木村相談者
山川さん、福岡市南区にマンションを持ってるんですけど、そろそろ売却も考えてまして。うちのあたりの相場って、実際どのくらいなんでしょうか。
山川不動産の専門家
不動産アドバイザーの山川です。よろしくお願いします。南区は大橋駅や高宮駅、井尻駅のあたりに住宅街が広がっていて、福岡市の中でも住宅街としての性格が強いエリアですよね。国土交通省の不動産情報ライブラリに登録されている、実際に成約した中古マンションの取引データをもとにお答えできますよ。
木村相談者
実際に成約した価格、っていうのがポイントなんですか?
山川不動産の専門家
そうなんです。不動産のポータルサイトでよく見る相場は「売り出し中の希望価格」をもとにしているケースが多いんですが、それはまだ売れていない金額です。私たちがお見せするのは、登記まで完了して本当に取引が成立した価格だけを集計したものなので、より実態に近い数字だと思ってください。
木村相談者
なるほど、それなら安心して見られそうです。じゃあ早速、価格の推移から教えてもらえますか?
南区の中古マンション、直近8年の価格推移
山川不動産の専門家
こちらが2017年から2024年までの、年ごとの成約価格の中央値です。
| 年 | 中央値 | 価格帯(25%〜75%) | 取引件数 |
|---|---|---|---|
| 2017年 | 1,300万円 | 680万円〜2,400万円 | 277件 |
| 2018年 | 1,500万円 | 750万円〜2,300万円 | 237件 |
| 2019年 | 1,400万円 | 780万円〜2,400万円 | 230件 |
| 2020年 | 1,500万円 | 737.5万円〜2,425万円 | 236件 |
| 2021年 | 1,600万円 | 800万円〜2,700万円 | 575件 |
| 2022年 | 1,800万円 | 880万円〜2,800万円 | 528件 |
| 2023年 | 1,700万円 | 1,000万円〜2,900万円 | 548件 |
| 2024年 | 1,800万円 | 1,000万円〜2,800万円 | 597件 |
木村相談者
2017年の1,300万円から2024年の1,800万円か。じわじわ上がってきてるんですね。
山川不動産の専門家
8年間で+38.5%の上昇です。2020年あたりまでは1,300万〜1,500万円のあたりを行き来していましたが、2021年以降に水準がひとつ上がって、2022年に1,800万円に乗ってからは1,700万〜1,800万円のレンジで推移しています。直近の2023年から2024年の1年間でも+5.9%動いています。
木村相談者
2022年から2024年って、そんなに動いてないように見えるんですが、上がってるって言い切っていいんですか?
山川不動産の専門家
いい着眼点です。実は2022年の1,800万円に対して2023年は1,700万円と一度下がって、2024年にまた1,800万円に戻っています。単年だけを切り取ると小さな上下がありますが、2017年からの8年間という長いスパンで見ると、明確に水準が切り上がってきているのが分かります。この後お話しする信頼区間の幅を見ても、南区は「上昇傾向」と言えるだけの根拠があるエリアです。
この数字は「実際に売れた金額」です
木村相談者
さっきも触れてましたけど、これって売り出し価格じゃなくて、本当に売れた金額なんですよね?
山川不動産の専門家
ええ、そこが大事なところです。この記事の数字はすべて「成約価格」、つまり実際に取引が成立した金額です。国交省が取引当事者に調査した公的データを使っています。
木村相談者
売り出し価格とは違うんですか?
