木村
木村相談者
山川さん、江戸川区に中古マンションを持ってるんですけど、そろそろ売ろうかどうか迷ってて。築40年くらいの物件で、正直このまま持ってていいのか、今の相場がどのくらいなのかも分からないんです。
山川
山川不動産の専門家
それはよくあるお悩みです。マンション情報サイトの価格は「売り出し希望価格」であることが多く、実際に売れた金額とは違います。今日は国交省が公開している実際の成約データをもとに、江戸川区の中古マンションが今どのくらいの水準にあるのか、数字で確認していきましょう。
木村
木村相談者
えっ、成約データって実際に売れた金額が分かるんですか。それはありがたいです。
山川
山川不動産の専門家
ええ、不動産情報ライブラリという国交省のデータベースです。江戸川区で実際に取引された中古マンションの中央値(真ん中の価格)を、2017年から2024年まで並べてみます。

江戸川区の中古マンション価格はどう動いてきたか

江戸川区の中古マンション中央値の推移(2017年〜2024年)
江戸川区の中古マンション中央値の推移(2017年〜2024年)
山川
山川不動産の専門家
この8年間の価格推移です。中央値は、高い物件と安い物件を並べたときの真ん中の価格で、平均よりも実勢に近い指標として使われます。
年中古マンション中央値取引件数
2017年3,100万円378件
2018年3,100万円371件
2019年3,100万円392件
2020年3,100万円389件
2021年3,700万円853件
2022年3,900万円818件
2023年4,100万円846件
2024年4,100万円896件
木村
木村相談者
2020年までは3,100万円で横ばいだったのに、2021年から一気に上がって、2023年と2024年が4,100万円で並んでるんですね。
山川
山川不動産の専門家
よく見ていただきました。2017年から2024年の8年間で見ると+32.3%の上昇です。ただ直近1年(2023年→2024年)は0.0%と、2023年に到達した水準のまま横ばいが続いている形です。2020年までの4年間は動きがほとんど無く、2021年以降に急に水準が切り上がり、2023年でいったん頭打ちになった、という動きです。なぜこの数字が信頼できるのか、次のセクションで詳しくお話ししますね。

この数字は「実際に売れた金額」です

木村
木村相談者
ちなみにこの価格って、売り出しの希望価格じゃなくて、本当に売れた金額なんですか?
山川
山川不動産の専門家
そこが重要なポイントです。この記事の数字はすべて「成約価格」、つまり実際に取引が成立した金額です。国交省が取引当事者に調査した公的データを使っています。
木村
木村相談者
マンション情報サイトで見る「相場」とは違うものなんですか?
山川
山川不動産の専門家
サイトによって算出方法が違います。専有面積や築年数を入力すると、独自の計算式で推定価格を出してくれるサイトもあります。それはそれで目安にはなりますが、あくまで統計モデルによる推定値です。この記事の数字は、独自の加工をせず、実際に成約した金額の中央値をそのまま8年分並べています。
木村
木村相談者
推定でも希望額でもなくて、実際に売れた結果の数字ってことですね。それなら信頼できます。
山川
山川不動産の専門家
ええ。ただし中央値だけを見ていても、実態の半分しか分かりません。次は価格の幅と、この数字がどれくらい信頼できる水準なのかを見てみましょう。

価格の幅とデータの信頼度

木村
木村相談者
2024年の中央値4,100万っていうのは、みんなその金額くらいで売れてるってことですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、そこは誤解しやすいところです。中央値はあくまで真ん中で、実際には幅があります。2024年のデータでは、価格帯の下から4分の1にあたる金額が3,000万円、上から4分の1が5,200万円です。
木村
木村相談者
3,000万から5,200万まで、けっこう開きがありますね。
山川
山川不動産の専門家
マンションは専有面積・築年数・階数・駅からの距離で価格が変わる商品なので、幅が出やすいんです。ここでもう一つ確認しておきたいのが、2024年という単年の数字がどれくらい信頼できるかという点です。2024年単年の相対信頼区間の幅は7.3%で、取引データが十分とみなす基準(25%以下)を大きく下回っています。
木村
木村相談者
7.3%ってことは、かなり信頼できる数字なんですか?
山川
山川不動産の専門家
そうですね。2024年単年だけで896件、さらに2022年から2024年の3年分をプールすると2,560件という取引の厚みがあります。プール中央値は4,000万円で、単年の中央値(4,100万円)ともおおむね近い水準です。件数が多く、単年とプールの数字も大きくは乖離していないので、8年で+32.3%・直近1年で0.0%という数字は、たまたまの振れではなく実態に近い動きとして扱えます。
山川
山川不動産の専門家
全体の中央値と信頼度がつかめたところで、次は木村さんの物件のような築年数の古いマンションが実際どのくらいの水準なのか、築年帯別に見てみましょう。

