木村
木村相談者
山川さん、奈良市の一戸建てを持っているんですけど、そろそろ売ろうかどうか迷っていて。不動産サイトをいくつか見たら「10年前より2割近く上がっている」って書いてあるところもあれば、別のサイトだと「ほぼ横ばい」って書いてあって、正直どっちを信じたらいいのか分からなくなってしまって。
山川
山川不動産の専門家
それはよくあるお悩みです。サイトによって集計期間や算出方法がまったく違うので、同じ奈良市でも印象が変わって見えるんです。今日は国交省が公開している実際の成約価格を並べて、感覚ではなく数字で今の位置をつかんでいきましょう。
木村
木村相談者
感覚じゃなくて数字で、っていうのはありがたいです。
山川
山川不動産の専門家
使うのは不動産情報ライブラリという国交省のデータベースです。奈良市で実際に取引された中古戸建て(土地付き)の中央値(真ん中の価格)を、2017年から2024年まで並べてみます。

奈良市の中古戸建て価格はどう動いてきたか

奈良市の中古戸建て中央値の推移(2017年〜2024年)
奈良市の中古戸建て中央値の推移(2017年〜2024年)
山川
山川不動産の専門家
これが2017年から2024年までの年別中央値です。中央値は、価格を安い順に並べたときのちょうど真ん中の金額のことです。
中古戸建て中央値取引件数
2017年2,450万円334件
2018年2,400万円315件
2019年2,500万円377件
2020年2,600万円401件
2021年2,400万円354件
2022年2,500万円333件
2023年2,600万円292件
2024年2,300万円262件
木村
木村相談者
2020年に2,600万円まで上がって、そこから何度か上下しつつ、2024年は2,300万円まで下がってるんですね。
山川
山川不動産の専門家
2017年から2024年の8年間で見ると-6.1%です。直近1年(2023年→2024年)は-11.5%で、2023年の2,600万円から2024年の2,300万円へと下がっています。8年で見ても直近1年で見ても、どちらも下落方向というのが今の奈良市の状況です。ただ、これがそのまま「だから急いで売るべき」という話にはなりません。理由を含めて、次のセクションで詳しくお話ししますね。

この数字は「実際に売れた金額」です

木村
木村相談者
ちなみにこの価格って、売り出しの希望価格じゃなくて、本当に売れた金額なんですか?
山川
山川不動産の専門家
そこが大事なところです。この記事の数字はすべて「成約価格」、つまり実際に取引が成立した金額です。国交省が取引当事者に調査した公的データを使っています。
木村
木村相談者
不動産会社のサイトで見る「相場」とは違うんですか?
山川
山川不動産の専門家
サイトによって違います。専有面積や築年数、駅からの距離を条件に固定して算出した推定価格を「相場」として出しているサイトもあれば、AIで将来の価格まで予測しているサイトもあります。この記事の数字は、そうした加工や予測を加えず、実際に成約した価格の中央値をそのまま使っています。
木村
木村相談者
推定でも予測でもなくて、実際に売れた結果の数字なんですね。それなら信頼できます。
山川
山川不動産の専門家
ええ。ただし中央値だけを見ていても、実態の半分しか分かりません。次は価格の幅と、この数字がどれくらい信頼できるかを見てみましょう。

価格の幅とデータの信頼度

木村
木村相談者
2024年の中央値2,300万っていうのは、みんなその金額で売れてるってことですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、そこは誤解しやすいところです。中央値はあくまで真ん中で、実際には幅があります。2024年のデータでは、価格帯の下から4分の1にあたる金額(p25)が1,000万円、上から4分の1(p75)が3,675万円です。
木村
木村相談者
1,000万から3,675万まで、ずいぶん開きがありますね。
山川
山川不動産の専門家
戸建ては土地の広さ・築年数・建物の状態・立地で価格が大きく変わる商品なので、幅が出やすいんです。ここでもう一つ確認しておきたいのが、2024年という単年の数字がどれくらい信頼できるかという点です。2024年単年の相対信頼区間の幅は21.7%で、取引データが十分とみなす基準(25%以下)を下回っています。2022年から2024年の3年分をプールすると取引件数は887件、中央値は2,500万円で、単年(2,300万円)とは大きくは乖離していません。
木村
木村相談者
単年でも一応その基準はクリアしてるってことなんですね。じゃあ「8年で-6.1%」もある程度信頼できる数字なんですか?
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。年間262件の取引があり、単年の相対信頼区間の幅も21.7%と基準内に収まっているので、奈良市は戸建ての取引がまとまってあるエリアで、単年でもトレンドを語れる水準のデータだと考えられます。
木村
木村相談者
相場の動き自体は分かりました。でも人口が減ってるから家が売れにくくなってるんじゃないか、っていう話もよく聞くんですが、奈良市はどうなんですか?
山川
山川不動産の専門家
いいところに気づかれましたね。次は人口の話に移りましょう。

