木村
木村相談者
山川さん、安曇野市で戸建てに住んでるんですが、そろそろ売却も考えていて。不動産の一括査定サイトをいくつか見てみたら、相場の数字がサイトごとにけっこう違っていて、正直どれを信じたらいいのか分からなくなってしまって。
山川
山川不動産の専門家
それはよくある話です。実は安曇野市は中古戸建ての価格の幅がとても大きいエリアのひとつで、見る数字によって印象がずいぶん変わりやすいんです。まずは国交省の公的データで、実際に成約した価格がどう動いてきたか一緒に確認していきましょう。
木村
木村相談者
幅が大きいって、具体的にはどういうことですか?
山川
山川不動産の専門家
国交省の不動産情報ライブラリという公的データベースに、実際に成約した中古戸建て(土地付き)の記録があります。安曇野市の2017年から2024年までの年別中央値を並べると、その特徴がよく見えてきます。

安曇野市の中古戸建て価格はどう動いてきたか

安曇野市の中古戸建て中央値の推移(2017年〜2024年)
安曇野市の中古戸建て中央値の推移(2017年〜2024年)
山川
山川不動産の専門家
これが2017年から2024年までの年別中央値です。中央値は、価格を安い順に並べたときのちょうど真ん中の金額のことです。
中古戸建て中央値取引件数
2017年1,200万円73件
2018年1,600万円25件
2019年1,300万円66件
2020年1,500万円59件
2021年1,500万円64件
2022年1,300万円63件
2023年1,300万円72件
2024年1,600万円70件
木村
木村相談者
2018年だけ取引件数が25件とかなり少ないですね。それ以外の年は60〜70件くらいで安定してるみたいですけど。
山川
山川不動産の専門家
そうなんです。2018年はやや少なめですが、それ以外の年は毎年60件を超えていて、取引そのものが極端に少ないわけではありません。それでも2022年1,300万円→2023年1,300万円→2024年1,600万円のように、年によって中央値が動いています。次のセクションで、なぜこの振れが起きるのかを具体的な数字でお見せします。

なぜ単年の数字だけで判断できないのか

木村
木村相談者
件数はそこそこあるのに、なんで数字が振れるんですか?
山川
山川不動産の専門家
2024年のデータで見てみましょう。中央値は1,600万円ですが、価格帯の下から4分の1にあたる金額(p25)は912.5万円、上から4分の1(p75)は2,750万円です。同じ2024年の安曇野市の中でも、これだけの開きがあります。
木村
木村相談者
900万円台と2,750万円だと、3倍近く違いますね。
山川
山川不動産の専門家
2024年単年の相対信頼区間の幅は62.5%にもなります。取引が十分な区分(トレンドを語れる基準)は25%以下なので、安曇野市の単年データはその基準を大きく超えています。安曇野市は市街地に近いコンパクトな敷地の家から、郊外や田園地帯の広い土地付きの住宅まで、成約する物件の性格に幅があることが、この振れの主な理由と考えられます。
木村
木村相談者
じゃあ、この1,600万円っていう数字自体はどのくらい信用していいんですか?
山川
山川不動産の専門家
数字自体は実際の成約データそのもので、捏造や推定ではありません。ただ「2024年は1,600万円だから来年もこのくらい」と単年だけで判断するのは危ういということです。そこで2022年から2024年の3年分をプールした中央値も見てみましょう。3年分をまとめると取引件数205件、中央値1,400万円になります。単年よりも振れが小さく、安曇野市の直近の相場水準としてはこちらの1,400万円のほうが実態に近いと考えられます。
木村
木村相談者
単年の1,600万円と3年プールの1,400万円だと、200万円くらい違うんですね。
山川
山川不動産の専門家
はい、単年の中では2024年が高めに出た年、という見方もできます。2022年の1,300万円、2023年の1,300万円のように単年だけを見ると年によって上下するのは変わらない事実です。この記事でも、安曇野市の代表的な相場水準としては3年プールの1,400万円を使い、単年の上下だけで「上がった」「下がった」と言い切ることは避けています。
木村
木村相談者
「分からないことは分からない」とはっきり言ってもらえると、逆に信用できます。
山川
山川不動産の専門家
そこは大事にしているところです。この数字はすべて実際に成約した金額であることも補足しておきます。広告に出ている「売り出し価格」は売主の希望額なので、実際の成約より高めに出やすい傾向がありますが、この記事の数字はすべて成約ベースです。相場観がつかめたところで、次は他の市や全国と比べて安曇野市がどのくらいの水準なのかを見てみましょう。

