木村
木村相談者
山川さん、宇部市で戸建てを持ってるんですけど、そろそろ売却を考えてまして。さっき別のサイトを見たら「今が売り時です」って書いてあったんですが、本当なんでしょうか。
山川
山川不動産の専門家
拝見してみますね。……ああ、これは半年ごとの取引件数を比べているサイトですね。今半期が4件、前半期が15件で、平均売却価格が下がったから売り時、という書き方になっています。
木村
木村相談者
それだとダメなんですか?
山川
山川不動産の専門家
4件と15件を比べて「価格が下がった」と結論づけるのは、正直かなり危ういです。宇部市の中古戸建ては、もともと1件あたりの価格差が大きいエリアです。国交省の公的データを一緒に見ながら、実際どう動いてきたのか確認していきましょう。

宇部市の中古戸建て価格はどう動いてきたか

宇部市 中古戸建て 年別中央価格の推移(2017年〜2024年)
宇部市 中古戸建て 年別中央価格の推移(2017年〜2024年)
山川
山川不動産の専門家
これが2017年から2024年までの、宇部市の中古戸建て(土地付き)の年別中央値です。中央値は、実際に成約した価格を安い順に並べたときの、ちょうど真ん中の金額のことです。
中古戸建て中央値取引件数
2017年1,200万円129件
2018年890万円132件
2019年1,300万円144件
2020年1,300万円157件
2021年1,300万円154件
2022年950万円119件
2023年810万円115件
2024年850万円107件
木村
木村相談者
2020年・2021年は1,300万円あったのに、2023年は810万円まで下がってますね。これって下落トレンドってことですか?
山川
山川不動産の専門家
正直にお伝えすると、この記事では「上昇」「下降」といったトレンドの断定をしていません。宇部市は年間の取引件数自体は107〜157件と、それなりにまとまった数があります。ただ、物件ごとの価格の幅がかなり大きいため、同じ年の中でも高い物件・安い物件の差が大きく、中央値だけを年ごとに並べると振れて見えやすいという特徴があります。次のセクションで、その幅を具体的な数字でお見せします。

なぜ単年の数字だけで判断できないのか

木村
木村相談者
幅が大きいというのは、実際どのくらいなんですか?
山川
山川不動産の専門家
2024年のデータで見てみましょう。中央値は850万円ですが、価格帯の下から4分の1にあたる金額(p25)は245万円、上から4分の1(p75)は1,950万円です。同じ2024年の宇部市の中だけで、これだけの開きがあります。
木村
木村相談者
245万円と1,950万円だと、8倍くらい違いますね。
山川
山川不動産の専門家
そうなんです。2024年単年の相対信頼区間の幅は70.6%にもなります。取引が十分な区分(トレンドを語れる基準)は25%以内が目安なので、宇部市の単年データはその基準を大きく超えています。しかも107件という件数自体は、飛び抜けて少ないわけではありません。土地の広さや建物の古さ、更地か古家付きかといった物件ごとの個別差が価格に強く出やすいことが、この幅の主な理由です。
木村
木村相談者
この価格の幅って、2024年だけがたまたま広かったんですか?
山川
山川不動産の専門家
いえ、実はこの幅の広さは2024年に限った話ではありません。過去8年分のp25・p75を並べると、どの年も下位25%と上位25%の差がだいたい5倍から8倍の範囲に収まっています。2017年は450万円〜2,300万円(約5.1倍)、2020年は400万円〜2,100万円(約5.3倍)、2022年は380万円〜2,500万円(約6.6倍)、そして2024年が245万円〜1,950万円(約8.0倍)です。年によって多少の広がり方の差はあっても、宇部市の中古戸建ては毎年一貫して価格差が大きいという、構造的な特徴だと分かります。
木村
木村相談者
たまたまじゃなくて、宇部市はもともとそういう街ってことなんですね。
山川
山川不動産の専門家
そう理解しておくのが実態に近いです。更地に近い古家付き土地から、比較的新しい建物まで同じ「中古戸建て」として成約データに含まれるため、中央値ひとつでは語りきれない街、と言えます。
木村
木村相談者
さっきのサイトが比べていた「4件と15件」よりは、107件のほうがまだマシですよね?
山川
山川不動産の専門家
それでも十分ではない、というのが正しい理解です。107件を集めた1年分でも70.6%の幅がある市で、4件だけを比べて価格の上下を語るのはさらに不安定です。半年で4件しか成約がなければ、たまたま古い小さな家が1軒混じるだけで平均は簡単に動きます。件数が多いか少ないかではなく、宇部市という街そのものが「1件ごとの価格差が大きい」という性質を持っていると考えるのが実態に近いです。
木村
木村相談者
じゃあ、この850万円っていう数字自体はどのくらい信用していいんですか?
山川
山川不動産の専門家
数字自体は実際の成約データそのもので、捏造や推定ではありません。ただ「2024年は850万円だから、来年もこのくらい」と単年だけで判断するのは危ういということです。そこで2022年から2024年の3年分をプールした中央値も見てみましょう。3年分をまとめると取引件数341件、中央値890万円になります。単年よりも振れが小さく、宇部市の直近の相場水準としては、こちらの890万円のほうが実態に近いと考えられます。
木村
木村相談者
単年の850万円と3年プールの890万円は、そこまで大きくは違わないんですね。
山川
山川不動産の専門家
はい、大きくは変わりません。ただ2020年・2021年の1,300万円、2023年の810万円のように単年だけを見ると年によって上下するのは変わらない事実です。この記事でも、宇部市の代表的な相場水準としては3年プールの890万円を使い、単年の上下だけで「上がった」「下がった」と言い切ることは避けています。物件ごとの価格の幅が大きいため、単年では方向を断定せず、直近3年の相場水準として表示する、という扱いです。
木村
木村相談者
「分からないことは分からない」とはっきり言ってもらえると、逆に信用できます。
山川
山川不動産の専門家
そこは大事にしているところです。この数字はすべて実際に成約した金額であることも補足しておきます。広告に出ている「売り出し価格」は売主の希望額なので、実際の成約より高めに出やすい傾向がありますが、この記事の数字はすべて成約ベースです。相場観がつかめたところで、次は他の市や全国と比べて宇部市がどのくらいの水準なのかを見てみましょう。

