木村相談者
すみません、名古屋市港区で戸建てに住んでるんですけど、最近ちょっと売却も考え始めてて。港区の中古一戸建てって、今どんな感じなんですか?
山川不動産の専門家
いいタイミングでご相談いただきました。港区は名古屋港のそばに広がるエリアで、名古屋市16区の中では比較的手頃な価格帯として知られています。国交省の不動産情報ライブラリ(reinfolib)に登録されている実際の成約データを使って、価格の推移から一緒に見ていきましょう。
木村相談者
「実際の成約データ」っていうのがポイントなんですか?
山川不動産の専門家
そうなんです。不動産ポータルサイトに出ている価格は「売り出し価格」、つまり売主が「このくらいで売れたらいいな」という希望価格です。一方で私たちが見るのは実際に売買契約が成立した価格なので、相場感としてはこちらのほうが実態に近いと言えます。
港区の中古一戸建て、価格はどう動いてきたか

木村相談者
このグラフ、うちの近所の話なので気になります。ここ数年でどう変わってきたんですか?
山川不動産の専門家
2017年から2024年までの8年間で見ると、中古一戸建ての価格中央値は2,650万円から2,800万円へ、約5.7%上昇しています。ゆるやかな右肩上がりが続いてきた、というのが基本の流れです。
木村相談者
へえ、意外とちゃんと上がってるんですね。
山川不動産の専門家
ただ、直近の1年だけを見ると少し違う動きをしています。2023年の中央値は3,000万円でしたが、2024年は2,800万円と前年から6.7%下落しました。8年単位では緩やかな上昇、直近1年だけなら下落、という2つの顔があるんです。
木村相談者
どっちを信じればいいんですか?
山川不動産の専門家
どちらも「事実」なので、両方を材料として見るのが正確です。年ごとの数字を表にまとめました。
| 年 | 価格中央値 | 取引件数(参考) |
|---|---|---|
| 2017年 | 2,650万円 | 82件 |
| 2018年 | 2,700万円 | 79件 |
| 2019年 | 2,700万円 | 72件 |
| 2020年 | 2,600万円 | 114件 |
| 2021年 | 2,800万円 | 80件 |
| 2022年 | 2,800万円 | 78件 |
| 2023年 | 3,000万円 | 63件 |
| 2024年 | 2,800万円 | 70件 |
山川不動産の専門家
2023年に3,000万円まで上がった後、2024年は2,800万円に戻ってきた、という見方もできます。1年だけの変動には、たまたま高額な物件・低価格な物件が多く取引された、という偶然の影響も混ざりやすいので、1年の増減だけで一喜一憂しすぎないのがコツです。
木村相談者
なるほど、8年の流れと直近1年、両方見るのが大事なんですね。じゃあ最近の取引の状況はどうなんですか?件数とか。
直近の取引件数はどのくらいあるか
山川不動産の専門家
2024年の1年間で、港区の中古一戸建ての取引は70件ありました。これは名古屋市16区の中でも比較的活発な水準です。2020年には114件と特に多く取引された年もあり、年によって40〜50件ほどの幅で増減しています。
木村相談者
2020年だけ急に増えてるのは、何か理由があるんですか?
山川不動産の専門家
正直なところ、この記事のデータだけでは特定の理由までは分かりません。ただ、こういう単年の増減は毎年一定数起こるもので、1年だけの件数の増減に強い意味を求めすぎないほうが実態に近い見方だと思います。8年分をならして見ると、平均でも年間80件前後の取引がある区、というのが港区の実像です。
木村相談者
件数が多いと何がいいんですか?
山川不動産の専門家
取引件数が多いほど、価格の中央値が「たまたまの数件」に引っ張られにくくなります。港区の場合、直近3年間(2022年〜2024年)をまとめたプール中央値は2,900万円(取引211件)で、単年の数字と比べても大きなブレはありません。データとしての安定感がある、というのがこの区の特徴です。
山川不動産の専門家
ちなみに、価格のばらつきの目安になる相対信頼区間の幅は21.4%です。この数字が小さいほど「中央値がどのくらい信用できる代表値か」の目安になり、港区は年ごとのトレンドを提示できる水準にあります。
木村相談者
難しい言葉ですけど、要するに「そこそこ信頼できる数字」ってことですね。
木村相談者
その21.4%っていうのは、どうやって出してる数字なんですか?
