木村相談者
稲毛区で戸建てに住んでるんですけど、最近このあたりの中古戸建てって値上がりしてるって聞いて。うちも売ったらどれくらいになるのか、ちょっと気になってて。
山川不動産の専門家
なるほど、気になりますよね。結論から言うと、稲毛区の中古戸建ては2017年から2024年にかけて、価格の中央値としては上がってきています。ただ、直近1年だけ見ると少し落ち着いた動きも出ているので、今日はそのあたりを国交省の実際の取引データを見ながら整理していきましょう。
木村相談者
お願いします。データって、どこの数字なんですか?
山川不動産の専門家
国交省の不動産情報ライブラリ(reinfolib)が公開している、実際に成約した取引の価格情報です。REINSの成約事例をもとにした公的な集計なので、売主・買主が実際にいくらで取引したかという数字になります。稲毛区の中古戸建ては、2024年の1年間だけでも108件の取引データが集まっていて、統計として見るには十分な件数です。
木村相談者
「中古戸建て」っていうのは、うちみたいな一戸建てなら全部入るんですか?
山川不動産の専門家
このデータで言う中古戸建ては、宅地(土地と建物)の取引のうち、用途が住宅・共同住宅のものを指しています。農地や林地の取引は対象から除いています。木村さんのお宅のような、実際に人が住んでいた一戸建ての売買が対象になっていると考えてもらって大丈夫です。
稲毛区の中古戸建て、価格はどう動いてきたか

木村相談者
このグラフの数字が、実際の取引の中央値ってことですよね。
山川不動産の専門家
そうです。中央値というのは、その年の取引を安い順に並べたときにちょうど真ん中に来る価格のことです。平均値だと極端に高い物件・安い物件に引っ張られてしまうので、相場感をつかむには中央値の方が実態に近いんです。
木村相談者
2019年まではあまり動いてないけど、2020年からグッと上がってますね。
山川不動産の専門家
そうなんです。2017年・2018年は2,700万円、2019年は2,600万円で、この期間はほぼ横ばいでした。そこから2020年に2,950万円、2021年3,200万円、2022年も3,200万円、2023年に3,500万円まで上がっています。2017年と2024年を比べると、約27.8%の上昇です。
木村相談者
2024年は3,450万円で、2023年よりちょっと下がってますね。これって下落トレンドに入ったってことですか?
山川不動産の専門家
そこは断定できません。2023年の3,500万円から2024年の3,450万円への変化は前年比でマイナス1.4%とごくわずかで、誤差の範囲とも言えます。1年だけの動きで「下落トレンドに転換した」と判断するのは早いです。2017年からの8年で見れば右肩上がりで来ている、というのが実態に近い見方です。
山川不動産の専門家
数字が並んだところで、次は取引件数の方も見てみましょう。価格だけでなく、どれくらい活発に売買が行われているかも、相場を見るうえで大事な材料です。
取引はどれくらい活発なのか
木村相談者
件数もさっきの表に出てましたけど、多いんですか少ないんですか?
山川不動産の専門家
稲毛区の中古戸建ては、年によって84件から126件の間で推移していて、大きな増減はありません。2024年は108件です。この規模の件数が毎年安定して取引されているので、価格の中央値も比較的信頼できる水準だと考えられます。
木村相談者
取引が少ない街だと、価格もブレやすいってことですか?
山川不動産の専門家
そのとおりです。年間の取引が数件しかない地域だと、たまたま高額な物件が売れただけで中央値が跳ね上がったりします。稲毛区は直近3年間(2022〜2024年)をまとめても304件の取引があり、単年でも100件前後の水準を保っているので、価格の動きは実勢に近いものとして扱えます。
木村相談者
安心して見ていい数字ってことですね。じゃあ、うちを売るとしたら実際どれくらいの価格帯になりそうなんでしょう。
山川不動産の専門家
そこは物件の状態や立地で幅が出ますが、2024年のデータでは、下位25%の物件で2,475万円、上位25%の物件で4,400万円という範囲に取引の大半が収まっています。中央値の3,450万円を軸に、駅からの距離や土地の広さで上下する、というイメージを持っておくといいと思います。
木村相談者
さっき出てきた「2022〜2024年で304件、中央値3,300万円」っていう数字は、単年の数字とどう使い分けたらいいんですか?