全国・県内のなかで安曇野市はどのくらいの水準か

長野県内エリア・中古戸建て中央値の比較
長野県内エリア・中古戸建て中央値の比較
山川
山川不動産の専門家
安曇野市の水準を、県内の他市や全国と比べてみましょう。相場は単独では意味を持ちにくく、他と比べて初めて位置づけが分かります。
比較軸安曇野市の位置
長野県内の中古戸建て中央値6位/9市区町村
全国の中古戸建て中央値520位/691市区町村
全国(取引が十分な区分の単純平均)との比較平均 約4,001万円に対して約35%の水準
木村
木村相談者
全国平均の35%ってことは、全国的にはかなり低めの水準なんですね。
山川
山川不動産の専門家
水準としては全国的に低めのグループに入ります。ただし比較対象の全国平均は「トレンドを語れる取引が十分な区分」の平均なので、安曇野市(参考値扱い)を単純に同列で見すぎない方がよいです。あくまで目安として捉えてください。安曇野市の近くの県内主要エリアと並べてみましょう。
市区中古戸建て中央値直近の取引件数位置づけ
松本市2,100万円388件(直近3年プール)参考値
塩尻市2,000万円128件(直近3年プール)参考値
安曇野市1,400万円205件(直近3年プール)参考値
上田市1,100万円365件(直近3年プール)参考値
茅野市1,000万円133件(直近3年プール)参考値
木村
木村相談者
安曇野市は県内主要エリアの中では、真ん中よりちょっと上くらいの位置なんですね。
山川
山川不動産の専門家
そうですね。長野県内でトレンドをはっきり語れる「取引が十分な区分」の市は今のところなく、松本市・塩尻市・安曇野市・上田市・茅野市はいずれも物件ごとの価格差が大きく、単年だけでは方向を断定できない参考値扱いです。その中で安曇野市は205件という3年プール件数があり、比較的まとまったデータと言えます。
木村
木村相談者
水準の話とトレンドの話は、別々に考えたほうがいいんですね。
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。数字の意味を正確に分けて見るのが、判断を誤らないコツです。ここで、最初に木村さんが仰っていた「サイトごとに数字の印象が違う」という話に一度戻ってみましょう。

