木村
木村相談者
山川さん、川崎市多摩区にマンションを持ってるんですけど、そろそろ売ろうかどうか迷ってて。ネットで調べると、サイトによって「相場」の金額がバラバラで、どれを信じたらいいのか分からなくて……。
山川
山川不動産の専門家
それ、多摩区に限らずよくあるお悩みです。サイトごとに「何を集計しているか」が違うので、金額が変わって見えるんです。今日は国交省が公開している実際の成約価格を見て、感覚ではなく数字で今の位置をつかんでいきましょう。
木村
木村相談者
えっ、感覚じゃなくて数字で見られるんですね。それは助かります。
山川
山川不動産の専門家
ええ、不動産情報ライブラリという国交省のデータベースです。多摩区で実際に取引された中古マンションの中央値(真ん中の価格)を、2017年から2024年まで並べてみます。

多摩区の中古マンション価格はどう動いてきたか

川崎市多摩区の中古マンション中央値の推移(2017年〜2024年)
川崎市多摩区の中古マンション中央値の推移(2017年〜2024年)
山川
山川不動産の専門家
この8年間の価格推移です。中央値は、高い物件と安い物件を並べたときの真ん中の価格で、平均より実勢に近い指標です。
中古マンション中央値取引件数
2017年2,150万円118件
2018年2,200万円127件
2019年2,300万円115件
2020年2,300万円129件
2021年2,600万円316件
2022年3,000万円300件
2023年3,300万円322件
2024年2,950万円296件
木村
木村相談者
2019年からずっと上がってきたのに、2024年だけちょっと下がってますね。
山川
山川不動産の専門家
よく見つけましたね。2017年から2024年の8年間で見ると+37.2%の上昇です。ただし直近1年(2023年→2024年)は3,300万円から2,950万円へ-10.6%の下落に転じています。8年という長い期間で見れば上昇基調ですが、直近1年だけを取り出すと下落方向に動いた、というのが今の多摩区の状態です。どちらの事実も隠さずにお伝えしますね。なぜこの数字が信頼できるのか、次のセクションで詳しくお話しします。

この数字は「実際に売れた金額」です

木村
木村相談者
ちなみにこの価格って、売り出しの希望価格じゃなくて、本当に売れた金額なんですか?
山川
山川不動産の専門家
そこが大事なところです。この記事の数字はすべて「成約価格」、つまり実際に取引が成立した金額です。国交省が取引当事者に調査した公的データを使っています。
木村
木村相談者
一括査定サイトで見る「相場」とは違うんですか?
山川
山川不動産の専門家
サイトによって違います。売り出し中の物件情報から推定した価格を「相場」として載せているサイトもあれば、AIによる予測モデルで将来の価格シナリオまで出しているところもあります。売り出し価格は売主の希望額なので、実際の成約より高めに出やすい傾向がありますし、AI予測は物件属性を一定にそろえた回帰モデルの結果なので、実際の年ごとの成約価格の振れとは前提が異なります。この記事の数字は、算出方法を独自加工せず、成約価格の中央値をそのまま8年分並べています。
木村
木村相談者
推定でも希望額でもなくて、実際に売れた結果の数字なんですね。それなら信頼できます。
山川
山川不動産の専門家
ええ。ただし中央値だけを見ていても、実態の半分しか分かりません。次は価格の幅と、この数字がどれくらい信頼できるかを見てみましょう。

価格の幅とデータの信頼度

木村
木村相談者
2024年の中央値2,950万っていうのは、みんなその金額で売れてるってことですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、そこは誤解しやすいところです。中央値はあくまで真ん中で、実際には幅があります。2024年のデータでは、価格帯の下から4分の1にあたる金額(p25)が1,775万円、上から4分の1(p75)が4,125万円です。
木村
木村相談者
1,775万から4,125万まで、倍以上の開きがありますね。
山川
山川不動産の専門家
マンションは築年数・専有面積・駅からの距離・管理状態で価格が大きく変わる商品なので、幅が出やすいんです。ここでもう一つ確認しておきたいのが、2024年という単年の数字がどれくらい信頼できるかという点です。2024年単年の相対信頼区間の幅は23.7%で、取引データが十分とみなす基準(25%以下)は下回っていますが、基準にかなり近い水準です。2022年から2024年の3年分をプールすると取引件数は918件、中央値は3,000万円で、2024年単年(2,950万円)と大きくは乖離していません。
木村
木村相談者
単年でも基準は満たしてるけど、ギリギリってことですね。
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。年間296件、3年プールで918件という取引件数自体は十分にあるので「取引が少ないから分からない」というわけではありませんが、多摩区は年によって取引される物件の築年数や広さの構成が変わりやすく、単年の数字が基準ぎりぎりまでブレる面があります。だからこそ、2023年から2024年にかけての-10.6%という下落も、いきなり「下落トレンドに転換した」と断定はせず、まずは事実として押さえておくのが正確な扱い方です。相場の全体像がつかめたところで、築年数によっても価格がかなり変わりますので、あなたの物件に近い数字を見てみましょう。

