。推計や将来予測はしておらず、ここに並ぶのはすべて過去の実際の成約価格です。「この区が売り時」といった判断はこの記事の範囲外で、区ごとの水準の違いを実際のデータで確かめることが目的です。

中央値だけを見ると単純な高い・安いの話に見えますが、㎡単価で見た順位、築年帯ごとに見た順位は、中央値の順位とは一致しません。同じ23区でも「どの条件で見るか」によって、順位が入れ替わる区がいくつもあります。まずは全体の中央値ランキングから見ていきます。

23区の中古マンション中央値ランキング

東京23区の中古マンション中央値(区ごと)
東京23区の中古マンション中央値(区ごと)

築年帯・専有面積を問わず、区内のすべての取引をまとめた中央値です。件数(取引件数)を必ず併記します。

順位区中央値(万円)㎡単価(円)取引件数
1港区6,9001,350,00010,041
2中央区6,0001,173,3338,983
3目黒区5,3001,111,1114,735
4渋谷区5,2001,200,0006,066
5世田谷区4,900883,33311,047
6江東区4,500861,53813,382
7千代田区4,4001,250,0002,718
8品川区4,4001,066,6669,133
9文京区4,3001,072,7276,200
10新宿区3,7001,100,0009,434
11荒川区3,700700,0003,205
12江戸川区3,600546,6664,470
13台東区3,500950,0005,919
14中野区3,500900,0004,644
15北区3,400800,0004,668
16杉並区3,300857,1426,944
17練馬区3,200700,0007,577
18墨田区3,100888,8886,443
19豊島区2,900977,7775,860
20大田区2,800800,00011,401
21足立区2,800490,9096,255
22葛飾区2,800507,6924,484
23板橋区2,700666,6668,551

※ 千代田区と品川区(いずれも4,400万円)、新宿区と荒川区(いずれも3,700万円)、台東区と中野区(いずれも3,500万円)、大田区・足立区・葛飾区(いずれも2,800万円)は中央値が同額です。表の順位は元データの並び順による便宜上のものです。

23区の中央値をならして「東京23区の平均」のような1つの数字にすることもできますが、この記事ではあえてしていません。

取引件数を見ると、もっとも多いのは江東区の13,382件で、もっとも少ないのは千代田区の2,718件です。江東区は豊洲・東雲などの大規模マンション開発でストックが厚く、千代田区はもともとの住宅用地が少ないことが、件数の差に表れていると考えられます。

総額の順位と㎡単価の順位はずれる

区ごとの中央値(総額)の高さと、㎡単価(1平米あたりの単価)の高さは、必ずしも同じ順位にはなりません。総額の順位と㎡単価の順位を並べて、その差を見ます。

区総額順位㎡単価順位差
港区110
中央区24-2
目黒区35-2
渋谷区43+1
世田谷区513-8
江東区614-8
千代田区72+5
品川区880
文京区97+2
新宿区106+4
荒川区1118-7
江戸川区1221-9
台東区1310+3
中野区1411+3
北区1516-1
杉並区1615+1
練馬区1719-2
墨田区1812+6
豊島区199+10
大田区2017+3
足立区2123-2
葛飾区22220
板橋区2320+3

差がもっとも大きいのは豊島区で、総額順位は19位ですが㎡単価順位は9位です(差+10)。逆に差が大きくマイナス側に振れているのは江戸川区(総額12位・単価21位、差-9)、世田谷区と江東区(どちらも差-8)です。

この差は、中央値と㎡単価から機械的に逆算した目安の専有面積(中央値÷㎡単価)にも表れます。あくまで区内の中央値どうしを割った目安の数字であり、実際に1件ごとの面積を集計したものではない点に注意してください。

区目安の専有面積(㎡)総額順位と単価順位の差
江戸川区65.9-9
世田谷区55.5-8
足立区57.0-2
荒川区52.9-7
江東区52.2-8
豊島区29.7+10
千代田区35.2+5
大田区35.0+3
新宿区33.6+4
墨田区34.9+6

築年帯で見ると、港区がトップとは限らない

全体の中央値では港区が1位でしたが、これは築年帯を問わずすべての取引をまとめた数字です。築年帯ごとに区切ると、順位は変わります。

順位〜築10年中央値(万円)件数順位築31年〜中央値(万円)件数
1港区11,0001,553件1目黒区3,7001,673件
1渋谷区11,000995件2港区3,5002,483件
3中央区8,5003,009件3渋谷区3,4002,094件
4目黒区8,000679件4文京区3,3001,700件
5世田谷区7,5001,336件5世田谷区3,2003,867件
5千代田区7,500527件5江東区3,2003,337件

※ 〜築10年の5位(世田谷区・千代田区)、築31年〜の5位(世田谷区・江東区)は、それぞれ中央値が同額です。

築年帯ごとの下落の仕方にも区ごとの差があります。港区は〜築10年(11,000万円)から築31年〜(3,500万円)まで一貫して下がり続けますが、中央区も〜築10年(8,500万円)から築31年〜(2,400万円)まで一貫して下がり、全体順位2位から築31年〜では13位まで下がります。区によって、新築に近い物件と築古の物件の価格差の大きさが異なっていることが分かります。