情報サイトによって相場の数字が違って見える理由

木村
木村相談者
そういえば最初に話した「一括査定サイトによって数字の印象が違う」って件、結局どういうことだったんでしょうか。
山川
山川不動産の専門家
ここまで安曇野市のデータを一緒に見てきたことで、その理由がだいぶ具体的に説明できます。大きく分けて4つの違いがあります。
木村
木村相談者
4つも理由があるんですか。
山川
山川不動産の専門家
1つ目は集計期間です。直近半年や1年など短い期間だけを切り取って見せる情報サイトもあります。安曇野市のように単年ですら相対信頼区間が62.5%と振れの大きいエリアでは、短い期間だけを見ると印象が実態より偏りやすくなります。この記事では2017年からの8年分の年別推移と、直近3年のプール値の両方を示したうえで、あえて方向を断定していません。
木村
木村相談者
半年だけの数字だと、たまたま件数が少ない時期に当たったらそれだけで結論が変わっちゃいそうですね。
山川
山川不動産の専門家
まさにそのとおりです。2つ目は価格の基準です。相場情報の中には、売り出し中の物件価格や、各社独自のロジックで加工した推定値を基にしているものもあります。この記事の数字はすべて国交省の不動産情報ライブラリに記録された、実際に成約した価格だけを使っています。
木村
木村相談者
さっきも聞きましたけど、売り出し価格だと高めに出やすいんでしたね。
山川
山川不動産の専門家
そうです。3つ目はデータが少ないときの扱い方です。取引件数が十分でない項目を空欄でそのまま示す誠実なサイトもありますが、一方で本文では「今が売り時」と踏み込んだ結論を書いてしまっているケースも見られます。データが空欄なのに結論だけ断定的、というのは筋が通りません。この記事では、データが薄い、あるいは物件ごとの価格差が大きい場合は「参考値」と明記し、上昇・下降の方向を断定しないという方針を一貫させています。
木村
木村相談者
データが足りないなら、結論のほうも控えめにするのが筋ですもんね。
山川
山川不動産の専門家
4つ目は比較材料の有無です。県内・全国でどのくらいの水準にあるか、将来人口のような需給の材料に触れているかどうかも、サイトによって差があります。この記事では長野県内順位・全国順位を示したうえで、将来人口については安曇野市のデータが現時点でこのサイトに未収集であることも正直にお伝えしています。
木村
木村相談者
分からないことを分からないと言うのも、判断材料の1つになるんですね。
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。どの情報サイトを見るにしても、その数字がいつの、何を基準にした数字かを確認する癖をつけておくと、サイトごとの数字の違いに振り回されにくくなります。ここまでの整理を表にまとめておきます。
確認するポイントばらつきが出やすい理由この記事での扱い
集計期間直近半年〜1年など短期間だけを見せる場合がある2017〜2024年の8年分の推移+直近3年プール
価格の基準売り出し価格や独自集計の推定値が混ざる場合がある国交省XIT001の実際の成約価格のみ
データが薄い項目の扱い空欄で示しつつ本文は断定的な文言になることがある「参考値」と明記し方向を断定しない
分散・信頼区間の説明説明されないことが多い単年の相対信頼区間62.5%を明示
県内・全国での位置づけ示されないことが多い県内6位/9、全国520位/691を明示
将来人口などの需給材料触れられないことが多い未収集であることも含めて正直に明記
木村
木村相談者
こうやって表で並べてもらえると、この記事がどこにこだわって作られているかがよく分かります。
山川
山川不動産の専門家
数字そのものより、その数字がどこまで信用できるかを一緒に確認することが、この記事で一番大事にしている部分です。サイトによって数字の印象が違って見えたのは、木村さんの見る目がおかしいわけではなく、そもそも集計の前提が違うからだったということですね。ここまでの事実を踏まえて、安曇野市で戸建てを売ろうか考えるときの材料を整理してみましょう。

安曇野市の戸建ては「売り時」なのか、どう考えるか

木村
木村相談者
水準は低め、方向は分からない……。これって、待ったほうがいいのか、動いたほうがいいのか、正直よく分からなくなってきました。
山川
山川不動産の専門家
安曇野市の戸建てで、考える材料を並べるとこうなります。
安曇野市の戸建て・売り時を考える3つの材料
  1. 1単年トレンドは断定できない — 2024年に1,600万円まで上がった年もあれば、2022年・2023年は1,300万円と、上昇・下降のどちらとも言い切れない。3年プール(2022〜2024年)の中央値は1,400万円で、単年よりは安定している。
  2. 2物件ごとの価格差が非常に大きい — 2024年の価格帯はp25=912.5万円〜p75=2,750万円と3倍近い幅がある。安曇野市では相場よりも自分の物件そのものの査定額が決め手になりやすい。
  3. 3将来人口のデータは現時点で未収集 — このサイトでは根拠のない数字を出すより扱わない方針のため、安曇野市の将来人口には触れていません。データが揃い次第この記事を更新します。
木村
木村相談者
「上がった年もあるから待て」でも「下がった年もあるから急げ」でもなく、そもそも方向を決められるデータがないってことなんですね。
山川
山川不動産の専門家
正確に言うとそうなります。安曇野市全体の相場は水準としては低めで方向は不明、あなたの家がいくらかは別の話、この2つを分けて考えるのが誠実な向き合い方です。実際に動くかどうかは、価格以外のご自身の事情で決めるのが一番です。
木村
木村相談者
変に煽られなくて、逆に安心しました。
山川
山川不動産の専門家
正確な現在地を知ったうえで、ご自身のペースで判断していただくのが一番です。そのためには、中央値の話から一歩進んで、自分の家の査定額を把握しておくのがおすすめです。

相場が分かったら、次にやること

木村
木村相談者
相場の実態が分かったので、実際にうちの家がいくらくらいになるのか知りたくなってきました。どうすればいいですか?
山川
山川不動産の専門家
相場観がつかめた今が、次のステップに進むいいタイミングです。流れはシンプルです。
  1. 1複数の不動産一括査定サービスに、物件情報(所在地・土地と建物の広さ・築年数など)を入力する
  2. 2各社から提示される査定額を比べて、相場観(3年プールの中央値1,400万円前後)と照らし合わせる
  3. 3気になる会社があれば、訪問査定でより正確な金額を確認する
木村
木村相談者
査定って、頼んだら必ず売らないといけないんですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、査定を受けても売る義務はありません。今の価値を知るだけでも十分に意味があります。まずは気軽に相場と実額のギャップを確かめてみてください。