築年帯別の相場 — あなたの物件に近い数字はどれか

川崎市多摩区の中古マンション築年帯別の中央値(直近3年)
川崎市多摩区の中古マンション築年帯別の中央値(直近3年)
木村
木村相談者
うちのマンション、築40年くらいなんですけど、市全体の中央値だけ見ても参考になるのか気になってて。
山川
山川不動産の専門家
いいところに気づかれましたね。実は多摩区で一番取引件数が多いのも築31年以上の帯(385件)で、木村さんの物件はまさに多摩区の主流の築年帯にあたります。市全体の中央値だけでなく、築年帯別に分けた数字を見てみましょう。
築年帯中央値価格の幅(p25〜p75)取引件数
〜築10年4,900万円4,100万円〜5,600万円153件
築11-20年3,900万円3,125万円〜4,300万円146件
築21-30年3,400万円2,550万円〜3,900万円223件
築31年〜1,600万円990万円〜2,600万円385件
木村
木村相談者
築10年以内だと4,900万もするのに、築31年以上だと1,600万まで下がるんですね。かなり差がある。
山川
山川不動産の専門家
多摩区は築年数による価格差がとても大きいエリアです。木村さんの築40年の物件であれば、市全体の中央値2,950万円ではなく、築31年〜の帯の中央値1,600万円(990万円〜2,600万円の幅)のほうが近い参考値になります。市全体の数字じゃなくて、自分の築年の帯で見たほうが正確なんです。
木村
木村相談者
なるほど、市全体の数字だけ見て「思ったより高いのかな」って勘違いするところでした。
山川
山川不動産の専門家
そうなんです。この4つの帯はいずれも相対信頼区間25%以下で、多摩区はどの帯でも数字を出せる水準のデータがあります。相場観がつかめたところで、多摩区の将来人口についても触れておきたいのですが、実はこちらはまだお伝えできる状態ではありません。

将来人口の見通しについて

木村
木村相談者
人口が減ってるから価格も下がってるっていう話をよく聞くんですが、多摩区はどうなんですか?
山川
山川不動産の専門家
正直にお伝えすると、多摩区の将来推計人口はこのデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。データが揃い次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
そうなんですね。人口ってそんなに大事な材料なんですか?
山川
山川不動産の専門家
需要と供給を考えるうえでの材料の一つにはなります。ただ、人口が減っている地域だからといって即座に価格が下がるわけではなく、金利や再開発、駅からの利便性など他の要因も絡みます。人口の動きだけで将来の価格を決めつけるのは、実は難易度が高い話なんです。相場の水準がつかめたところで、次は多摩区が全国や県内・市内と比べてどうなのかを見てみましょう。

