木村
木村相談者
山川さん、世田谷区のマンション、そろそろ売ろうか迷ってるんです。都内でも人気のエリアってよく聞くけど、実際のところ値上がりしてるんですか?
山川
山川不動産の専門家
いい着眼点です。世田谷区は公的なデータで見てもこの8年ではっきり値上がりしているエリアですよ。国土交通省が公開している実際の成約価格を年ごとに並べると、動きがよく分かります。
木村
木村相談者
えっ、感覚じゃなくて数字で見られるんですね。それは安心です。
山川
山川不動産の専門家
ええ、不動産情報ライブラリという国交省のデータベースです。世田谷区で実際に取引された中古マンションの中央値(真ん中の価格)を、2017年から2024年まで見てみましょう。

世田谷区の中古マンション価格はどう動いてきたか

世田谷区の中古マンション中央値の推移(2017年〜2024年)
世田谷区の中古マンション中央値の推移(2017年〜2024年)
山川
山川不動産の専門家
この8年間の価格推移です。中央値は、高い物件と安い物件を並べたときの真ん中の価格で、平均より実勢に近い指標です。
中古マンション中央値取引件数
2017年3,600万円835件
2018年3,700万円871件
2019年4,050万円860件
2020年4,400万円1,016件
2021年5,200万円2,218件
2022年5,400万円2,232件
2023年5,700万円2,115件
2024年5,800万円2,161件
木村
木村相談者
2017年の3,600万から2024年の5,800万って、2,200万も上がってるんですね。
山川
山川不動産の専門家
そうなんです。8年間で61.1%の上昇です。特に2021年にかけて取引件数が一気に増え、その後も高い水準を保ったまま値を切り上げています。直近の2023年から2024年の1年でも1.8%上がりました。
木村
木村相談者
2021年に件数が倍近くに増えてるのは何かあったんですか?
山川
山川不動産の専門家
そこまでの理由はデータからは分かりませんが、2020年の1,016件から2021年は2,218件とほぼ倍増し、その後2,000件台で高止まりしています。取引の母数が増えたぶん、価格の動きも読み取りやすくなっている期間と言えます。
木村
木村相談者
なるほど、直近の数字は根拠がしっかりしてそうですね。

この数字は「実際に売れた金額」です

木村
木村相談者
ちなみにこの価格って、売り出しの希望価格じゃなくて、本当に売れた金額なんですか?
山川
山川不動産の専門家
そこが大事なところです。この記事の数字はすべて「成約価格」、つまり実際に取引が成立した金額です。国交省が取引当事者に調査した公的データを使っています。
木村
木村相談者
ネットの相場サイトで見る価格とは違うんですか?
山川
山川不動産の専門家
ええ。広告に出ている「売り出し価格」は売主の希望額なので、実際の成約より高めに出やすい傾向があります。成約価格ベースだと、「本当にいくらで売れたか」の実勢に近い数字が分かります。売却を考えるなら、こちらを基準にするのが安全です。
木村
木村相談者
希望額じゃなくて結果の数字なんですね。それなら信頼できます。
山川
山川不動産の専門家
2024年のデータでは、価格帯の下から4分の1にあたる金額(p25)が3,400万円、上から4分の1(p75)が8,200万円です。中央値5,800万円をはさんで、この間に多くの取引が収まっています。立地・階数・広さ・築年数で変わるので、そのぶんの幅です。
木村
木村相談者
3,400万から8,200万まで、けっこう幅がありますね。
山川
山川不動産の専門家
ここでもう一つ確認しておきたいのが、2024年という単年の数字が偶然の値ではないかという点です。2022年から2024年の3年分をまとめてプールすると、取引件数は6,508件、中央値は5,600万円になります。単年の5,800万円と大きくズレていないので、直近の水準はおおむね安定していると見てよさそうです。
木村
木村相談者
3年でまとめても大きく変わらないなら、たまたま高かったわけじゃなさそうですね。
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。単年の相対信頼区間の幅は6.9%と小さく、統計的にもブレの少ない数字と言えます。世田谷区は年間2,000件を超える取引があるので、中央値だけでなく、この幅と複数年のクロスチェックまで見ておくと、相場の見誤りを防げます。

