木村
木村相談者
山川さん、伊予郡松前町の一戸建てを売ろうかどうしようか、ずっと迷っていて。いくつかの不動産サイトを見てみたんですけど、あるサイトは「今が売り時です」ってはっきり書いてあって、別のサイトはAIが将来の値段まで予測してたり、正直どれを信じたらいいのか分からなくなってしまって。
山川
山川不動産の専門家
それは無理もないです。不動産の相場サイトに出てくる数字は、大きく3種類に分かれます。1つ目は今売り出し中の物件の「希望価格」、2つ目はAIなどが将来の値動きまで見立てた「推計値」、3つ目が実際に買い手が付いて成約した金額です。希望価格は売主の言い値ですし、AI推計は前提の置き方次第で数字が変わります。一方で成約価格は、もう起きたことそのものです。この記事では国土交通省の不動産情報ライブラリに記録された、実際に成約した価格だけを使って、松前町の中古戸建て(土地付き)の実態をお見せします。まずは生のデータから見ていきましょう。
木村
木村相談者
実際に売れた金額だけを見るってことですね。それなら安心して見られそうです。

松前町の中古戸建て、実際の成約価格はいくらか

伊予郡松前町の中古戸建て中央値の推移(2017年〜2024年)
伊予郡松前町の中古戸建て中央値の推移(2017年〜2024年)
山川
山川不動産の専門家
これが2017年から2024年までの、松前町の中古戸建て(土地付き)の年別中央値です。中央値は、その年の成約価格を安い順に並べたときにちょうど真ん中に来る金額のことです。
中央値取引件数価格帯(p25〜p75)
2017年1,600万円26件680万円〜2,275万円
2018年1,500万円20件1,037.5万円〜2,325万円
2019年1,550万円22件600万円〜2,550万円
2020年1,450万円14件970万円〜2,375万円
2021年1,250万円28件990万円〜2,000万円
2022年2,200万円15件1,550万円〜2,700万円
2023年1,700万円25件600万円〜2,200万円
2024年2,300万円23件1,300万円〜3,150万円
木村
木村相談者
こうして並べると、2017年から2021年までは1,250万円〜1,600万円くらいでうろうろしてたのに、2022年にいきなり2,200万円まで上がって、2023年は1,700万円に下がって、2024年はまた2,300万円まで上がってますね。これって結局、上がってるんですか?
山川
山川不動産の専門家
正直にお伝えすると、この記事では松前町の価格について「上昇」「下降」というトレンドの断定をしていません。今おっしゃったとおり、2022年以降だけ見ると2,200万円、1,700万円、2,300万円と大きく動いていて、一直線に上がっているとも下がっているとも言えない動きです。なぜ断定を避けているのか、次のセクションで具体的な数字を使ってご説明します。