全国・県内のなかで多摩区はどのくらいの水準か

周辺エリアの中古マンション中央値の比較(2024年)
周辺エリアの中古マンション中央値の比較(2024年)
山川
山川不動産の専門家
次に、多摩区の価格が周りと比べてどのくらいの水準なのかを見ましょう。相場は「その区だけ」では判断しにくく、近隣や全国と比べて初めて意味を持ちます
比較軸多摩区の位置
神奈川県内の中古マンション中央値20位/46市区町村(中位よりやや上)
全国の中古マンション中央値97位/464市区町村(上位2割程度)
8年上昇率の県内順位10位/25市区町村(取引データが十分な区分内)
8年上昇率の全国順位102位/217市区町村(ほぼ中位)
全国平均(取引データが十分な区分の中央値の単純平均)との比較全国平均 約2,884.9万円に対して約1.02倍の水準
木村
木村相談者
県内20位、全国だと97位……ほぼ真ん中よりちょっと上、くらいの感じですね。
山川
山川不動産の専門家
価格水準は全国平均とほぼ同じくらいで、上昇率も県内・全国ともにほぼ中位という位置づけです。同じ川崎市内の他区とも並べてみましょう。
区・市中古マンション中央値8年上昇率直近1年
中原区5,600万円+51.4%+5.7%
高津区4,400万円+35.4%+2.3%
多摩区2,950万円+37.2%-10.6%
稲城市(東京都)3,600万円+33.3%+2.9%
木村
木村相談者
中原区とか高津区と比べると、多摩区はだいぶ低めなんですね。武蔵小杉のあるほうが高いのは何となく分かる気がします。
山川
山川不動産の専門家
ええ、中原区は武蔵小杉エリアを抱えるため川崎市内でも突出して高い水準にあります。多摩区は8年上昇率だけ見ると+37.2%で中原区(+51.4%)ほどではないものの高津区(+35.4%)や稲城市(+33.3%)に近い水準です。一方で直近1年は多摩区だけがマイナス(-10.6%)で、他の3区市はいずれもプラスかゼロという違いがあります。より広いエリアの相場は神奈川県の売り時判定記事一覧でも比較できます。
木村
木村相談者
8年で見れば平均的だけど、直近1年だけ見ると近所の中で多摩区だけ下がってる、ってことですね。
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。相場の位置関係がつかめたところで、この情報をどう「売り時の判断」につなげるかをお話ししましょう。

多摩区の中古マンションは「売り時」なのか、どう考えるか

木村
木村相談者
8年で上がってるのに直近1年だけ下がってる……これって、急いで売ったほうがいいってことですか? それとも下がってるから待つべきですか?
山川
山川不動産の専門家
多摩区のマンションで、考える材料を並べるとこうなります。
多摩区のマンション・売り時を考える3つの材料
  1. 18年では上昇、直近1年では下落という2つの事実がある — 2017年2,150万円から2024年2,950万円まで8年で37.2%上昇したが、2023年3,300万円から2024年2,950万円へ直近1年は-10.6%。単年の相対信頼区間幅23.7%は基準ぎりぎりのため、この下落だけで下落トレンドへの転換とは断定していない。
  2. 2自分の築年帯の幅を見る — 市全体の中央値は2,950万円だが、木村さんのような築31年以上の物件では中央値1,600万円(990万円〜2,600万円の幅)。市全体の数字よりも自分の築年帯の幅を基準に考えたほうが実態に近い。
  3. 3将来人口のデータは現時点で未収集 — このサイトでは根拠のない数字を出すより扱わない方針のため、多摩区の将来人口には触れていません。データが揃い次第この記事を更新します。
木村
木村相談者
「8年上がったから急げ」でも「1年下がったから様子見」でもなくて、まず自分の部屋がどのあたりの位置か知るのが先、ってことですね。
山川
山川不動産の専門家
「8年上がったから急げ」でも「1年下がったから様子見」でもありません。ご自身の事情と、自分の部屋の実際の査定額。この2つが揃って初めて、納得のいく判断ができます。
木村
木村相談者
そう言われると気が楽です。煽られると逆に迷っちゃうので。
山川
山川不動産の専門家
大切なのは、正確な現在地を知ったうえで、ご自身のペースで判断することです。そのためには、市全体の中央値の話から一歩進んで、自分の部屋の査定額を把握しておくのがおすすめです。

相場が分かったら、次にやること

木村
木村相談者
じゃあ、実際にうちがいくらで売れそうか知りたくなってきました。どうすればいいですか?
山川
山川不動産の専門家
相場観がつかめた今が、次のステップに進むいいタイミングです。流れを整理しますね。
相場を確認したあとの進め方
  1. 1相場の位置を把握する — ここまで見てきた市全体の中央値・築年帯別の中央値・県内や近隣区との比較を頭に入れておく。
  2. 2複数社の一括査定を申し込む — 一括査定サービスを使うと、複数の不動産会社から同時に見積もりを取れる。築年帯の目安と実際の査定額を照らし合わせる。
  3. 3査定額と相場を見比べる — 提示された査定額が、この記事で見た築31年〜の帯の目安(1,600万円前後)からどれくらい離れているかを確認する。
  4. 4売る・売らないをゆっくり決める — 査定を受けたからといって売却の義務はない。資金計画や住み替え先が決まってから判断しても遅くない。
木村
木村相談者
査定って、頼んだら必ず売らないといけないんですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、査定を受けても売る義務はありません。今の価値を知るだけでも十分に意味があります。まずは気軽に相場と実額のギャップを確かめてみてください。