山川不動産の専門家
ざっくり言うと「価格のばらつきの大きさ」を中央値に対する割合で表したものです。取引ごとの価格は、土地の広さや築年数、駅からの距離といった個別事情でかなり差が出ますが、その差をならして「中央値がどのくらいの振れ幅を持つ代表値か」を数値化したのがこの幅です。数字が大きいほど、物件ごとの価格差が大きくて中央値だけでは実態を語りにくいということになります。港区の21.4%は、単年の数字でも年ごとのトレンドを示して差し支えない水準に収まっています。
山川不動産の専門家
そういうことです。もう一つ参考になるのが価格の「ばらつき」です。2024年の取引データでは、価格の低いほうから数えて4分の1にあたる金額が2,100万円、高いほうから4分の1にあたる金額が3,275万円でした。つまり7割前後の取引がだいたい2,100万円〜3,275万円のレンジに収まっているということです。中央値の2,800万円だけでなく、この幅も知っておくと、査定額が出たときに「相場のどのあたりか」を判断しやすくなります。
木村相談者
なるほど、幅で見るのも大事なんですね。じゃあ他の区と比べるとどうなんですか、港区の相場って高いんですか安いんですか?
名古屋市の中で、港区はどのくらいの水準か

木村相談者
あれ、港区だけ安いんですか?
山川不動産の専門家
名古屋港周辺の工業地帯が含まれるエリアという特性上、住宅地としてのブランド価値は千種区や瑞穂区のような文教エリアに比べると付きにくい傾向があります。その分、同じ予算でも広めの土地や建物を選びやすい、という側面もあります。安さには理由があり、それが良いか悪いかは購入・売却する人の価値観次第です。
木村相談者
価格だけじゃなくて、上がり方も港区と近隣区で違うんですか?
山川不動産の専門家
はい、8年間の上昇率で比べるとはっきり差が出ます。港区は2017年比で約5.7%の上昇でしたが、中川区は約1.6%、南区は約5.0%の上昇にとどまっています(熱田区は取引件数が少ないため、上昇率の比較には含めていません)。取引件数で見ても、港区の70件に対して中川区は134件、南区は100件と、いずれも港区より多く取引されています。同じ名古屋市内の隣接区でも、価格の水準・伸び方・取引の活発さがそれぞれ違うことが分かります。
山川不動産の専門家
もう少し広い範囲でも見てみましょう。愛知県内の中古一戸建て(データが十分ある区市町村55件)の中で、港区の価格水準は34位、全国(691件)では248位という位置づけです。
| 比較軸 | 港区の順位 |
|---|---|
| 愛知県内(価格水準) | 34位 / 55件中 |
| 全国(価格水準) | 248位 / 691件中 |
| 愛知県内(8年上昇率) | 12位 / 25件中 |
| 全国(8年上昇率) | 144位 / 179件中 |
木村相談者
上昇率の順位は低めなんですね。
山川不動産の専門家
そうですね、8年で5.7%の上昇自体は事実ですが、他の上昇率が高い区市町村と比べると相対的には緩やかな伸びだったと言えます。ちなみに、価格水準が十分にあるとされる全国179市区町村の中央値を平均すると約4,001万円になるので、港区の2,800万円はそれよりだいぶ手頃な水準にあります。
木村相談者
数字で見るとイメージが変わりますね。じゃあ結局、今売るのがいいのか悪いのか、どう考えたらいいんでしょう。
「売り時」をどう考えるか
山川不動産の専門家
ここまでの数字をまとめると、8年間ではゆるやかに価格が上がってきた一方、直近1年は下落していて、上昇率としては全国の中でも控えめ、という状況です。この事実だけから「今すぐ売るべき」「まだ待つべき」と決めつけることはできません。
山川不動産の専門家
これらはあくまで「材料」であって、答えそのものではありません。住み替えのタイミングや資金計画、家族の事情など、個別の状況によって最適なタイミングは変わってきます。
木村相談者
材料としてはプラスなんですか、マイナスなんですか?
山川不動産の専門家
どちらとも言い切れない、というのが正直なところです。8年トレンドだけ見ればプラス材料ですし、直近1年や全国順位だけ見ればやや控えめな材料に見えます。複数の材料を並べて、自分の状況と照らし合わせて判断するのが、遠回りに見えて一番確実な方法だと思います。
木村相談者
なるほど、データはあくまで参考ってことですね。じゃあ、実際に自分の家がいくらで売れそうか知りたい場合は、どうすればいいんですか?