なぜ松前町では価格の方向を断定していないのか

木村
木村相談者
数字がでこぼこしてるのは分かるんですけど、それだけで「断定しない」って決めていいものなんですか?
山川
山川不動産の専門家
そこは感覚ではなく数字で見ています。2024年のデータをもう一度見てみましょう。取引件数は23件、中央値は2,300万円ですが、価格帯の下から4分の1(p25)は1,300万円、上から4分の1(p75)は3,150万円まで広がっています。
木村
木村相談者
23件しかないのに、1,300万円から3,150万円まで幅があるんですね。
山川
山川不動産の専門家
はい。土地の広さや建物の築年数、最寄り駅からの距離、建物の傷み具合によって成約価格は大きく変わります。この物件ごとの価格のばらつきの大きさを数値化したものが相対信頼区間幅という指標で、松前町の2024年単年では82.6%です。このサイトで「単年でも方向を語れる」と判断する基準(25%以下)を大きく上回っています。
木村
木村相談者
25%が基準なのに82.6%だと、だいぶ超えてますね。
山川
山川不動産の専門家
そうなんです。しかも松前町の場合、原因は取引件数そのものが少ないことにあります。2017年から2024年までの年間取引件数は14件〜28件で、いずれも40件を下回っています。件数が少ないと、その年にたまたま高額な物件や安価な物件が数件混ざるだけで中央値が大きく動いてしまいます。2022年に突然2,200万円まで上がったのも、件数が15件と少ない年に高めの物件が重なった影響が考えられます。
木村
木村相談者
さっき見たサイトの中に、直近半年の実績だけで「今が売り時」って断定してるところがあったんですけど、あれはどう見ればいいんですか?
山川
山川不動産の専門家
半年分のデータだと、松前町のようにもともと年間の取引件数が少ないエリアでは、対象がわずか数件になります。実際、あるサイトでは今期3件・前期5件という合計8件の比較だけを根拠に、価格が下がったので売り時だと結論づけていました。件数がここまで少ないと、たまたま安い物件が1件混ざるだけで平均は大きく動きます。数件の比較だけで売り時を断定するのは統計的にかなり危うい判断です。この記事が8年分の年別データと3年分のプールデータの両方を示しているのは、そうした短期の振れに惑わされないようにするためです。
木村
木村相談者
じゃあ、この2,300万円っていう2024年の数字自体は信用していいんですか?
山川
山川不動産の専門家
はい、そこは誤解しないでいただきたい点です。2,300万円という数字自体は、実際に成約した取引の集計で、推定でも捏造でもありません。ただ「2024年は2,300万円だったから、来年もそのくらい」と単年だけで判断するのは危ういということです。そこで2022年から2024年の3年分をプールした中央値も見てみましょう。3年分をまとめると取引件数63件、中央値2,100万円になります。単年より母数が大きい分、振れが小さくなった数字です。
木村
木村相談者
3年でまとめると2,100万円、2024年単年だと2,300万円で、そこまで大きくは変わらないんですね。
山川
山川不動産の専門家
そうですね。2017年の1,600万円から2024年の2,300万円までの変化だけを見ると数字としては上向きに見えますが、途中の2018年から2021年にかけては1,250万円〜1,550万円まで下がる場面もありました。一直線に上がってきたわけではないので、この記事では松前町の代表的な相場水準として3年プールの2,100万円を主に使い、単年の上下だけで方向を言い切ることは避けています。相場観がつかめたところで、次はこの数字が全国や県内でどのくらいの位置にあるのかを見てみましょう。

全国・愛媛県内のなかで松前町はどのくらいの水準か

愛媛県内・中古戸建て中央値の比較
愛媛県内・中古戸建て中央値の比較
山川
山川不動産の専門家
相場は単独で見ていても位置づけが分かりにくいので、他の市町や全国と比べてみましょう。
比較軸松前町の位置
愛媛県内の中古戸建て中央値1位/6市町
全国の中古戸建て中央値376位/691市区町村
全国(単年でも方向を語れる区分の単純平均)との比較平均 約4,001万円に対しておよそ半分の水準
木村
木村相談者
県内では1位なのに、全国だと真ん中より少し上くらいなんですね。
山川
山川不動産の専門家
そうなんです。松前町は愛媛県内で記事化できる6市町の中では中古戸建ての中央値が最も高い一方、全国691市区町村の中では376位と、ちょうど真ん中あたりの水準です。愛媛県内で並べてみましょう。
市町中古戸建て中央値位置づけ
伊予郡松前町2,100万円参考値
東温市1,700万円参考値
松山市1,700万円単年でも方向を語れる区分
新居浜市800万円参考値
西条市700万円参考値
今治市550万円参考値
木村
木村相談者
県庁所在地の松山市より松前町の方が高いのは、ちょっと意外でした。
山川
山川不動産の専門家
データ上はそうなっています。ただし松山市は取引件数が多く物件のばらつきも比較的小さいため、単年の数字でも方向を語れる区分になっている一方、松前町は3年分をまとめた参考値としての中央値です。「水準として高め」という事実と「単年では断定できない」という事実は、分けて理解しておくのが正確です。
木村
木村相談者
水準が高いことと、方向が分からないことは別の話なんですね。だんだん整理できてきました。
山川
山川不動産の専門家
数字の意味を正確に分けて見るのが、判断を誤らないコツです。ここまでの価格の話に加えて、もう1つよく聞かれる将来人口についても触れておきましょう。