この記事のデータについて

項目内容
対象エリア神奈川県川崎市多摩区
対象種別中古マンション(区分所有・共同住宅)
データ期間2017年〜2024年(成約価格ベース)
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ(XIT001 不動産取引価格情報)
集計方法年別中央値・四分位(p25/p75)、築年帯別中央値、2022〜2024年の3年プール
データの十分性取引データは十分(単年の相対信頼区間幅23.7%、基準25%以下)
2024年取引件数296件(3年プールでは918件)
将来人口データ現時点で未収集(データ整備後に追記予定)
木村
木村相談者
それなら安心して試せますね。今日は数字で整理できてスッキリしました。
山川
山川不動産の専門家
多摩区の相場は8年間で37.2%上昇、ただし直近1年は-10.6%の下落という2つの事実がある状況です。売り時が気になったら、まずは実際の査定額を確認してみてください。判断はそのあとでゆっくりで大丈夫です。より広いエリアの相場は神奈川県の売り時判定記事一覧でも比較できます。最後によくある質問もまとめておきますね。

よくある質問

木村
木村相談者
最後にいくつか、よくある疑問をまとめておきたいです。
山川
山川不動産の専門家
どうぞ。多摩区のマンション売却でよく聞かれる点にお答えします。
木村
木村相談者
この価格データはどこの情報なんですか?
山川
山川不動産の専門家
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実際の成約価格です。広告の売り出し価格やAIによる推定値ではなく、成約ベースなので実勢に近い数字です。
木村
木村相談者
多摩区のマンション相場はいくらくらいですか?
山川
山川不動産の専門家
2024年の成約中央値は2,950万円です。ただしマンションは築年数・専有面積・駅からの距離で価格差が大きく、2024年のデータでは1,775万円〜4,125万円まで幅があります。築31年以上の帯では中央値1,600万円です。
木村
木村相談者
価格は上がってるんですか、下がってるんですか?
山川
山川不動産の専門家
2017年から2024年の8年間では37.2%上昇していますが、直近1年(2023年→2024年)は-10.6%の下落です。8年で見れば上昇基調、直近1年だけ見ると下落方向という、2つの事実が両方あるのが今の状況です。単年の相対信頼区間幅が基準ぎりぎりの23.7%であることも踏まえると、この1年の下落だけで下落トレンドへの転換と決めつけるのは早計です。
木村
木村相談者
他の不動産系のサイトだと、多摩区の相場がもっと違う金額で出てくることがあるんですが、なぜですか?
山川
山川不動産の専門家
サイトによって何を集計しているかが違うからです。売り出し中の物件の推定価格を「相場」として載せているサイトや、AIによる将来予測を前面に出しているところもあります。本記事は国交省の成約価格をそのまま中央値で集計したものなので、「実際にいくらで売れたか」に最も近い数字だと考えてください。
木村
木村相談者
中原区や高津区より多摩区が安いのはなぜですか?
山川
山川不動産の専門家
中原区には再開発が続く武蔵小杉エリアがあり、川崎市内でも突出して価格水準が高いエリアです。高津区も溝の口を中心に利便性が高く価格が高めです。多摩区は登戸や向ヶ丘遊園を中心とした住宅地で、築年数の古い物件の取引が多いこともあり、市内の中では価格水準が控えめなエリアになっています。
木村
木村相談者
将来の人口が減るかどうかも知りたいんですが。
山川
山川不動産の専門家
現時点で多摩区の将来推計人口はこの記事のデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。分かり次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
査定は無料ですか?
山川
山川不動産の専門家
一括査定サービスの見積もりは基本的に無料で、売る義務もありません。まずは相場と実額の確認から始めるのがおすすめです。