相場を調べたら、次にやること
山川不動産の専門家
ここまでの数字は港区全体の傾向です。実際の売却額は、駅からの距離や土地の形、建物の状態によって変わってくるので、次のステップとしては具体的な査定を受けてみるのがおすすめです。
- 1相場感を持っておく — この記事の価格中央値や取引件数を、査定額を見るときの物差しとして覚えておきましょう。
- 2複数の会社に査定を依頼する — 一括査定サービスを使うと、複数の不動産会社から査定額を一度に比較できます。
- 3査定額と相場を照らし合わせる — 提示された金額が、港区の中央値や近隣区の水準からかけ離れていないか確認しましょう。
- 4急がず検討する — 査定はあくまで見積もりです。売却するかどうかは、査定額を見てから改めて考えても遅くありません。
木村相談者
査定を受けたら、絶対に売らなきゃいけないんですか?
山川不動産の専門家
いいえ、そんなことはありません。査定はあくまで無料の見積もりで、売却を義務づけるものではありません。まずは自分の家がいくらくらいになりそうか知っておくだけでも、今後の判断材料になります。
港区の基本データまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象エリア | 名古屋市港区 |
| 対象物件種別 | 中古一戸建て(宅地・土地建物、居住用) |
| 価格データの対象期間 | 2017年〜2024年 |
| 価格データの出典 | 国交省 不動産情報ライブラリ(reinfolib) XIT001 不動産取引価格情報 |
| 2024年の価格中央値 | 2,800万円 |
| 2024年の取引件数 | 70件 |
木村相談者
港区以外の近くの区も、同じように調べられるんですか?
近隣区の相場もあわせてチェック
山川不動産の専門家
はい、中川区の中古戸建て相場や熱田区の中古戸建て相場も同じ方法でまとめています。どちらも港区の隣接区にあたるので、引っ越し先の候補として比較する際にも参考になると思います。
木村相談者
見比べてみます。あと、いくつか気になったことを聞いてもいいですか?
よくある質問
木村相談者
港区の中古一戸建ての価格は、これからも上がり続けるんですか?
山川不動産の専門家
それは誰にも断定できません。2017年から2024年は約5.7%の緩やかな上昇でしたが、直近1年は下落しています。過去の傾向が続く保証はないので、将来の価格を予測する材料としてではなく、あくまで「これまでの事実」として受け止めるのがよいと思います。
木村相談者
港区の一戸建てが他の区より安いのは、資産価値が低いということですか?
山川不動産の専門家
「安い」と「資産価値が低い」は必ずしもイコールではありません。工業地帯を含むエリア特性上、住宅地としてのブランド的な価格プレミアムが付きにくい面はありますが、同じ予算でより広い土地・建物を選べるという価値もあります。何を優先するかは人によって変わります。
木村相談者
取引件数が70件というのは、多いんですか少ないんですか?
山川不動産の専門家
名古屋市の区としては十分にまとまった件数です。年によって63件〜114件の幅がありますが、直近3年間の合計では211件の取引データがあるので、価格の中央値としても一定の信頼性がある水準だと言えます。
木村相談者
港区と中川区・南区・熱田区、価格が一番上がっているのはどこですか?
山川不動産の専門家
8年間の上昇率で比べると、港区は約5.7%、南区は約5.0%、中川区は約1.6%の上昇です(熱田区は取引件数が少ないため、上昇率の比較には含めていません)。上昇率だけを見ると港区がやや高めですが、価格の絶対水準は中川区・南区・熱田区の方が港区より高い状態が続いています。上昇率を重視するか、価格の絶対水準を重視するかで見え方が変わるので、どちらか一方だけで判断しない方がよいと思います。
木村相談者
不動産ポータルサイトに出ている価格と、この記事の数字が違うことってあるんですか?
山川不動産の専門家
よくあります。ポータルサイトの多くは「今売り出し中の物件の価格」を集計していて、これは売主の希望価格です。実際に買い手がついて契約が成立するまでに、値下げ交渉が入ることも珍しくありません。この記事の数字は実際に成約した価格を国交省のデータから集計しているので、売り出し中の相場観とはズレることがあります。査定額を見るときは、どちらの数字を見ているのか意識しておくと安心です。
木村相談者
よく分かりました。まずは自分の家、査定に出してみようと思います。
山川不動産の専門家
いいと思います。相場を知った上で査定額を見ると、判断もしやすくなるはずです。下のリンクから、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できます。