山川不動産の専門家
違います。ネットの相場サイトで見かける「売り出し価格」は売主の希望額なので、実際の成約額より高めに出やすい傾向があります。成約価格ベースだと、「本当にいくらで売れたか」の実勢に近い数字が分かります。売却を考えるなら、こちらを基準にするのが安全です。
木村相談者
希望額じゃなくて結果の数字、ということですね。それなら信頼できます。じゃあ、うちのマンションの実際の価格ってどう見ればいいんでしょう。うち、築40年くらいなんですけど。
築年帯別に見ると、あなたの物件はいくらか
山川不動産の専門家
とても大事な視点です。全体の中央値1,800万円は、築浅から築古まで混ぜた「真ん中」の数字なので、実際は築年数によって価格が大きく変わります。南区は取引件数が多いので、築年帯ごとに分けても信頼できる数字が出せます。直近3年(2022〜2024年)の成約価格を築年帯別に見てみましょう。
| 築年帯 | 中央値 | 価格帯(25%〜75%) | 取引件数 |
|---|---|---|---|
| 〜築10年 | 3,400万円 | 2,475万円〜4,000万円 | 204件 |
| 築11〜20年 | 3,000万円 | 2,100万円〜3,800万円 | 251件 |
| 築21〜30年 | 2,200万円 | 1,300万円〜2,800万円 | 421件 |
| 築31年〜 | 1,200万円 | 592.5万円〜1,800万円 | 762件 |
木村相談者
築浅の3,400万円と築古の1,200万円で、3倍近く違うんですね。うちみたいな築40年だと、全体の1,800万円よりだいぶ下、っていうことになりますか?
山川不動産の専門家
そうなんです。木村さんの築40年なら「築31年〜」帯にあたり、中央値は約1,200万円。この帯が今回の集計の中でもっとも取引件数が多く(762件)、実は南区で成約している中古マンションの中でももっとも多いボリュームゾーンです。全体の中央値1,800万円は築浅の高価格帯に引っ張られている面もあるので、木村さんの物件は1,200万円あたりを目安にするのが実勢に近いと思います。
木村相談者
全体の数字より、自分の築年帯を見たほうがいいんですね。ちょっとイメージが変わりました。
木村相談者
築古だと、価格が下がりきってるうちに早く動いたほうがいいんでしょうか?
山川不動産の専門家
いいえ、そうとは限りません。築年帯はあくまで「今いくらか」を正確に知るための軸で、「築古で安いから急いだほうがいい」という話ではありません。築31年〜の帯は取引件数がもっとも多く、南区では実は需要が途切れていない価格帯でもあります。まずは自分の築年帯での現在地を押さえておきましょう。
木村相談者
自分の帯の現在地が分かったところで、南区って福岡市の中や県内、全国で見るとどのくらいの水準なんでしょう。
福岡県内・全国のなかでの南区の位置
山川不動産の専門家
相場は「その街だけ」で見ていても分かりにくいので、近隣や全国と比べてみましょう。
| 比較軸 | 南区の位置 |
|---|---|
| 福岡県内の中古マンション中央値 | 12位/26市区(記事化対象のうち) |
| 全国の中古マンション中央値 | 270位/464市区町村 |
| 8年上昇率の福岡県内順位 | 6位/7(上昇率で語れる市区のうち) |
| 8年上昇率の全国順位 | 96位/217市区町村 |
| 全国平均(中央値の単純平均)との比較 | 全国平均 約2,287万円のおよそ0.8倍 |
木村相談者
県内12位ってちょうど真ん中くらいですね。全国だと270位か。思ったより控えめな感じもします。
山川不動産の専門家
そうですね、価格水準としては県内でもほぼ中位、全国で見ても平均よりやや下です。一方で上昇率は全国で見ると96位/217と、全国的にはそこまで悪くない部類です。ただ福岡市の他の行政区と比べると、上昇の勢いはやや控えめという位置づけになります。福岡市の隣接行政区とも並べてみましょう。
| 行政区 | 中古マンション中央値 | 8年上昇率 |
|---|---|---|
| 早良区 | 3,200万円 | +23.1% |
| 西区 | 2,800万円 | +55.6% |
| 東区 | 2,200万円 | +51.7% |
| 中央区 | 2,100万円 | +61.5% |
| 城南区 | 2,000万円 | 参考値(取引件数が少ないため) |
| 南区 | 1,800万円 | +38.5% |
| 博多区 | 1,600万円 | +45.5% |
木村相談者
なるほど、都心の勢いと南区の勢いは分けて考えたほうがよさそうですね。
山川不動産の専門家
そのとおりです。都心の再開発が牽引する伸びと、住宅街としての底堅い需要は性格が違うので、南区の相場を見るときは南区自身の実績(直近8年で+38.5%、直近1年で+5.9%)を軸に考えるのが正確です。
この相場はどこまで信頼できるか
木村相談者
これだけ数字が並ぶと、逆にどこまで信じていいのか気になってきました。
山川不動産の専門家
健全な疑問です。相場の数字は母数(取引件数)が少ないほどブレます。その点、南区は2024年だけで597件の取引があり、直近3年(2022〜2024年)をまとめると1,673件にのぼります。
木村相談者
1,673件ってかなり多いですね。
山川不動産の専門家
ええ。件数が多いほど中央値は安定します。統計的なブレの幅(相対的な信頼区間の幅)で見ても、南区の単年データはおよそ11.1%と、記事化の基準を満たすくらい狭い部類です。だからこそ今回は、単年ごとの数字も「上がった」「下がった」とある程度踏み込んでお伝えできています。
木村相談者
築年帯別に分けても、その信頼度は保たれてるんですか?
