木村
木村相談者
山川さん、熊本市北区のマンション、そろそろ売ろうかどうか迷っていて。ネットで調べてみたら、あるサイトに「9年で19.2%上昇」って書いてあって、思ったより上がってるのかなと思ったんですけど、本当なんでしょうか。
山川
山川不動産の専門家
そのサイトはおそらく、売り出し中の物件の平米単価をもとにした試算だと思います。実際に成約した金額とは前提が違うことが多いんです。国交省の不動産情報ライブラリという公的データベースには、実際に成約した中古マンションの記録があります。熊本市北区は年ごとの取引件数がもともと少なく、成約データだけを見ると年によって数字がかなり振れるエリアです。まずは実際の成約価格がどう動いてきたか、一緒に見ていきましょう。
木村
木村相談者
成約した価格って、売り出し価格と違うんですか?
山川
山川不動産の専門家
はい。売り出し価格は売主の希望額なので、実際の成約額より高めに出やすい傾向があります。国交省のデータベースは実際に取引が成立した価格の記録なので、実勢に近い数字です。熊本市北区の2017年から2024年までの年別中央値を並べてみましょう。

熊本市北区の中古マンション価格はどう動いてきたか

熊本市北区の中古マンション中央値の推移(2017年〜2024年)
熊本市北区の中古マンション中央値の推移(2017年〜2024年)
山川
山川不動産の専門家
これが2017年から2024年までの、熊本市北区の中古マンション年別中央値です。中央値は、価格を安い順に並べたときのちょうど真ん中の金額のことです。
中古マンション中央値取引件数
2017年1,650万円6件
2018年1,300万円3件
2019年1,800万円10件
2020年1,600万円10件
2021年1,300万円23件
2022年1,900万円17件
2023年2,100万円24件
2024年1,700万円34件
木村
木村相談者
すごいバラバラですね。2018年はたった3件で1,300万円、2023年は2,100万円まで上がって、2024年はまた1,700万円に下がって……。件数もかなり少ない年がありますね。
山川
山川不動産の専門家
おっしゃる通りです。特に2017年から2020年あたりは、年間の取引件数が6件・3件・10件・10件と、かなり少なくなっています。2021年以降は件数が増えてきていますが、それでも2024年で34件です。件数が少ないと、その年にたまたま成約した物件の特徴(広さや築年数、立地)によって中央値が大きく動いてしまいます。だから「9年で19.2%上昇」という言い方は、少なくともこの成約データからは言い切れません。2017年の中央値1,650万円と2024年の中央値1,700万円を単純に比べると+3%程度で、19.2%という数字とはかなり差があります。
木村
木村相談者
え、そんなに違うんですか。じゃあどっちが正しいんでしょう。
山川
山川不動産の専門家
どちらが「間違っている」というより、前提が違うということです。競合サイトの数字は売り出し価格の平米単価をもとにした試算で、こちらは実際に成約した金額そのものです。ただ、こちらの数字も2017年と2024年の2点だけを単純比較した数字なので、これをもって「3%しか上がっていない」と結論づけるのも正確ではありません。次のセクションで、なぜこの数字を「トレンド」として断定できないのか、具体的にお見せします。

なぜ単年の数字だけで判断できないのか

木村
木村相談者
数字がバラバラなのは分かったんですが、じゃあ今の相場っていくらだと思えばいいんですか?
山川
山川不動産の専門家
そこが今日いちばんお伝えしたいところです。2024年のデータで見てみましょう。中央値は1,700万円ですが、価格帯の下から4分の1にあたる金額(p25)は1,225万円、上から4分の1(p75)は2,675万円です。
木村
木村相談者
1,225万円と2,675万円だと、1,450万円も違いますね。中央値の1,700万円を挟んで、かなり上下に広がってる感じです。
山川
山川不動産の専門家
そうなんです。2024年単年の相対信頼区間の幅は64.7%にもなります。取引が十分な区分(トレンドを語れる基準)は25%以下なので、64.7%はその基準を大きく超えています。理由は主に取引件数そのものが少ないことです。2024年でも34件、過去には年間3件という年もありました。件数がこれだけ少ないと、たまたま高めの築浅物件が多く売れた年は中央値が上がり、逆の年は下がる、ということが起きやすくなります。
木村
木村相談者
じゃあ、この1,700万円っていう数字自体はどのくらい信用していいんですか?
山川
山川不動産の専門家
数字自体は実際の成約データそのもので、捏造や推定ではありません。ただ「2024年は1,700万円だから、来年もこのくらい」と単年だけで判断するのは危ういということです。そこで2022年から2024年の3年分をプールした中央値も見てみましょう。3年分をまとめると取引件数75件、中央値1,700万円になります。単年よりも母数が増える分、振れは小さくなります。単年の1,700万円と3年プールの1,700万円が偶然同じ数字になっていますが、これは熊本市北区の直近の相場水準として、より安定した見方だと考えられます。
木村
木村相談者
単年もプールも同じ1,700万円なら、けっこう安定してるようにも見えますけど。
山川
山川不動産の専門家
直近の水準としてはそう見えますが、過去の年ごとの動きを見ると1,300万円から2,100万円まで上下しているのは事実です。2022年1,900万円→2023年2,100万円→2024年1,700万円という直近3年の推移だけを見ても、上がって下がっているように見えます。この記事では、熊本市北区の代表的な相場水準としては3年プールの1,700万円を使い、単年の上下だけで「上がった」「下がった」と言い切ることは避けています。取引件数が少ないため、単年では方向を断定せず直近3年の相場水準として表示する、という扱いです。
木村
木村相談者
「分からないことは分からない」とはっきり言ってもらえると、逆に信用できます。
山川
山川不動産の専門家
そこは大事にしているところです。ちなみにこの数字はすべて実際に成約した金額であることも補足しておきます。広告に出ている「売り出し価格」は売主の希望額なので、実際の成約より高めに出やすい傾向がありますが、この記事の数字はすべて成約ベースです。相場感がつかめたところで、次は他の区や全国と比べて熊本市北区がどのくらいの水準なのかを見てみましょう。