全国・県内のなかで宇部市はどのくらいの水準か

山口県 中古戸建て 中央値比較(宇部市と県内主要市)
山口県 中古戸建て 中央値比較(宇部市と県内主要市)
山川
山川不動産の専門家
宇部市の水準を、県内の他市や全国と比べてみましょう。相場は単独では意味を持ちにくく、他と比べて初めて位置づけが分かります。
比較軸宇部市の位置
山口県内の中古戸建て中央値8位/8市区町村(最下位)
全国の中古戸建て中央値614位/691市区町村
全国(取引が十分な区分の単純平均)との比較平均 約4,000万円に対して約2割強の水準
木村
木村相談者
全国平均の2割強ってことは、かなり低めの水準なんですね。
山川
山川不動産の専門家
水準としては全国的に低めのグループに入ります。ただし比較対象の全国平均は「取引が十分な区分」の平均なので、宇部市(参考値扱い)を単純に同列で見すぎない方がよいです。あくまで目安として捉えてください。宇部市の山口県内での位置づけも見てみましょう。
中古戸建て中央値位置づけ
下松市2,000万円参考値
山口市1,500万円参考値
防府市1,300万円参考値
周南市1,300万円参考値
岩国市1,100万円参考値
下関市1,100万円参考値
光市990万円参考値
宇部市890万円参考値
木村
木村相談者
山口県は8市しかないんですね。それに宇部市が一番安いのは、ちょっと意外でした。
山川
山川不動産の専門家
山口県内で中古戸建てのデータがまとまって出せる市は、現時点で8市です。その中で宇部市は最も低い水準になっています。ただし面白いのは、山口県内の8市はすべて「参考値」扱いだということです。下松市の2,000万円も、宇部市の890万円も、どちらも単年のトレンドを断定できるほどの均質さは無く、いずれも物件ごとの価格差が大きい市として扱われています。県内で「順位が低い」ことと「データが不安定」ということは、また別の話です。
木村
木村相談者
順位だけ見て安く売られちゃう街、みたいに思わなくていいんですね。
山川
山川不動産の専門家
そうですね。「相場の水準」と「トレンドが分かるかどうか」は分けて理解するのが正確です。ここまでの事実を踏まえて、宇部市で戸建てを売ろうか考えるときの材料を整理してみましょう。

宇部市の戸建ては「売り時」なのか、どう考えるか

木村
木村相談者
水準は低めのグループ、方向は分からない……。最初に見たサイトの「今が売り時」っていうのは、結局どうなんですか?
山川
山川不動産の専門家
宇部市の戸建てで、考える材料を並べるとこうなります。
宇部市の戸建て・売り時を考える3つの材料
  1. 1単年トレンドは断定できない — 2020年・2021年に1,300万円だった年もあれば、2023年に810万円まで下がった年もあり、上昇・下降のどちらとも言い切れない。3年プール(2022〜2024年)の中央値は890万円で、単年よりは安定している。
  2. 2物件ごとの価格差がとても大きい — 2024年の価格帯はp25=245万円〜p75=1,950万円と、8倍近い幅がある。宇部市では相場よりも自分の物件そのものの査定額が決め手になりやすい。
  3. 3将来人口のデータは現時点で未収集 — このサイトでは根拠のない数字を出すより扱わない方針のため、宇部市の将来人口には触れていません。データが揃い次第この記事を更新します。
木村
木村相談者
「上がった年もあるから待て」でも「下がった年もあるから急げ」でもなく、そもそも方向を決められるデータがないってことなんですね。
山川
山川不動産の専門家
正確に言うとそうなります。宇部市全体の相場は水準としては低めで方向は不明、あなたの家がいくらかは別の話、この2つを分けて考えるのが誠実な向き合い方です。実際に動くかどうかは、価格以外のご自身の事情で決めるのが一番です。
木村
木村相談者
変に煽られなくて、逆に安心しました。
山川
山川不動産の専門家
正確な現在地を知ったうえで、ご自身のペースで判断していただくのが一番です。そのためには、中央値の話から一歩進んで、自分の家の査定額を把握しておくのがおすすめです。