築年帯別ではどのくらいの相場か

江戸川区の中古マンション築年帯別の中央値(直近3年・万円)
江戸川区の中古マンション築年帯別の中央値(直近3年・万円)
木村
木村相談者
全体の中央値は4,100万円でしたけど、うちみたいな築40年くらいの物件だと、もっと安いですよね?
山川
山川不動産の専門家
はい、そこが今回いちばんお伝えしたいポイントです。江戸川区の中古マンションを築年帯別に分けると、こうなります。
築年帯中央値価格帯取引件数
〜築10年5,300万円4,600万円〜6,000万円599件
築11-20年4,300万円3,600万円〜4,900万円599件
築21-30年3,900万円3,400万円〜4,500万円586件
築31年〜2,900万円2,200万円〜3,600万円670件
木村
木村相談者
築31年以上だと中央値2,900万円なんですね。全体の4,100万円よりだいぶ低い。うちの物件はまさにこの帯です。
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。全体の中央値(4,100万円)はあくまで全築年帯を混ぜた数字で、木村さんの物件のような築31年以上の帯で見ると中央値は2,900万円、価格帯は2,200万円〜3,600万円になります。ちなみにこの築31年〜の帯が4つの帯のなかで最も取引件数が多く(670件)、江戸川区の中古マンション取引の中心層になっています。
木村
木村相談者
自分の物件の築年帯で見ないと、実態とズレるってことですね。
山川
山川不動産の専門家
ええ。全体の中央値だけを見て「うちも4,100万円くらいかな」と考えると、実際の水準から離れてしまうことがあります。自分の物件に近い築年帯の数字で相場観を持つのが正確です。相場の水準がつかめたところで、次は江戸川区の将来人口についても触れておきたいのですが、実はこちらはまだお伝えできる状態ではありません。

江戸川区の将来人口の見通しについて

木村
木村相談者
人口が増えてるから価格も上がってるっていう話をよく聞くんですが、江戸川区はどうなんですか?
山川
山川不動産の専門家
正直にお伝えすると、江戸川区の将来推計人口はこのデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。データが揃い次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
そうなんですね。人口ってそんなに大事な材料なんですか?
山川
山川不動産の専門家
需要と供給を考えるうえでの材料の一つにはなります。ただ、人口が増えている区だからといって即座に価格が上がるわけではなく、金利や再開発、エリアの人気度など他の要因も絡みます。人口の動きだけで将来の価格を決めつけるのは、実は難易度が高い話なんです。相場の水準がつかめたところで、次は江戸川区が全国や都内と比べてどうなのかを見てみましょう。