将来人口の見通しについて

木村
木村相談者
人口が減ってるから価格も下がってる、みたいな話をよく聞くんですが、奈良市はどうなんですか?
山川
山川不動産の専門家
正直にお伝えすると、奈良市の将来推計人口はこのデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。データが揃い次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
そうなんですね。人口ってそんなに大事な材料なんですか?
山川
山川不動産の専門家
需要と供給を考えるうえでの材料の一つにはなります。ただ、人口が減っている市だからといって即座に価格が下がるわけではなく、金利や再開発、エリアの人気度、土地の広さといった他の要因も絡みます。人口の動きだけで価格の先行きを決めつけるのは、実は難易度が高い話なんです。相場の水準がつかめたところで、次は奈良市が全国や県内と比べてどうなのかを見てみましょう。

全国・県内のなかで奈良市はどのくらいの水準か

奈良県内・中古戸建て中央値の比較(2024年)
奈良県内・中古戸建て中央値の比較(2024年)
山川
山川不動産の専門家
次に、奈良市の価格が周りと比べてどのくらいの水準なのかを見ましょう。相場は「その市だけ」では判断しにくく、近隣や全国と比べて初めて意味を持ちます
比較軸奈良市の位置
奈良県内の中古戸建て中央値2位/9市区町村(上位に近い水準)
全国の中古戸建て中央値331位/691市区町村(ほぼ中位)
8年変化率の全国順位(取引データが十分な区分内)174位/179市区町村(下落幅が大きいグループ)
全国平均(取引が十分な区分の中央値の単純平均)との比較平均 約4,000.6万円に対して約0.57倍(6割弱)の水準
木村
木村相談者
県内2位で全国だとほぼ真ん中くらいなんですね。でも8年の変化率は174位ってことは、下がり方としては大きいほうなんですか?
山川
山川不動産の専門家
そうですね。奈良市は価格の水準自体は県内でも上位に近い一方、8年の変化率は取引データが十分な区分179市区町村の中で174位と、下落幅が大きいグループに入ります。「もともとの水準は高めだが、直近8年の動きとしては下がり方が目立つ」という見え方です。奈良県内は奈良市のほかに単年でトレンドを語れるだけのデータがある市がないため、県内での上昇率・下落率の比較はできません。近隣の市とも並べてみましょう。
市区町村中古戸建て中央値直近の取引件数位置づけ
北葛城郡広陵町2,700万円95件(直近3年プール)参考値
奈良市2,300万円262件(2024年)取引データが十分な区分
生駒市2,200万円374件(直近3年プール)参考値
香芝市2,200万円191件(直近3年プール)参考値
橿原市1,800万円295件(直近3年プール)参考値
大和郡山市1,150万円238件(直近3年プール)参考値
木村
木村相談者
広陵町が一番高くて、奈良市はその次なんですね。他の市はみんな「参考値」なんですか?
山川
山川不動産の専門家
奈良市以外の県内の市は、いずれも単年だけでは方向を断定できない参考値扱いです。奈良市は年間262件という取引件数の厚みがあり、県内でめずらしく単年でも下落トレンドをはっきり語れる市、という位置づけになります。より広いエリアの相場は奈良県の売り時判定記事一覧でも比較できます。
木村
木村相談者
水準は高めだけど、動きとしては下がってきている、ってことですね。
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。相場の位置関係がつかめたところで、この情報をどう「売り時の判断」につなげるかをお話ししましょう。

奈良市の中古戸建ては「売り時」なのか、どう考えるか

木村
木村相談者
価格は下がってきてるし、8年の変化率も下落幅が大きいグループ……これって、早く売ったほうがいいってことですか?
山川
山川不動産の専門家
奈良市の戸建てで、考える材料を並べるとこうなります。
奈良市の戸建て・売り時を考える3つの材料
  1. 18年でも直近1年でも下落、ただし単年でもトレンドを語れる水準のデータ — 2017年の2,450万円から2024年の2,300万円まで、8年で6.1%下落し、直近1年も-11.5%。単年の相対信頼区間幅21.7%と取引件数262件から、この下落傾向自体は数字として一定の裏付けがある。
  2. 2価格の幅が大きく、市全体の中央値だけでは自分の物件の位置は分からない — 2024年のデータはp25=1,000万円〜p75=3,675万円まで幅があり、土地の広さや建物の状態で個別差が大きい。市全体の中央値2,300万円は目安であって、自分の物件の実額とは別物。
  3. 3将来人口のデータは現時点で未収集 — このサイトでは根拠のない数字を出すより扱わない方針のため、奈良市の将来人口には触れていません。データが揃い次第この記事を更新します。
木村
木村相談者
「下がってるから急げ」でも「様子見すれば戻る」でもなく、事実と自分の事情を分けて考える、ってことですね。
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。市全体は8年で下落している、あなたの家がいくらかは別、この2つを分けて考えるのが正確です。実際に動くかどうかは、ご自身のタイミングで決めるのが一番です。
木村
木村相談者
そう言われると気が楽です。煽られると逆に迷っちゃうので。
山川
山川不動産の専門家
大切なのは、正確な現在地を知ったうえで、ご自身のペースで判断することです。そのためには、市全体の中央値の話から一歩進んで、自分の家の査定額を把握しておくのがおすすめです。