将来人口のデータについて

木村
木村相談者
よそのサイトで、人口の将来予測から「このエリアは有望です」みたいに書いてあるのを見たことがあるんですが、松前町はどうなんですか?
山川
山川不動産の専門家
現時点で松前町の将来推計人口は、このサイトのデータベースにまだ収集できていません。人口の将来予測はAIによる価格予測と組み合わせて語られることが多いのですが、根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だとこのサイトでは考えています。データが揃い次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
無理に何か書くよりは、その方が信用できますね。
山川
山川不動産の専門家
今分かっている事実だけをお伝えするのが、このサイトの立場です。それでは、ここまでの価格の事実を踏まえて、松前町で戸建てを売ろうか考えるときの材料を整理してみましょう。

松前町の戸建ては「売り時」なのか、どう考えるか

木村
木村相談者
水準は高め、でも方向は分からない……。これって早く動いた方がいいのか、待った方がいいのか、正直まだよく分かりません。
山川
山川不動産の専門家
松前町の戸建てで、考える材料を並べるとこうなります。
松前町の戸建て・売り時を考える3つの材料
  1. 1単年の方向は断定できない — 2017年から2021年は1,250万円〜1,600万円で推移し、2022年に2,200万円、2023年に1,700万円、2024年に2,300万円と大きく動いている。3年プールの中央値は2,100万円で、これが松前町の直近の相場水準に近い。
  2. 2年間の取引件数自体が少ない — 2017年〜2024年の年間取引件数は14件〜28件で、いずれも40件を下回る。件数が少ない年ほど数字が振れやすく、直近半年など短い期間の比較はさらに危うい。
  3. 3将来人口のデータは現時点で未収集 — このサイトでは根拠のない数字を出すより扱わない方針のため、松前町の将来人口には触れていない。データが揃い次第この記事を更新する。
木村
木村相談者
「上がってきたから急げ」でも「下がる年もあるから待て」でもなく、そもそも一方向には言い切れないデータってことなんですね。
山川
山川不動産の専門家
正確に言うとそうなります。松前町全体の相場は水準としては県内で高めだが方向は不明、あなたの家がいくらかはまた別の話、この2つを分けて考えるのが誠実な向き合い方です。実際に動くかどうかは、価格以外のご自身の事情で決めるのが一番だと思います。
木村
木村相談者
変に煽られなくて、逆に安心しました。
山川
山川不動産の専門家
正確な現在地を知ったうえで、ご自身のペースで判断していただくのが一番です。そのためには、中央値の話から一歩進んで、自分の家の査定額を把握しておくのがおすすめです。

相場が分かったら、次にやること

木村
木村相談者
相場の実態が分かったので、実際にうちの家がいくらくらいになるのか知りたくなってきました。どうすればいいですか?
山川
山川不動産の専門家
相場観がつかめた今が、次のステップに進むいいタイミングです。流れはシンプルです。
  1. 1複数の不動産一括査定サービスに、物件情報(所在地・土地と建物の広さ・築年数など)を入力する
  2. 2各社から提示される査定額を比べて、相場観(3年プールの中央値2,100万円前後)と照らし合わせる
  3. 3気になる会社があれば、訪問査定でより正確な金額を確認する
木村
木村相談者
査定って、頼んだら必ず売らないといけないんですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、査定を受けても売る義務はありません。今の価値を知るだけでも十分に意味があります。まずは気軽に相場と実額のギャップを確かめてみてください。