この記事のデータについて

項目内容
対象エリア長野県安曇野市
対象種別中古戸建て(土地付き)
データ期間2017年〜2024年(成約価格ベース)
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ(XIT001 不動産取引価格情報)
集計方法年別中央値・四分位(p25/p75)、2022〜2024年の3年プール
データの十分性参考値として掲載(物件ごとの価格の幅が大きいため、単年の方向は断定していません)
2024年取引件数70件(3年プールでは205件)
木村
木村相談者
それなら安心して試せますね。今日は「分からないことは分からない」まではっきりしたので、逆にすっきりしました。
山川
山川不動産の専門家
安曇野市の相場は水準としては全国的に低めのグループで、単年の方向は断定できないという状況です。売り時が気になったら、まずは実際の査定額を確認してみてください。判断はそのあとでゆっくりで大丈夫です。

よくある質問

木村
木村相談者
最後にいくつか、よくある疑問をまとめておきたいです。
山川
山川不動産の専門家
どうぞ。安曇野市の戸建て売却でよく聞かれる点にお答えします。
木村
木村相談者
この価格データはどこの情報なんですか?
山川
山川不動産の専門家
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実際の成約価格です。広告の売り出し価格や独自の推定値ではなく、成約ベースなので実勢に近い数字です。
木村
木村相談者
安曇野市の戸建て相場はいくらくらいですか?
山川
山川不動産の専門家
2022年から2024年の3年分をプールした中央値は1,400万円です。2024年単年では1,600万円ですが、価格帯は912.5万円〜2,750万円まで幅があります。
木村
木村相談者
価格は上がってるんですか、下がってるんですか?
山川
山川不動産の専門家
安曇野市は単年の相対信頼区間幅が62.5%と非常に大きく、この記事では上昇・下降どちらの方向も断定していません。2024年に1,600万円まで上がった年がある一方、2022年・2023年は1,300万円と、年によって上下しています。
木村
木村相談者
将来の人口が増えるかどうかも知りたいんですが。
山川
山川不動産の専門家
現時点で安曇野市の将来推計人口はこの記事のデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。分かり次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
査定は無料ですか?
山川
山川不動産の専門家
一括査定サービスの見積もりは基本的に無料で、売る義務もありません。まずは相場と実額の確認から始めるのがおすすめです。
木村
木村相談者
安曇野市は近くの松本市・塩尻市・上田市・茅野市と比べて何が違うんですか?
山川
山川不動産の専門家
中央値だけ見ると、松本市が2,100万円、塩尻市が2,000万円、安曇野市が1,400万円、上田市が1,100万円、茅野市が1,000万円です。いずれも物件ごとの価格差が大きく、単年では方向を断定できない参考値扱いという点は共通しています。安曇野市は3年プールで205件と、この中では比較的まとまった件数のあるエリアです。
木村
木村相談者
他の一括査定サイトを見たら「今が売り時」とはっきり書いてあるところもあったんですが、信用していいんでしょうか。
山川
山川不動産の専門家
サイトによって、直近半年のような短い期間の数字だけを根拠に、踏み込んだ結論を書いている場合があります。安曇野市は単年でも相対信頼区間幅が62.5%と振れが大きいエリアなので、短期間の数字だけで「今が売り時」と言い切るのは根拠として弱いと考えます。この記事では8年分のデータと3年プールの両方を確認したうえで、あえて方向を断定していません。どのサイトを見るときも、その数字が何年分の、どんな基準の数字かを確認する習慣をつけておくと安心です。
木村
木村相談者
サイトによって同じ安曇野市なのに数字がバラバラに見えたのは、そういう理由だったんですね。
山川
山川不動産の専門家
そうです。集計期間・価格の基準(成約ベースか売り出しベースか)・データが薄いときの扱い方・比較材料の有無という4つの違いが主な原因です。どれが正しい・間違っているというより、何を基準に集計しているかを確認することが大切です。この記事は国交省の成約価格を基準に、県内・全国での位置づけまで含めてお伝えしています。