山川不動産の専門家
直近3年(2022〜2024年)をまとめた3,300万円は、単年ごとの偏りをならした数字です。単年の中央値(2022年3,200万円、2023年3,500万円、2024年3,450万円)を見ると年によって上下しますが、3年分をまとめることで「たまたまその年に高額な物件が多く売れた」といった振れ幅の影響が小さくなります。大きな傾向をつかみたいときはこの3年プールの数字、直近の空気感を知りたいときは単年の数字、と使い分けるとイメージしやすいです。
木村相談者
下位25%と上位25%の差って、年によって変わったりするんですか?
山川不動産の専門家
変わります。2022年は下位25%が2,450万円、上位25%が4,100万円で、その差は1,650万円でした。2023年は下位25%が2,400万円、上位25%が4,800万円まで開いていて、差は2,400万円に広がっています。2024年は下位25%が2,475万円、上位25%が4,400万円で、差は1,925万円と2023年よりはやや縮まりました。
木村相談者
2023年だけ幅が広がったのは、何か理由があるんですか?
山川不動産の専門家
そこまでは今回のデータからは断定できません。ただ、価格帯の異なる物件が同じ年に混在して取引された、とは考えられます。このように年によって幅が広がったり縮んだりする以上、中央値だけを鵜呑みにせず、実際に査定を受けて自分の家がどのあたりの価格帯に位置するかを確認する方が確実です。
「今が売り時か」をどう考えるか
木村相談者
結局、今って売り時なんですか?
山川不動産の専門家
そこは私からは「今が売り時です」とは言えません。ここまで見てきたように、稲毛区の中古戸建ては2017年からの8年間で価格が上がってきたのは事実です。ただ、価格が上がっているからといって、すべての人にとって「今売るべき」とは限りません。住み替えの予定があるのか、まだ住み続けるつもりなのか、ローンの状況はどうか、といった個別の事情の方が判断には大きく影響します。
木村相談者
なるほど、価格だけでは決められないってことですね。
山川不動産の専門家
そうです。私たちができるのは、あくまで「価格はこう動いてきた」という客観的な材料を渡すことまでです。そのうえで、実際に売るかどうか、いつ売るかは、木村さんのタイミングとご事情で決めていただくのが一番だと思っています。
山川不動産の専門家
とはいえ、実際に自分の家がいくらで売れそうかは、この中央値だけでは分かりません。次は、実際の査定額を確認する流れを見てみましょう。
相場を調べたら、次にやること
木村相談者
相場感は分かりました。じゃあ、実際に自分の家の値段を知るにはどうしたらいいんですか?
山川不動産の専門家
ここまでの数字は稲毛区全体の中央値なので、木村さんの家がそのまま3,450万円で売れるとは限りません。実際の価格を知るには、不動産会社による査定を受けるのが一番確実です。
- 1相場を把握する — ここまで見てきたような公的データで、エリア全体の価格の傾向をつかみます。
- 2複数社に査定を依頼する — 一括査定サービスを使うと、複数の不動産会社から査定額を比較できます。1社だけだと相場から外れた金額を提示されても気づきにくいためです。
- 3査定額と根拠を比較する — 提示された金額だけでなく、なぜその価格になるのか、近隣の取引事例なども確認します。
- 4売るかどうかを判断する — 査定額が分かってから、実際に売るかどうか、いつ売るかを検討します。査定を受けたからといって、必ず売却する必要はありません。
基本情報まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象エリア | 千葉県千葉市稲毛区 |
| 対象種別 | 中古戸建て(宅地(土地と建物)、住宅・共同住宅用途) |
| データ期間 | 2017年〜2024年 |
| 出典 | 国交省 不動産情報ライブラリ(reinfolib) XIT001 不動産取引価格情報 |
| 2024年 価格中央値 | 3,450万円 |
| 2024年 取引件数 | 108件 |
| 8年間の価格変化 | +27.8% |
木村相談者
表になってるとイメージしやすいですね。他の区と比べたらどうなんだろう。
山川不動産の専門家
いい質問です。次はそこを見てみましょう。
千葉市の他の区・全国と比べるとどうか

木村相談者
へえ、稲毛区って結構高い方なんですね。全国で見るとどうなんですか?
山川不動産の専門家
全国の市区町村(価格を語れる水準のデータがある691市区町村)の中で、稲毛区は163位です。千葉県内(40市区町村)では8位で、県内でも上位に入ります。一方で、稲毛区のように価格の推移まで安定して語れる市区町村(全国179市区町村)に絞って平均中央値を見ると、およそ4,000万円です。稲毛区の3,450万円は、この179市区町村の平均と比べるとやや低めの水準です。
木村相談者
上がり方のペースはどうなんですか?
木村相談者
上昇率で見ると、稲毛区は他の区と比べてどのあたりの位置なんですか?