山川不動産の専門家
いい質問です。築年帯別に割ると1帯あたりの件数は減りますが、それでももっとも少ない〜築10年帯で204件、もっとも多い築31年〜帯で762件あります。木村さんの築31年〜帯は、4帯の中でももっとも件数が多く、相対誤差もいちばん小さい(約8.3%)帯なので、1,200万円という中央値はかなり安定した数字と考えてもらって大丈夫です。
木村相談者
自分の帯がいちばんデータの厚い帯だったのは、ちょっと安心材料です。
山川不動産の専門家
母数の多さ・成約ベース・築年帯別、この3つが揃って初めて「自分の物件の目安」として使えます。南区はそれが揃っている街のひとつです。
これからの人口見通しについて
木村相談者
価格の話は分かりました。ちなみに、これから先の人口とかって関係あるんでしょうか。人口減少の話、よく聞くので。
山川不動産の専門家
気になりますよね。本来は国の将来推計人口(250mメッシュ単位の公的データ)を材料としてお示ししたいところなんですが、正直にお伝えすると、南区を含む福岡県内の将来推計人口データは、現時点でこちらでまだ十分にそろっていません。
木村相談者
そうなんですか。
山川不動産の専門家
無理に他エリアの数字を当てはめて需給を語ることはしたくないので、今回は価格の実績データだけでお話ししています。データが整い次第、この記事にも将来人口の見通しを追加する予定です。今の時点では、ここまでお伝えした価格の推移と築年帯別の水準を判断材料にしてもらえればと思います。
木村相談者
無理に埋めない、というのも誠実な感じがして安心します。
南区で「売り時」をどう考えるか
木村相談者
ここまでの話をふまえると、南区って売り時なんでしょうか。
山川不動産の専門家
価格が上がってきているのは事実としてお伝えできますし、直近3年で1,673件という取引の厚みがあることも、南区が売却を検討しやすいエリアであることの材料にはなります。ただ、都心の区ほど伸びが大きいわけではないので、「今すぐ動かないと損」というほどの急な変化ではありません。
木村相談者
つまり、じっくり考えていい状況、ってことですかね。
山川不動産の専門家
そう捉えてもらって大丈夫です。焦って急ぐ必要も、逆に「まだ早い」と決めつける必要もありません。価格や件数のデータはあくまで市場全体の傾向を示す材料であって、あなたのマンション1戸がいくらで売れるか、今売るべきかを決めるものではありません。住み替えの予定や資金計画、そのマンション特有の階数・向き・管理状態といった個別事情によって、判断は変わってきます。
相場が分かったら、次にやること
木村相談者
じゃあ、実際にうちがいくらで売れそうか知りたくなってきました。どうすればいいですか?
山川不動産の専門家
相場観がつかめた今が、次のステップに進むいいタイミングです。流れはシンプルです。
- 1相場感を持つ — 今回お伝えした築31年〜帯の中央値(約1,200万円)と価格帯を、ご自身の物件の広さ・階数と照らし合わせてイメージをつかむ
- 2複数社の査定額を比較する — 一括査定サービスを使って、複数の不動産会社から査定額を取り寄せる。1社だけだと相場からズレた金額を提示されても気づきにくい
- 3担当者と話してみる — 査定額だけでなく、売却までの想定期間や、南区での販売実績も含めて担当者に相談する
- 4売るかどうかはそれから決める — 査定額を見たうえで、住み替えのタイミングや資金計画と照らして、売却するかどうかをじっくり判断する
木村相談者
査定って、頼んだら必ず売らないといけないんですか?