平均から外れる例: 世田谷区・江東区・豊島区

全体の中央値では5位・6位・19位だった世田谷区・江東区・豊島区を、築年帯別に並べ直します。

築年帯世田谷区(万円/件)江東区(万円/件)豊島区(万円/件)
〜築10年7,500 / 1,336件6,000 / 2,383件3,950 / 752件
築11-20年6,200 / 3,002件5,600 / 5,431件3,400 / 2,085件
築21-30年5,400 / 2,842件5,000 / 2,231件3,500 / 1,295件
築31年〜3,200 / 3,867件3,200 / 3,337件1,800 / 1,728件

世田谷区と江東区は、〜築10年から築21-30年まではおおむね同じような水準で並び、築31年〜ではどちらも3,200万円まで下がって一致します。全体の中央値では世田谷区(4,900万円)のほうが江東区(4,500万円)より400万円高く出ていましたが、これは世田谷区のほうが築浅の取引の割合が相対的に多いことが影響している可能性があります。

豊島区は、築11-20年(3,400万円)より築21-30年(3,500万円)のほうがわずかに高く、新しいほど高いという単純な並びになっていません。件数はどちらも1,000件を超えており、少数の物件による偶然のブレとは考えにくい差ですが、この記事のデータだけから理由を特定することはできません。同じ築年帯とされる区分の中にも、駅からの距離や建物のグレードが異なる物件が混在しているため、中央値の並びが必ずしも一直線に下がるとは限らない、という点はこの記事全体を読むうえでの注意点です。

このデータで分からないこと

区単位の中央値は、23区をひとくくりにするより実態に近づきますが、次のことはまだ反映されていません。

  • 駅からの距離・最寄り路線: 同じ区の中でも、駅前かどうかで価格は大きく変わりますが、この集計は区単位までしか絞り込んでいません。
  • 専有面積の実測値: 目安の専有面積は中央値どうしを割った近似値で、1件ごとの実測面積を集計したものではありません。
  • 階数・向き・リフォーム履歴: 公開されている取引データにはこれらの情報は含まれていません。
  • 区内でのさらに細かい地域差: たとえば港区の中にも、六本木・白金と芝浦とでは水準が違うはずですが、この記事は区単位までの集計です。
  • 将来の価格の動き: この記事に示したのはすべて過去の実際の成約価格で、今後の値上がり・値下がりを予測するものではありません。

自分の街の記事で確認する

区単位の比較で自分の住む区がどのあたりに位置するかが分かったら、次はその区の記事で、価格の推移や取引件数の詳しい傾向を確認することをおすすめします。区の中央値がそのまま自分のマンションに当てはまるとは限りません。

自分の条件に近い成約価格を確かめる
  1. 1お住まいの区の記事で、過去数年の価格推移と取引件数を確認する
  2. 2画面右下の相談窓口、または/price-checkのページで、築年数の条件を選ぶ
  3. 3その条件に合う実際の成約価格を、件数つきで確認する
区記事区記事
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東京都のほかの市区町村と合わせて確認したい場合は、東京都の一覧ページからも各市区町村の記事にアクセスできます。

この記事のデータについて

項目内容
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ(reinfolib) 不動産取引価格情報(XIT001)
対象中古マンションの実際の成約価格(推計・予測は含まない)
集計単位東京23区(築年帯・専有面積は問わない全体の中央値、および築年帯別の中央値)
母集団の下限同じ区・同じ区分の取引が30件以上
対象区数23(23区すべてが条件を満たしており、除外された区はない)
対象取引件数の合計(全体の中央値分)162,160件
開きの算出方法もっとも高い区の中央値 ÷ もっとも安い区の中央値(区をまたいだ再集計はしていない)

このデータは実際の取引にもとづいて更新します。新しい年の成約が加わった際は、同じURLのまま数字を更新します。年ごとに新しいページを作ることはしません。ここで示した中央値や順位は、条件を満たした区を単位にした代表値であり、特定の1戸のマンションの価格を保証するものではありません。

よくある質問

東京23区の中古マンションでもっとも高いのはどこですか
今回集計した23区の中では港区がもっとも高く、中央値は6,900万円(取引10,041件)でした。もっとも低いのは板橋区の2,700万円(取引8,551件)で、開きは2.56倍です。これは過去の実際の成約価格を集計したもので、将来の価格を示すものではありません。
総額の順位と㎡単価の順位が違うのはなぜですか
区によって物件の広さの傾向が異なるためと考えられます。中央値と㎡単価から逆算した目安の専有面積を見ると、世田谷区や江戸川区は広め、豊島区や千代田区は狭めの傾向があり、これが総額順位と㎡単価順位のずれに関係している可能性があります。ただしこの記事のデータだけから断定はできません。
港区が全体で1位なら、築年数を問わずどの条件でも港区が一番高いのですか
いいえ。築10年以内の物件だけで見ると渋谷区が港区と同額の1位に並び、築31年以上の物件だけで見ると目黒区が港区を上回って1位になります。全体の中央値の順位は、築年帯を区切った順位とは一致しません。
自分の区の詳しい価格推移を知りたい場合はどうすればいいですか
この記事は23区を横並びで比較したものです。区ごとの過去数年の価格推移や取引件数の詳しい傾向は、それぞれの区の記事で確認できます。より細かい築年数の条件で実際の成約価格を確認したい場合は、画面右下の相談窓口または/price-checkのページをご利用ください。