山川不動産の専門家
一つずつ見ていきましょう。中央区は8年で+45.7%と、千葉市6区の中でもっとも上昇率が高い区です。価格自体は稲毛区の3,450万円の方が中央区の3,350万円よりやや高いのですが、上昇のペースでは中央区の方が勢いがあります。緑区も+39.1%で、稲毛区より上昇ペースが速い区の一つです。若葉区は価格水準こそ2,800万円と6区で一番低めですが、上昇率は+36.6%と稲毛区より高く、低い水準から追い上げてきている形です。花見川区の3,400万円は物件ごとの価格の幅が大きいため参考値としての位置づけになります。美浜区は稲毛区より価格水準は高い(4,500万円)ものの、上昇率は+26.8%で、稲毛区の+27.8%とほぼ同じペースです。
木村相談者
つまり稲毛区は、価格自体は高めだけど上がり方は落ち着いてる、ということですね。
山川不動産の専門家
そう言えます。稲毛区は6区の中で価格水準は上位に入りつつ、上昇ペースは中央区や緑区ほど急ではありません。急激な値上がりで判断を急がされるような状況ではなく、落ち着いて相場を見極めながら検討できる区だと考えられます。
山川不動産の専門家
マンションもあわせて検討している場合は、稲毛区の中古マンションの売り時記事もあわせてご覧いただくと、エリア全体の相場感がつかみやすいと思います。
よくある質問
木村相談者
最後にいくつか気になることを聞いてもいいですか?
山川不動産の専門家
もちろんです。
木村相談者
2024年に価格が少し下がったのは、稲毛区の戸建て人気がなくなったってことですか?
山川不動産の専門家
そう断定はできません。1年分の下落幅(マイナス1.4%)は、取引された物件の内容(築年数や広さ、立地)による振れ幅の範囲内とも考えられます。8年単位で見ると上昇基調にあるので、直近1年の動きだけで人気の低下と結論づけるのは早いです。
木村相談者
この中央値って、うちの家の値段とイコールと考えていいんですか?
山川不動産の専門家
いいえ、あくまでエリア全体の目安です。木村さんの家の実際の価値は、築年数・立地・広さ・状態によって変わります。正確な金額を知りたい場合は、実際に査定を受けることをおすすめします。
木村相談者
査定を頼んだら、そのまま売らなきゃいけないんですか?
山川不動産の専門家
いいえ、査定を受けただけで売却の義務が発生することはありません。相場を知る目的だけで利用しても問題ありません。
木村相談者
うちは築年数がけっこう経ってるんですけど、築年数別の相場みたいなのは分からないんですか?
山川不動産の専門家
正直にお伝えすると、稲毛区の中古戸建ては築年数の帯ごとに分けて出せるほど各帯のデータがまとまっていないため、今回は築年数別の相場はお出ししていません。数字を無理に出すより、根拠が薄い数字を出さない方が誠実だと考えています。ここで示した3,450万円という中央値は、築年数を問わず稲毛区全体の取引をならした数字として参考にしてください。
木村相談者
将来の人口が減るかどうかも、価格に関係あるって聞いたことがあるんですけど、稲毛区はどうなんですか?
山川不動産の専門家
将来推計人口も需給を考える材料の一つになり得ますが、稲毛区についてはこの記事の時点でその推計データを確認できていません。確認できていない数字を持ち出して判断材料にするのは誠実でないので、今回は過去の取引価格の実績データに絞って紹介しています。
木村相談者
そもそも人口が減ると価格が下がるっていうのは、本当のことなんですか?
山川不動産の専門家
一般論として、人口と不動産価格の間には緩やかな相関があるとは言われています。ただ、それはあくまで数ある要因の一つです。同じように人口減少が見込まれるエリアでも、住宅ローン金利の水準や、駅周辺の再開発の有無、周辺エリアからの人の流入といった別の要因の方が、実際の価格には強く影響することも珍しくありません。人口の増減だけを見て「だから価格が上がる」「だから価格が下がる」と単純に結びつけるのは早計で、あくまで判断材料の一つとして捉えておくのが適切です。
木村相談者
じゃあ、稲毛区の人口の見通しが分からないからといって、そんなに心配しなくてもいいってことですか?
山川不動産の専門家
そうですね。今回稲毛区についてお伝えできるのは、あくまで過去8年間の実際の取引価格の推移という事実です。将来の人口動向が確認できればそれも判断材料に加えられますが、確認できていない以上は無理に予測を語らず、確認できている過去の実績データをもとに考えていただくのが誠実だと思っています。