山川不動産の専門家
いいえ、査定を受けても売る義務はありません。今の価値を知るだけでも十分に意味があります。まずは気軽に相場と実額のギャップを確かめてみてください。
南区 中古マンション 基本情報まとめ
木村相談者
最後に、今回のデータの前提をまとめてもらえますか?
山川不動産の専門家
はい、まとめるとこちらです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象エリア | 福岡県福岡市南区 |
| 対象物件種別 | 中古マンション |
| 対象データ期間 | 2017年〜2024年(成約ベース) |
| 2024年の中央値 | 1,800万円(n=597) |
| 直近3年(2022〜2024年)プールの中央値 | 1,800万円(n=1,673) |
| 築31年〜帯(木村さんの帯)の中央値 | 1,200万円(n=762) |
| データの性質 | 単年でも記事化基準を満たす件数・信頼区間があり、8年トレンドを提示 |
| 出典(価格) | 国土交通省 不動産情報ライブラリ XIT001 不動産取引価格情報 |
| 将来人口データ | 現時点で福岡県内は未整備のため未掲載(データ整備後に追記予定) |
木村相談者
ありがとうございます、だいぶイメージがつかめました。
山川不動産の専門家
実際に登記された取引だけを集計しているので、売り出し中の希望価格や、担当者の主観が入った推定価格とは性質が違います。南区の相場は、2024年の中央値1,800万円、築31年〜帯なら1,200万円前後を軸に、じっくり考えてもらえればと思います。最後に、よくある質問もいくつか補足しておきますね。
よくある質問
木村相談者
いくつか気になることを聞いてもいいですか?
山川不動産の専門家
もちろんです、どうぞ。
木村相談者
南区のマンション価格は今後上がるんですか、下がるんですか?
山川不動産の専門家
それは断定できません。過去8年では+38.5%の上昇傾向にありますが、将来の動きを保証するものではないので、実際に売却を検討する段階で複数社の査定を取って最新の実勢感をつかむことをおすすめします。
木村相談者
1,800万円という数字は、うちのマンションにもそのまま当てはまりますか?
山川不動産の専門家
あくまでエリア全体の中央値なので、築年数や専有面積、階数、駅からの距離によって個別の価格は変わります。築31年〜のマンションなら1,200万円前後が目安に近く、この記事の数字は「相場の目安」として使ってもらい、実際の金額は査定で確認するのが確実です。
木村相談者
なぜ他のサイトの相場と数字が違うことがあるんですか?
山川不動産の専門家
サイトによって、売り出し中の希望価格やAIによる推計値を使っているケースと、私たちのように実際に成約した価格をそのまま集計しているケースがあるためです。この記事は国交省の不動産情報ライブラリに登録された成約データのみを使っています。
木村相談者
査定を頼んだら、必ず売らないといけないんですか?
山川不動産の専門家
いいえ、査定はあくまで価格を知るための手段です。査定額を見てから「今回は売らない」と判断しても全く問題ありません。
木村相談者
南区の中でもエリア(大橋・高宮・井尻など)によって価格は違いますか?
山川不動産の専門家
この記事のデータは南区全体を一つの市区町村として集計した国交省の統計に基づいています。町丁目単位のエリア別の内訳までは公的データからは分からないため、この記事では区全体の中央値・築年帯別の中央値としてお伝えしています。エリアごとの違いが気になる場合は、査定を依頼した際に不動産会社の担当者に確認してみてください。
木村相談者
築年数によって価格はどのくらい違いますか?
山川不動産の専門家
南区は〜築10年で3,400万円、築31年〜で1,200万円と、築年でおよそ2.8倍の開きがあります。木村さんのような築31年〜の物件は、南区でもっとも取引件数の多いボリュームゾーンにあたるので、1,200万円という数字は比較的安定した目安と考えてもらえます。