全国・県内のなかで熊本市北区はどのくらいの水準か

熊本市5区・中古マンション中央値の比較
熊本市5区・中古マンション中央値の比較
山川
山川不動産の専門家
熊本市北区の水準を、熊本市内の他区や全国と比べてみましょう。相場は単独では意味を持ちにくく、他と比べて初めて位置づけが分かります。
比較軸熊本市北区の位置
熊本県内の中古マンション中央値3位/5市区町村
全国の中古マンション中央値297位/464市区町村
全国(取引が十分な区分の単純平均)との比較平均 約2,885万円に対して約59%の水準
木村
木村相談者
全国平均の約6割ってことですね。県内では真ん中くらいなんですね。
山川
山川不動産の専門家
県内5区の中では3位で、極端に高くも低くもない水準です。ただし比較対象の全国平均は「取引が十分な区分」の平均なので、熊本市北区(参考値扱い)を単純に同列で見すぎない方がよいです。あくまで目安として捉えてください。熊本市の他区と並べてみましょう。
中古マンション中央値取引件数位置づけ
熊本市西区2,200万円182件(直近3年プール)参考値
熊本市中央区1,850万円354件(2024年)取引が十分な区分
熊本市北区1,700万円75件(直近3年プール)参考値
熊本市南区1,700万円60件(直近3年プール)参考値
熊本市東区1,600万円285件(直近3年プール)参考値
木村
木村相談者
北区と南区が同じ1,700万円なんですね。中央区だけ「取引が十分な区分」で、他は全部参考値なんですか。
山川
山川不動産の専門家
そうなんです。熊本市中央区だけが取引が十分な区分で、単年のトレンドをはっきり語れる区です。西区・北区・南区・東区は、いずれも単年だけでは方向を断定できない参考値扱いです。同じ「参考値」の中でも、理由は区によって違います。西区や東区は件数はある程度あるものの物件ごとの価格差が大きいタイプ、北区や南区はそもそも年間の取引件数自体が少ないタイプです。熊本市北区は3年プールで75件と、この中では東区(285件)や西区(182件)よりも少なめの参考値です。
木村
木村相談者
水準の話とトレンドの話は、別々に考えたほうがいいんですね。
山川
山川不動産の専門家
そのとおりです。数字の意味を正確に分けて見るのが、判断を誤らないコツです。ここまでの事実を踏まえて、熊本市北区でマンションを売ろうか考えるときの材料を整理してみましょう。

熊本市北区のマンションは「売り時」なのか、どう考えるか

木村
木村相談者
水準は中位、方向は分からない……。これって、待ったほうがいいのか、動いたほうがいいのか、正直よく分からなくなってきました。
山川
山川不動産の専門家
熊本市北区のマンションで、考える材料を並べるとこうなります。
熊本市北区のマンション・売り時を考える3つの材料
  1. 1単年トレンドは断定できない — 2023年に2,100万円まで上がった年もあれば、2021年は1,300万円まで下がった年もあり、上昇・下降のどちらとも言い切れない。3年プール(2022〜2024年)の中央値は1,700万円で、単年よりは安定している。
  2. 2取引件数がもともと少ない — 2024年でも34件、過去には年間3件の年もある。件数が少ないぶん、相場よりも自分の物件そのものの査定額が決め手になりやすい。
  3. 3将来人口のデータは現時点で未収集 — このサイトでは根拠のない数字を出すより扱わない方針のため、熊本市北区の将来人口には触れていません。データが揃い次第この記事を更新します。
木村
木村相談者
「上がった年もあるから待て」でも「下がった年もあるから急げ」でもなく、そもそも方向を決められるデータがないってことなんですね。
山川
山川不動産の専門家
正確に言うとそうなります。熊本市北区全体の相場は水準としては県内中位、方向は不明、あなたの物件がいくらかは別の話、この2つを分けて考えるのが誠実な向き合い方です。実際に動くかどうかは、価格以外のご自身の事情で決めるのが一番です。
木村
木村相談者
変に煽られなくて、逆に安心しました。
山川
山川不動産の専門家
正確な現在地を知ったうえで、ご自身のペースで判断していただくのが一番です。そのためには、中央値の話から一歩進んで、自分の物件の査定額を把握しておくのがおすすめです。