相場が分かったら、次にやること

木村
木村相談者
じゃあ、実際にうちがいくらで売れそうか知りたくなってきました。どうすればいいですか?
山川
山川不動産の専門家
相場観がつかめた今が、次のステップに進むいいタイミングです。流れを整理しますね。
相場を確認したあとの進め方
  1. 1相場の位置を把握する — ここまで見てきた市全体の中央値・価格の幅・県内や全国との比較を頭に入れておく。
  2. 2複数社の一括査定を申し込む — 一括査定サービスを使うと、複数の不動産会社から同時に見積もりを取れる。相場の目安と実際の査定額を照らし合わせる。
  3. 3査定額と相場を見比べる — 提示された査定額が、この記事で見た中央値2,300万円やp25〜p75の幅(1,000万円〜3,675万円)からどれくらい離れているかを確認する。
  4. 4売る・売らないをゆっくり決める — 査定を受けたからといって売却の義務はない。資金計画や住み替え先が決まってから判断しても遅くない。
木村
木村相談者
査定って、頼んだら必ず売らないといけないんですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、査定を受けても売る義務はありません。今の価値を知るだけでも十分に意味があります。まずは気軽に相場と実額のギャップを確かめてみてください。

この記事のデータについて

項目内容
対象エリア奈良県奈良市
対象種別中古戸建て(土地付き・住宅系用途)
データ期間2017年〜2024年(成約価格ベース)
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ(XIT001 不動産取引価格情報)
集計方法年別中央値・四分位(p25/p75)、2022〜2024年の3年プール
データの十分性取引データは十分(単年の相対信頼区間幅21.7%、25%以下)
2024年取引件数262件(3年プールでは887件)
将来人口データ現時点で未収集(データ整備後に追記予定)
木村
木村相談者
それなら安心して試せますね。今日は数字で整理できてスッキリしました。
山川
山川不動産の専門家
奈良市の相場は8年間で6.1%下落、直近1年も-11.5%という状況です。売り時が気になったら、まずは実際の査定額を確認してみてください。判断はそのあとでゆっくりで大丈夫です。より広いエリアの相場は奈良県の売り時判定記事一覧でも比較できます。最後によくある質問もまとめておきますね。

よくある質問

木村
木村相談者
最後にいくつか、よくある疑問をまとめておきたいです。
山川
山川不動産の専門家
どうぞ。奈良市の戸建て売却でよく聞かれる点にお答えします。
木村
木村相談者
この価格データはどこの情報なんですか?
山川
山川不動産の専門家
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実際の成約価格です。広告の売り出し価格やAIによる将来予測ではなく、成約ベースなので実勢に近い数字です。
木村
木村相談者
奈良市の中古戸建て相場はいくらくらいですか?
山川
山川不動産の専門家
2024年の成約中央値は2,300万円です。ただし戸建ては土地の広さや築年数、立地で価格差が大きく、2024年のデータでは1,000万円〜3,675万円まで幅があります。
木村
木村相談者
価格は上がってるんですか、下がってるんですか?
山川
山川不動産の専門家
2017年から2024年の8年間で6.1%下落しており、直近1年(2023年→2024年)も-11.5%とさらに下がっています。8年間・直近1年ともに下落傾向というのが今の状況です。
木村
木村相談者
奈良市は全国的に見てどのくらいの水準なんですか?
山川
山川不動産の専門家
価格水準は奈良県内9市区町村中2位、全国691市区町村中331位で、全国平均(取引が十分な区分の単純平均・約4,000.6万円)の約0.57倍です。一方で8年の変化率は取引データが十分な区分179市区町村中174位と、下落幅が大きいグループに入ります。価格水準の高さと変化率の大きさは別の指標です。
木村
木村相談者
他の不動産系のサイトだと、奈良市の相場がもっと違う金額で出てくることがあるんですが、なぜですか?
山川
山川不動産の専門家
サイトによって何を集計しているかが違うからです。専有面積や築年数を1つの条件に固定して算出した推定価格を「相場」として載せているサイトや、AIで将来10年分の価格まで予測しているサイトもあります。本記事は国交省の成約価格を8年分並べ、単年の信頼度(相対信頼区間幅)まで確認したうえで中央値を集計しているので、特定条件への偏りや投機的な予測に左右されにくい数字だと考えてください。
木村
木村相談者
将来の人口が減るかどうかも知りたいんですが。
山川
山川不動産の専門家
現時点で奈良市の将来推計人口はこの記事のデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。分かり次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
査定は無料ですか?
山川
山川不動産の専門家
一括査定サービスの見積もりは基本的に無料で、売る義務もありません。まずは相場と実額の確認から始めるのがおすすめです。