全国・都内のなかで江戸川区はどのくらいの水準か

周辺エリアの中古マンション中央値の比較(2024年)
周辺エリアの中古マンション中央値の比較(2024年)
山川
山川不動産の専門家
次に、江戸川区の価格が周りと比べてどのくらいの水準なのかを見ましょう。相場は「その区だけ」では判断しにくく、近隣や全国と比べて初めて意味を持ちます。1つ先にお伝えしておくと、これから出す4つの順位は、比べる相手の顔ぶれ(母数)が少し違います。価格水準の順位は記事化している区市町村(相場を示せるだけの取引がある区市町村)全体が母数で、上昇率の順位はそのうち年ごとの傾向を安定して語れる区市町村に絞った母数です。
比較軸江戸川区の位置
東京都内の中古マンション中央値23位/47区市町村(中位の水準)
全国の中古マンション中央値37位/464市区町村(上位寄りの水準)
8年上昇率の都内順位32位/40区市町村(下位寄り)
8年上昇率の全国順位124位/217市区町村(中位からやや下)
全国平均(価格水準を比べられる区市町村の中央値の単純平均)との比較全国平均 約2,286.7万円に対して約1.79倍の水準
木村
木村相談者
全国だと37位でかなり上のほうなのに、都内だと23位で中くらいなんですね。東京の中では特別高いってわけじゃないんだ。
山川
山川不動産の専門家
そういうことです。江戸川区の水準は全国的には上位寄りですが、地価の高い東京都内で比べると中位になります。上昇率で見ると、8年上昇率は都内40区市町村中32位と、こちらは下位寄りです。近隣の区とも並べてみましょう。
市区町村中古マンション中央値8年上昇率直近1年
江東区6,000万円+71.4%+7.1%
江戸川区4,100万円+32.3%0.0%
墨田区3,700万円+37.0%+15.6%
葛飾区3,000万円+33.3%-3.2%
足立区3,000万円+30.4%-3.2%
木村
木村相談者
価格は江戸川区が2番目に高くて、上昇率だとほぼ真ん中くらいなんですね。
山川
山川不動産の専門家
ええ、価格水準は江東区に次いでこの5区の中で2番目に高く、墨田区・葛飾区・足立区より上の位置です。ただ8年上昇率(+32.3%)は葛飾区(+33.3%)とほぼ並ぶ水準で、江東区(+71.4%)や墨田区(+37.0%)には及びません。さらに直近1年を見ると、墨田区+15.6%・江東区+7.1%と上昇が続く区がある一方、江戸川区は0.0%の横ばい、葛飾区・足立区は-3.2%と下がっています。より広いエリアの相場は東京都の売り時判定記事一覧でも比較できます。
木村
木村相談者
8年では上がってるけど、直近だけ見ると横ばい……これってもう頭打ちになったってことですか?
山川
山川不動産の専門家
そこはまだ判断が難しいところです。次のセクションで、この数字をどう「売り時の判断」につなげるか、整理してお話ししましょう。

江戸川区の中古マンションは「売り時」なのか、どう考えるか

木村
木村相談者
直近1年が横ばいになってるなら、もう上がりきっちゃったんですか?
山川
山川不動産の専門家
江戸川区のマンションで、考える材料を並べるとこうなります。
江戸川区の中古マンション・売り時を考える3つの材料
  1. 18年で+32.3%の上昇、ただし2023年以降は4,100万円で横ばい — 2017年の3,100万円から2024年の4,100万円まで長期では上昇しているが、直近1年は近隣の葛飾区・足立区(ともに-3.2%)とは違い、下落ではなく横ばいで踏みとどまっている。
  2. 2データの信頼度はかなり高い — 2024年単年の相対信頼区間幅は7.3%、年間896件・3年プールで2,560件と取引が厚く、単年とプールの中央値も近い水準にある。数字自体のブレは小さい。
  3. 3築年帯で相場が大きく違う — 全体中央値は4,100万円だが、築31年以上の帯では中央値2,900万円。自分の物件に近い築年帯の数字で考えるほうが実態に近い。
木村
木村相談者
「もう上がりきった」でも「まだまだ上がる」でもなく、材料を分けて見る、ってことですね。
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。区全体の数字がどう動いているかと、あなたの家がいくらで売れるかは別の話、この2つを分けて考えるのが正確です。実際に動くかどうかは、ご自身のタイミングで決めるのが一番です。
木村
木村相談者
そう言われると気が楽です。煽られると逆に迷っちゃうので。
山川
山川不動産の専門家
大切なのは、正確な現在地を知ったうえで、ご自身のペースで判断することです。そのためには、区全体の中央値や築年帯別の相場の話から一歩進んで、自分の物件の査定額を把握しておくのがおすすめです。

相場が分かったら、次にやること

木村
木村相談者
じゃあ、実際にうちがいくらで売れそうか知りたくなってきました。どうすればいいですか?
山川
山川不動産の専門家
相場観がつかめた今が、次のステップに進むいいタイミングです。流れを整理しますね。
相場を確認したあとの進め方
  1. 1相場の位置を把握する — ここまで見てきた区全体の中央値・築年帯別の水準・都内や全国との比較を頭に入れておく。
  2. 2複数社の一括査定を申し込む — 一括査定サービスを使うと、複数の不動産会社から同時に見積もりを取れる。専有面積や階数、方角など、自分の物件の個別条件を踏まえた実額を確認する。
  3. 3査定額と相場を見比べる — 提示された査定額が、この記事で見た全体中央値4,100万円や、築31年以上の帯の中央値2,900万円(価格帯2,200万〜3,600万円)のどのあたりに位置するかを確認する。
  4. 4売る・売らないをゆっくり決める — 査定を受けたからといって売却の義務はない。資金計画や住み替え先が決まってから判断しても遅くない。
木村
木村相談者
査定って、頼んだら必ず売らないといけないんですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、査定を受けても売る義務はありません。今の価値を知るだけでも十分に意味があります。まずは気軽に相場と実額のギャップを確かめてみてください。