相場が分かったら、次にやること

木村
木村相談者
相場の実態が分かったので、実際にうちのマンションがいくらくらいになるのか知りたくなってきました。どうすればいいですか?
山川
山川不動産の専門家
相場感がつかめた今が、次のステップに進むいいタイミングです。流れはシンプルです。
  1. 1複数の不動産一括査定サービスに、物件情報(所在地・専有面積・築年数など)を入力する
  2. 2各社から提示される査定額を比べて、相場感(3年プールの中央値1,700万円前後)と照らし合わせる
  3. 3気になる会社があれば、訪問査定でより正確な金額を確認する
木村
木村相談者
査定って、頼んだら必ず売らないといけないんですか?
山川
山川不動産の専門家
いいえ、査定を受けても売る義務はありません。今の価値を知るだけでも十分に意味があります。まずは気軽に相場と実額のギャップを確かめてみてください。

この記事のデータについて

項目内容
対象エリア熊本県熊本市北区
対象種別中古マンション
データ期間2017年〜2024年(成約価格ベース)
出典国土交通省 不動産情報ライブラリ(XIT001 不動産取引価格情報)
集計方法年別中央値・四分位(p25/p75)、2022〜2024年の3年プール
データの十分性参考値として掲載(取引件数が少ないため、単年の方向は断定していません)
2024年取引件数34件(3年プールでは75件)
木村
木村相談者
それなら安心して試せますね。今日は「分からないことは分からない」まではっきりしたので、逆にすっきりしました。
山川
山川不動産の専門家
熊本市北区の相場は県内では中位の水準で、単年の方向は断定できないという状況です。売り時が気になったら、まずは実際の査定額を確認してみてください。判断はそのあとでゆっくりで大丈夫です。

よくある質問

木村
木村相談者
最後にいくつか、よくある疑問をまとめておきたいです。
山川
山川不動産の専門家
どうぞ。熊本市北区のマンション売却でよく聞かれる点にお答えします。
木村
木村相談者
この価格データはどこの情報なんですか?
山川
山川不動産の専門家
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の実際の成約価格です。広告の売り出し価格や独自の推定値ではなく、成約ベースなので実勢に近い数字です。
木村
木村相談者
熊本市北区のマンション相場はいくらくらいですか?
山川
山川不動産の専門家
2022年から2024年の3年分をプールした中央値は1,700万円です。2024年単年でも1,700万円ですが、価格帯は1,225万円〜2,675万円まで幅があります。
木村
木村相談者
価格は上がってるんですか、下がってるんですか?
山川
山川不動産の専門家
熊本市北区は2024年単年の相対信頼区間幅が64.7%とかなり大きく、この記事では上昇・下降どちらの方向も断定していません。2023年に2,100万円まで上がった年がある一方、2021年は1,300万円まで下がった年もあり、年によって上下しています。「9年で19.2%上昇」といった主張を見かけることがありますが、それは売り出し価格の平米単価ベースの試算であることが多く、この記事の成約ベースの数字とは前提が異なります。実際、成約データの2017年(1,650万円)と2024年(1,700万円)を単純比較すると+3%程度にとどまります。
木村
木村相談者
なんで熊本市北区は他の区より取引件数が少ないんですか?
山川
山川不動産の専門家
熊本市北区は2024年の中古マンション成約件数が34件で、東区(93件)や中央区(354件)と比べると少なめです。過去には年間3件という年もありました。件数が少ないと、その年にたまたま成約した物件の特徴によって中央値が振れやすくなります。これが、この記事で単年のトレンドを断定していない理由です。
木村
木村相談者
将来の人口が増えるかどうかも知りたいんですが。
山川
山川不動産の専門家
現時点で熊本市北区の将来推計人口はこの記事のデータベースにまだ収集できていません。根拠のない数字を出すよりは、扱わないほうが正確だと考えています。分かり次第、この記事を更新して反映します。
木村
木村相談者
査定は無料ですか?
山川
山川不動産の専門家
一括査定サービスの見積もりは基本的に無料で、売る義務もありません。まずは相場と実額の確認から始めるのがおすすめです。
木村
木村相談者
熊本市北区は熊本市中央区・西区・南区・東区と比べて何が違うんですか?
山川
山川不動産の専門家
中央値だけ見ると、西区が2,200万円、中央区が1,850万円、北区と南区が1,700万円、東区が1,600万円です。違うのは取引データの位置づけです。中央区は取引が十分な区分で単年トレンドを語れますが、北区・西区・南区・東区はいずれも単年では方向を断定できない参考値として扱っています。その中でも北区は3年プールで75件と、西区(182件)や東区(285件)よりも取引件数自体が少ないタイプの参考値です。