この記事のデータについて

項目内容
対象エリア愛媛県伊予郡松前町
対象種別中古戸建て(土地付き)
データ期間2017年〜2024年(成約価格ベース)
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ(XIT001 不動産取引価格情報)
集計方法年別中央値・四分位(p25/p75)、2022〜2024年の3年プール
データの十分性参考値として掲載(取引件数が少ないため、単年の方向は断定していません)
2024年取引件数23件(3年プールでは63件)
木村
木村相談者
それなら安心して試せますね。今日は「松前町の相場は県内では高めのグループ、でも方向は分からない」ってはっきりしたので、逆にすっきりしました。
山川
山川不動産の専門家
そうですね。松前町の相場は愛媛県内では最も高いグループに入る一方、単年の方向は断定できないという状況です。売り時が気になったら、まずは実際の査定額を確認してみてください。判断はそのあとでゆっくりで大丈夫です。もう少し他の市の数字も見てみたい場合は、愛媛県のページから比較できます。

よくある質問

木村
木村相談者
最後にいくつか、よくある疑問をまとめておきたいです。
山川
山川不動産の専門家
どうぞ。松前町の戸建て売却でよく聞かれる点にお答えします。
木村
木村相談者
この価格データはどこの情報なんですか?
山川
山川不動産の専門家
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実際の成約価格です。広告の売り出し価格やAIによる推定値ではなく、成約ベースなので実勢に近い数字です。
木村
木村相談者
松前町の中古戸建て相場はいくらくらいですか?
山川
山川不動産の専門家
2022年から2024年の3年分をプールした中央値は2,100万円です。2024年単年では2,300万円で、価格帯は1,300万円〜3,150万円まで幅があります。
木村
木村相談者
価格は上がってるんですか、下がってるんですか?
山川
山川不動産の専門家
松前町は2024年単年の相対信頼区間幅が82.6%と基準を大きく超えており、この記事では上昇・下降どちらの方向も断定していません。2017年の1,600万円から2024年の2,300万円までの変化だけを見ると上向きに見えますが、途中の2018年から2021年には1,250万円〜1,550万円まで下がる場面もあり、一方向のトレンドと言い切るのは不正確です。
木村
木村相談者
件数が少ないから方向が分からないんですか?
山川
山川不動産の専門家
はい、松前町はその通りです。年間の取引件数は14件〜28件と、いずれも40件を下回っています。件数が少ない年ほど、たまたま高額・低額な物件が混ざるだけで中央値が大きく動くため、方向を断定していません。
木村
木村相談者
サイトによっては直近半年だけで「今が売り時」って断定してるのを見たことがあるんですが。
山川
山川不動産の専門家
半年分だと件数がさらに少なくなり、松前町のようにもともと年間の取引件数が少ないエリアでは、実質数件の比較になってしまいます。短い期間だけを根拠に売り時を断定するのは統計的にリスクがあると考えており、この記事では8年分の年別データと3年分のプールデータの両方を確認したうえで、方向を断定しない立場を取っています。
木村
木村相談者
将来の人口が増えるかどうかも知りたいんですが。
山川
山川不動産の専門家
現時点で松前町の将来推計人口はこの記事のデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。分かり次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
査定は無料ですか?
山川
山川不動産の専門家
一括査定サービスの見積もりは基本的に無料で、売る義務もありません。まずは相場と実額の確認から始めるのがおすすめです。
木村
木村相談者
松前町は近くの松山市や今治市と比べて何が違うんですか?
山川
山川不動産の専門家
中央値だけ見ると、松前町が2,100万円、松山市が1,700万円、新居浜市が800万円、今治市が550万円と、愛媛県内でも差があります。松山市は取引件数が多く物件のばらつきも比較的小さいため「単年でも方向を語れる区分」ですが、松前町は取引件数自体が少なく「参考値」の扱いです。水準の高さと数字の安定度は別の話として見ておくのが誠実だと考えています。