この記事のデータについて

項目内容
対象エリア東京都江戸川区
対象種別中古マンション
データ期間2017年〜2024年(成約価格ベース)
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ(XIT001 不動産取引価格情報)
集計方法年別中央値・四分位、築年帯別中央値、2022〜2024年の3年プール
データの十分性取引データはかなり厚い(単年の相対信頼区間幅7.3%、25%以下)
2024年取引件数896件(3年プールでは2,560件)
将来人口データ現時点で未収集(データ整備後に追記予定)
木村
木村相談者
それなら安心して試せますね。今日は数字で整理できてスッキリしました。
山川
山川不動産の専門家
江戸川区の相場は8年間で32.3%上昇、直近1年は0.0%の横ばいという状況です。取引データはかなり厚く信頼度も高いので、この数字自体は実態に近いものとして扱えます。築31年以上の物件なら中央値2,900万円という帯別の数字も参考にしてください。売り時が気になったら、まずは実際の査定額を確認してみてください。判断はそのあとでゆっくりで大丈夫です。より広いエリアの相場は東京都の売り時判定記事一覧でも比較できます。最後によくある質問もまとめておきますね。

よくある質問

木村
木村相談者
最後にいくつか、よくある疑問をまとめておきたいです。
山川
山川不動産の専門家
どうぞ。江戸川区のマンション売却でよく聞かれる点にお答えします。
木村
木村相談者
この価格データはどこの情報なんですか?
山川
山川不動産の専門家
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実際の成約価格です。広告の売り出し価格や専有面積・築年数から算出した推定価格ではなく、成約ベースなので実勢に近い数字です。
木村
木村相談者
江戸川区のマンション相場はいくらくらいですか?
山川
山川不動産の専門家
2024年の成約中央値は4,100万円です。ただしマンションは専有面積・築年数・階数で価格差が大きく、2024年のデータでは3,000万円〜5,200万円まで幅があります。2022〜2024年の3年プールでは中央値4,000万円です。
木村
木村相談者
築年数が古い物件だと、相場はどのくらい変わりますか?
山川
山川不動産の専門家
築31年以上の帯では中央値2,900万円、価格帯は2,200万円〜3,600万円です。全体の中央値(4,100万円)よりだいぶ低く、築年数の近い帯で見ることが大切です。逆に築10年以内の帯では中央値5,300万円まで上がります。
木村
木村相談者
価格は上がってるんですか、下がってるんですか?
山川
山川不動産の専門家
2017年から2024年の8年間で32.3%上昇していますが、2023年に到達した4,100万円から直近1年(2023年→2024年)は0.0%と横ばいが続いています。長期では上昇、直近は踊り場、という状況です。
木村
木村相談者
近隣の区と比べて、江戸川区の上昇率はどうなんですか?
山川
山川不動産の専門家
近隣の江東区(+71.4%)や墨田区(+37.0%)と比べると、江戸川区(+32.3%)の8年上昇率は緩やかです。葛飾区(+33.3%)とはほぼ同水準で、足立区(+30.4%)よりはやや高めです。直近1年で見ると、江戸川区は0.0%の横ばいで、墨田区・江東区は上昇が続く一方、葛飾区・足立区は-3.2%と下がっています。
木村
木村相談者
この価格データはどれくらい信頼できるんですか?
山川
山川不動産の専門家
2024年単年の相対信頼区間の幅は7.3%で、取引データが十分とみなす基準(25%以下)を大きく下回っています。年間896件、3年プールで2,560件という取引件数の厚みもあり、単年とプールの中央値も近い水準にある点からも、比較的安定した数字だと考えられます。
木村
木村相談者
将来の人口が増えるかどうかも知りたいんですが。
山川
山川不動産の専門家
現時点で江戸川区の将来推計人口はこの記事のデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。分かり次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
査定は無料ですか?
山川
山川不動産の専門家
一括査定サービスの見積もりは基本的に無料で、売る義務もありません。まずは相場と実額の確認から始めるのがおすすめです。