築年帯別に見ると、あなたの物件はいくらか

木村
木村相談者
ただ、うちの部屋がそのまま5,800万で売れるわけじゃないですよね? うち、築40年くらいの、わりと年季が入った物件なんですけど。
山川
山川不動産の専門家
とても大事な視点です。中央値5,800万円はあくまで全体の真ん中で、実際は築年数で価格が大きく変わります。世田谷区は取引が多いので、築年帯で分けても各帯に1,000件を超えるデータがあり、帯ごとの相場をきちんと出せます。直近3年の成約価格を築年帯別に見てみましょう。
世田谷区の築年帯別 中古マンション中央値
世田谷区の築年帯別 中古マンション中央値
築年帯中央値価格の幅(p25〜p75)取引件数
〜築10年7,500万円5,600万円〜9,100万円1,192件
築11〜20年6,800万円4,800万円〜8,700万円1,795件
築21〜30年5,800万円4,200万円〜7,500万円1,360件
築31年〜3,400万円1,800万円〜5,000万円2,072件
木村
木村相談者
えっ、築浅の7,500万と築31年〜の3,400万で、2倍以上違うんですか。全体の5,800万とは印象がだいぶ違いますね。
山川
山川不動産の専門家
そこが肝心です。木村さんの築40年くらいなら「築31年〜」帯にあたり、中央値は約3,400万円、価格の幅は1,800万〜5,000万円です。全体の5,800万円より、むしろこちらのほうが実勢に近い目安になります。しかもこの帯は2,072件と全帯の中で最も取引数が多く、世田谷区でいちばん動いている価格帯でもあります。
木村
木村相談者
へえ、うちの帯がいちばん取引が多いんですね。全体の5,800万よりだいぶ低いとは、正直思っていませんでした。
木村
木村相談者
数字を自分ごとに引き寄せられました。うちの帯は他より安いほうだと分かって、ちょっと複雑です。
山川
山川不動産の専門家
気持ちは分かりますが、金額の高低と「売り時かどうか」は別の話です。築31年〜帯は取引件数がいちばん多い、つまり需要があって動いている帯でもあります。まずは自分の帯の現在地を正確に押さえておきましょう。

全国・都内のなかで世田谷区はどのくらいの水準か

周辺区の中古マンション中央値の比較
周辺区の中古マンション中央値の比較
山川
山川不動産の専門家
次に、世田谷区の価格が周りと比べてどのくらいの水準なのかを見ましょう。相場は「その街だけ」では判断しにくく、近隣や全国と比べて初めて意味を持ちます
比較軸世田谷区の位置
東京都内の中古マンション中央値7位/47市区町村(取引データが十分な区分内)
全国の中古マンション中央値7位/464市区町村
8年上昇率の都内順位14位/40市区町村(上昇率で語れる市区の中で)
8年上昇率の全国順位31位/217市区町村
全国平均(取引が十分な区分の中央値の単純平均)との比較全国平均 約2,885万円に対して約2.0倍の水準
木村
木村相談者
都内でも全国でも7位なんですね。かなり上のほうだ。
山川
山川不動産の専門家
そうです。世田谷区は価格水準そのものが全国トップクラスです。一方で上昇率は都内14位・全国31位と、水準ほど突出してはいません。周辺の区とも並べてみましょう。
中古マンション中央値8年上昇率
渋谷区7,000万円+112.1%
目黒区6,100万円+69.4%
世田谷区5,800万円+61.1%
杉並区4,200万円+68.0%
中野区4,200万円+61.5%
大田区3,500万円+52.2%
木村
木村相談者
渋谷区や目黒区より水準は下だけど、大田区や中野区よりは高いんですね。上昇率も渋谷区が飛び抜けてます。
山川
山川不動産の専門家
ええ、水準は渋谷区・目黒区のほうが上ですが、世田谷区も都心近接区の中では十分に高い水準です。上昇率で見ると渋谷区の112.1%が突出していて、世田谷区の61.1%はそれに次ぐグループになります。区によって伸びのペースは違うので、水準と伸び率は分けて見るのがコツです。
木村
木村相談者
全部同じ基準で比べられるのはありがたいです。