相場が分かったら、次にやること

木村
木村相談者
相場の実態が分かったので、実際にうちの家がいくらくらいになるのか知りたくなってきました。どうすればいいですか?
山川
山川不動産の専門家
相場観がつかめた今が、次のステップに進むいいタイミングです。流れはシンプルです。
  1. 1複数の不動産一括査定サービスに、物件情報(所在地・土地と建物の広さ・築年数など)を入力する
  2. 2各社から提示される査定額を比べて、相場観(3年プールの中央値890万円前後)と照らし合わせる
  3. 3気になる会社があれば、訪問査定でより正確な金額を確認する
木村
木村相談者
査定って、頼んだら必ず売らないといけないんですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、査定を受けても売る義務はありません。今の価値を知るだけでも十分に意味があります。まずは気軽に相場と実額のギャップを確かめてみてください。

この記事のデータについて

項目内容
対象エリア山口県宇部市
対象種別中古戸建て(土地付き)
データ期間2017年〜2024年(成約価格ベース)
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ(XIT001 不動産取引価格情報)
集計方法年別中央値・四分位(p25/p75)、2022〜2024年の3年プール
データの十分性参考値として掲載(物件ごとの価格の幅が大きいため、単年の方向は断定していません)
2024年取引件数107件(3年プールでは341件)
木村
木村相談者
それなら安心して試せますね。今日は「今が売り時」って言葉を鵜呑みにしなくてよかったです。
山川
山川不動産の専門家
宇部市の相場は水準としては全国的に低めのグループで、単年の方向は断定できないという状況です。売り時が気になったら、まずは実際の査定額を確認してみてください。判断はそのあとでゆっくりで大丈夫です。

よくある質問

木村
木村相談者
最後にいくつか、よくある疑問をまとめておきたいです。
山川
山川不動産の専門家
どうぞ。宇部市の戸建て売却でよく聞かれる点にお答えします。
木村
木村相談者
この価格データはどこの情報なんですか?
山川
山川不動産の専門家
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実際の成約価格です。広告の売り出し価格や独自の推定値ではなく、成約ベースなので実勢に近い数字です。
木村
木村相談者
宇部市の戸建て相場はいくらくらいですか?
山川
山川不動産の専門家
2022年から2024年の3年分をプールした中央値は890万円です。2024年単年では850万円ですが、価格帯は245万円〜1,950万円まで幅があります。
木村
木村相談者
価格は上がってるんですか、下がってるんですか?
山川
山川不動産の専門家
宇部市は単年の相対信頼区間幅が70.6%と非常に大きく、この記事では上昇・下降どちらの方向も断定していません。2020年・2021年に1,300万円だった年がある一方、2023年は810万円と、年によって上下しています。
木村
木村相談者
「今が売り時」って書いてあるサイトを見たんですが、信じていいんですか?
山川
山川不動産の専門家
サイトによって、半年ごとの数件〜十数件の比較だけで売り時を判断しているケースがあります。宇部市は107件・1年分のデータでも相対信頼区間幅が70.6%ある市なので、それより少ない件数の増減で方向を語るのは根拠として弱いです。このサイトでは、データが示す事実と、断定できないことを分けてお伝えしています。
木村
木村相談者
将来の人口が増えるかどうかも知りたいんですが。
山川
山川不動産の専門家
現時点で宇部市の将来推計人口はこの記事のデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。分かり次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
査定は無料ですか?
山川
山川不動産の専門家
一括査定サービスの見積もりは基本的に無料で、売る義務もありません。まずは相場と実額の確認から始めるのがおすすめです。
木村
木村相談者
宇部市は下関市や山口市と比べて何が違うんですか?
山川
山川不動産の専門家
中央値だけ見ると、下松市が2,000万円、山口市が1,500万円、下関市が1,100万円、宇部市が890万円です。ただし山口県内8市はすべて参考値扱いで、いずれも物件ごとの価格差が大きく、単年トレンドを断定できる市はありません。違うのは水準そのもので、宇部市は県内では低めのグループに位置しています。