世田谷区は「売り時」なのか、どう考えるか

木村
木村相談者
価格が上がってて、全国でも上位の水準。…これって、うちも早めに動いたほうがいいってことですか?
山川
山川不動産の専門家
相場が上がっている局面は、たしかに売却を検討する人にとって追い風ではあります。ただ、価格が高いから必ず売る、という話ではありません。あくまであなたの事情ありきで、相場は「今どのくらいで売れそうか」を知るための材料です。木村さんの築31年〜帯は2,072件と取引がいちばん活発で、買い手が付きやすい帯でもあります。
木村
木村相談者
金額は控えめでも、動きやすい帯ではあるんですね。
山川
山川不動産の専門家
そのくらいの理解が正確です。「高いから急いで」でも「安いからまだ早い」でもありません。世田谷区全体は上昇傾向、あなたの帯は取引が活発、この2つは事実として押さえつつ、実際に動くかどうかはご自身のタイミングで決めるのが一番です。
木村
木村相談者
そう言われると気が楽です。煽られると逆に迷っちゃうので。
山川
山川不動産の専門家
大切なのは、正確な現在地を知ったうえで、ご自身のペースで判断することです。そのためには、中央値の話から一歩進んで、自分の部屋の査定額を把握しておくのがおすすめです。

相場が分かったら、次にやること

木村
木村相談者
じゃあ、実際にうちがいくらで売れそうか知りたくなってきました。どうすればいいですか?
山川
山川不動産の専門家
相場観がつかめた今が、次のステップに進むいいタイミングです。流れはシンプルです。
  1. 1複数の不動産一括査定サービスに、物件情報(所在地・専有面積・築年数など)を入力する
  2. 2各社から提示される査定額を比べて、相場観と照らし合わせる
  3. 3気になる会社があれば、訪問査定でより正確な金額を確認する
木村
木村相談者
査定って、頼んだら必ず売らないといけないんですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、査定を受けても売る義務はありません。今の価値を知るだけでも十分に意味があります。まずは気軽に相場と実額のギャップを確かめてみてください。

この記事のデータについて

項目内容
対象エリア世田谷区
対象種別中古マンション等
データ期間2017年〜2024年(成約価格ベース)
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ(XIT001 不動産取引価格情報)
集計方法年別中央値・四分位(p25/p75)、2022〜2024年の3年プール、築年帯別(直近3年)
データの十分性取引データは十分(単年の相対信頼区間幅 6.9%、25%以下)
2024年取引件数2,161件
木村
木村相談者
それなら安心して試せますね。今日は数字で整理できてスッキリしました。
山川
山川不動産の専門家
世田谷区の相場が上昇傾向にあるのは確かなので、売り時が気になったら、まずは実際の査定額を確認してみてください。判断はそのあとでゆっくりで大丈夫です。

よくある質問

木村
木村相談者
最後にいくつか、よくある疑問をまとめておきたいです。
山川
山川不動産の専門家
どうぞ。世田谷区のマンション売却でよく聞かれる点にお答えします。
木村
木村相談者
この価格データはどこの情報なんですか?
山川
山川不動産の専門家
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実際の成約価格です。広告の売り出し価格ではなく、成約ベースなので実勢に近い数字です。
木村
木村相談者
築年数で価格はどのくらい違うんですか?
山川
山川不動産の専門家
世田谷区では築浅(〜10年)が約7,500万円、築31年〜が約3,400万円と、築年で2倍以上の開きがあります。全体の中央値5,800万円だけでなく、自分の築年帯で見るのが正確です。
木村
木村相談者
中央値と平均は何が違うんですか?
山川
山川不動産の専門家
平均は極端に高い物件に引っ張られやすいのに対し、中央値は真ん中の実感に近い指標です。この記事では中央値を使っています。
木村
木村相談者
将来の人口が増えるかどうかも知りたいんですが。
山川
山川不動産の専門家
現時点で世田谷区の将来推計人口はこの記事のデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。分かり次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
査定は無料ですか?
山川
山川不動産の専門家
一括査定サービスの見積もりは基本的に無料で、売る義務もありません。まずは相場と実額の確認から始めるのがおすすめです。